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キュビスム展─美の革命

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国立西洋美術館で開催中の展覧会、

“キュビスム展─美の革命”に行ってきました。

 

(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)

 

 

20世紀初頭にピカソとブラックによって生み出されたキュビスム。

この美術界に大きな革命を起こした芸術運動に焦点を当てた展覧会です。

キュビスムの作家や作品が紹介されることは、そう珍しくはないですが。

意外にも、“キュビスム展”という名の展覧会が、

日本で開催されるのは、今回が50年ぶりとのこと。

実は、日本では半世紀ぶりとなる大規模な“キュビスム展”なのです。

 

“そもそもキュビスムって何?”

という方のために、簡単に説明したいところですが、

過去にこんな記事を書いているので、そちらを読んで頂くとしまして。

 

 

 

話を展覧会に戻しますと、本展の出展作品は約140点。

しかも、その大半がキュビスムの本場パリのポンピドゥーセンターからの来日作品です。

 

展示風景

 

キュビスム展なのでもちろん、

ピカソやブラックの作品も多く出展されていますが。

セザンヌを始め、2人に大きな影響を与えた画家の作品も紹介されていました。

 

ポール・セザンヌ《ポントワーズの橋と堰》 1881年/国立西洋美術館 ※東京会場のみ

 

 

キュビスムに影響を与えたといえば、こちらのものも。

 

展示風景

 

アフリカの原始彫刻です。

1907年、パリの民族誌博物館を訪れたピカソは、

そこでプリミティブな彫刻の数々を目にし、大きな衝撃を受け、

当時制作中だった《アヴィニヨンの娘たち》を大幅に変更しました。

そう、あの生身の人間らしさのない顔立ちは、

原始彫刻からインスパイアされたものだったのです。

なお、完成した《アヴィニヨンの娘たち》を観たブラックは、

その過激な表現に驚き、こんな感想を述べたと伝えられています。

 

「まるで麻くずを食べるか、

 石油を飲んで火を吹けと言っているようだ!」

 

・・・・・・・いや、冷静に考えて、

さすがにそんなことは言ってないような。

被害妄想にもほどがあります。

 

 

さて、ピカソとブラックが創始したキュビスムは、

同時代の芸術家には、大きな影響を与えましたが。

ギャラリーで作品を発表していたため、

一般に広く周知することはなかったのだそうです。

キュビスムを大きく広めたのは、

ピカソやブラックに影響を受けて、

サロンでキュビスムの作品を発表した画家たち。

アルベール・グレーズやジャン・メッツァンジェら、

俗に「サロン・キュビスト」と呼ばれる画家たちです。

 

展示風景

 

彼らがいなかったら、業界内ウケ(?)だけで終わっていたかも。

そういう意味でもキュビスムにとって重要な役割を担っていながらも、

これまであまりスポットが当てられていなかった「サロン・キュビスト」たち。

本展では、しっかりスポットが当てられています。

 

その中でも特に目玉と言える作品が、

ロベール・ドローネーによる《パリ市》です。

 

ロベール・ドローネー《パリ市》 1910-1912年
Centre Pompidou, Paris, Musée national d’art moderne 

- Centre de création industrielle (Achat de l’ État, 1936. Attribution, 1937)

© Centre Pompidou, MNAM-CCI/Georges Meguerditchian/Dist. RMN-GP

 

 

こちらは、ポンピドゥーセンターでも、

とりわけ人気が高い作品の一つとのこと。

幅約4mのこの超大作が、奇跡の初来日を果たしています。

 

展示風景

 

なお、近代パリの象徴であるエッフェル塔の前に立つ3人の女性は、

どこぞの政治家ではなく、古典的な絵画のモチーフである三美神です。

伝統と革新を同画面に描き、

なおかつ、それまでの絵画とはまるで違うスタイルで描く。

この絵を当時リアルタイムで目にした人は、さぞかし驚いたことでしょう。

 

さてさて、作者のロベール・ドローネーは、

この絵を発表したすぐ後に、こんな画風に転向しています。

 

ロベール・ドローネー《円形、太陽 no.2》 1912-1913年
Centre Pompidou, Paris, Musée national d’art moderne

- Centre de création industrielle (Don de la Société des Amis du Musée national d’art moderne en 1961) 

© Centre Pompidou, MNAM-CCI/Georges Meguerditchian/Dist. RMN-GP

 

 

そのキャラ変ぶりを当時リアルタイムで目にした人は、さぞかし驚いたことでしょう。

 

 

ちなみに。

ここまでで展覧会は約半分。

字数の関係で割愛しますが、展覧会の後半戦では、

キュビスムに影響を受けた次世代の芸術家たちの作品が紹介されています。

 

展示風景

 

それらの中には、シャガールやモディリアーニ、

画家だけでなく、「現代彫刻の父」と呼ばれるブランクーシも。

 

展示風景

 

また、意外なところでは、

マルセル・デュシャンの初期の絵画も紹介されていました。

 

展示風景

 

いかにキュビスムが当時、

多くの若い芸術家たちに強い影響を与えたのか。

お笑い界で言うところの、ダウンタウン病。

キュビスム病のようなものがあったのかも。

そんなことがよくわかる展覧会でした。

星星

 

 

ちなみに。

展覧会のラストで紹介されていたのは、

シャルル=エドゥアール・ジャンヌレという画家の作品。

 

展示風景

 

彼の名前はその本名よりも、

ペンネームのほうが有名ですね。

ル・コルビュジエ。

そう、国立西洋美術館を設計した人物です。

なるほど。国立西洋美術館で開催されていたのにも理由があったのですね。

まるで伏線を回収したような、きれいなラストでした。

 

 

 

 

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