現在、練馬区立美術館で開催されているのは、
“宇川直宏展 FINAL MEDIA THERAPIST @DOMMUNE”という展覧会。
宇川直宏さん(1968~)の大規模な展覧会です。
映像作家、グラフィックデザイナー、VJ、キュレーターなど多岐に渡って活動する、
ハイパーメディアクリエイターよりも、ハイパーメディアクリエイターなアーティスト(?)。
それが、宇川直宏さんです。
今展のメインビジュアルも、宇川さんご本人がデザインしたのだそう。
展覧会のビジュアルというよりは、なんとなく、
海外サッカーも特集するサッカー番組のロゴのようです。
なお、その横でしゃがんでいるマネキンは、宇川さんをイメージしたものとのこと。
会場には他にもたくさんの宇川さんマネキンがいました。
さて、宇川直宏さんといえば、DOMMUNE(ドミューン)。
DOMMUNEといえば、宇川直宏さん。
DOMMUNEとは、2010年3月1日に開局した、
日本初のライブストリーミングスタジオ兼チャンネルです。
今でこそ、ネット上で生配信される番組は多く、
一般的にもライブストリーミングは浸透していますが。
その先駆けとなったのが、DOMMUNEです。
開局から13年経った現在でも、
毎週月~木に休まず配信され続けており、
世界でも圧倒的な人気とビューワー数を誇っています。
そんなDOMMUNEの13年間の膨大な番組アーカイブを紹介するとともに、
それらの映像を素材にしたアート作品を紹介するのが、今回の展覧会です。
例えば、展覧会の冒頭では、
こんなアート作品が展開されていました。
4面の壁に映し出されていたのは、計1000本の映像。
それらはすべてDOMMUNEで配信されたDJプレイの映像なのだそうです。
今のご時世、音楽を流すと著作権が発生します。
しかし、音楽の映像を同時に1000本も流すと、
すべてが混ざり合ってしまい、雑音にしか聞こえません。
つまり、音楽と認識できない以上、著作権は発生しないそうです。
ただし、この作品は一定の時間が経つと、4分33秒だけ無音になるそう。
ということは、ジョン・ケージの『4分33秒』を演奏したことになるのでしょうか?
そして、著作権が発生するのでしょうか?
音楽と著作権について考えさせられる作品です。
なお、展示空間の中心に置かれていたのは、作品鑑賞のためのマッサージチェア。
ただし、僕が訪れた日は、
不具合のため、体験はできませんでした。
いつかマッサージされながら、雑音を聞いてみたいものです。
また例えば、最新の機材を使ったこんなインスタレーション作品も。
展示空間の中央にあるのは、Ikegamiによる最新鋭の無人カメラ。
このカメラがプログラミングによって、
展示空間内をさまざまに動きながら撮影しています。
モニターに映っているのは、そのリアルタイムの映像。
ただし、普通に映像が流れているのではなく、
古今東西の名画のタッチをAIに習得させたアプリにより、
古今東西の名画風のさまざまなエフェクトがかかったものになっているそうです。
・・・・・と、説明している自分も、イマイチよくわかっていないのですが(笑)
まぁ、要するに、最新の技術を駆使したハイテクなアートってことです。
ハイテクすぎて、一般的なパソコンでは処理できないらしく、
超最新型のハイスペックなAppleのパソコンが使われていました。
と、そんな最新型の機材を使った作品もあれば、
トランジスタラジオや旧型のブラウン管テレビを使った作品や、
80~90年代の懐かしの機材を使った作品もありました。
DOMMUNEの13年の歴史が振り返られるだけでなく、
ここ100年くらいのメディアの進化も振り返られる展覧会だったような。
なお、展覧会期間中に何度も、
美術館の会場からストリーミング配信がされるとのこと。
こうしている今も絶賛制作中の作品もあり、現在進行形の展覧会です。
あと、いい意味で、練馬区立美術館っぽくなかったです。
芸人の永野さんが、自身のネタでよく、
「クワバタオハラがおったら、そこは大阪や」と言っていますが。
宇川直宏さんがいたら、そこはパルコなのでしょう。