現在、川崎市岡本太郎美術館では、
“第27回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)”が絶賛開催中ですが、
常設展として“人のかたち:岡本太郎の人体表現”が同時開催されています。
人物画を描いている印象がほぼ無い岡本太郎ですが、
実は、意外にも、人物をモチーフにした作品を数多く残しています。
例えば代表作の一つである《重工業》。
画面に大きく描かれた歯車とネギのインパクトに、つい目が向かいがちですが、
よくよく見てみると、トクホのマークのようなピクトグラムのような人がたくさん描かれています。
また例えば、《重工業》よりも前に描かれた、
岡本太郎の初期の代表作の一つである《夜》。
こちらでは明らかに主題として、人物が描かれています。
少女の視線の先には、頭蓋骨も描かれています。
実は岡本太郎は、パリで過ごした初期の頃は、
人物をモチーフにした作品を数多く制作していたのだとか。
それらの現物は空襲で焼失してしまいましたが、
展覧会では、パリ時代の初期作品も原寸大のパネルで紹介されていました。
モノクロであることを考慮に入れても、
いわゆる岡本太郎らしさがどこにも見当たりません。
岡本太郎にもこんな時代があったのですね。
さて、ここからは特に印象に残った作品の数々をご紹介いたしましょう。
まずは、1949年に制作されたこちらの作品から。
タイトルは、《美女と野獣》とのことです。
ルッキズムの問題が叫ばれる時代なので、
こういうことを言うのは大変憚られるのですが。
どこが美女なんだ!
人というよりは、イカに近いような。
スプラトゥーンの新キャラでしょうか。
むしろ野獣のほうが可愛い気がします。
続いて印象的だったのが、こちらの作品。
パッと見、抽象画のようですが、
タイトルによれば、《喫煙者》だそうです。
そう言われてみたら、顔に見えてくるような。
歯らしきものや唇らしきもの、
画面の右中央にはタバコらしきものがあります。
ということは、放射状にカラフルに描かれているのは煙。
副流煙の怖さを実感させられる一枚です。
「なくそう!望まない受動喫煙。」
その啓発ポスターに採用してみてはいかがでしょうか。
岡本太郎の作品はどれももれなくインパクトがありますが、
中でもインパクトの強いビジュアルだったのが、《マラソン》という作品。
ぷよぷよみたいなのが、画面いっぱいに描かれています。
笑っているのか、悲しんでいるのか。
何とも言えない表情をしている謎の生命体。
とりあえず「こっちみんな」と言いたいです。
ちなみに。
今回の常設展で結局のところ、
一番印象に残ったのは、太郎作品以上に、
太郎の父である漫画家・岡本一平が描いた雛人形の絵です。
あまりのユルさに、腰が砕けそうになりました。
ただ、なんとなーくですが、
先ほど紹介した《マラソン》と、テイストは似ている気も。
この父にして、この子あり。
岡本親子のDNAのようなものが感じられました。
最後に、どーでもいいことなのですが。
こちらの《栄光》という立体作品を眺めていたら・・・・・
たけのこニョッキゲームが脳裏をよぎりました。
いやむしろ、たけのこニョッキゲームが、
この作品のポーズを参考にしたのかもしれません。