ルノアールを筆頭に、モネ、ゴッホ、シャガール・・・と、
街を歩いていると、時に、美術界の巨匠たちと同じ名前のお店に出くわします。
果たして、それらのお店と巨匠との間に関係はあるのか??
気になるようで気にならない。
でも、気にしてしまったら、気になって仕方がない。
そんな疑問を解消すべく、アートテラーは今日も店へと赴く!!
自分ごとで恐縮ですが、先日、41歳の誕生日を迎えました。
厄年となった41歳の春だから、ちょっと自分にご褒美を。
昨年7月に人形町駅のほど近くにオープンした、
エムズクロス人形町「ハシゴ楼」にあるお寿司屋さんに行ってきました。
その名も、すし 其一。
江戸琳派の祖・酒井抱一の高弟にして、
近年では“奇想の絵師”としても人気の鈴木其一の名を持つお店です。
ミシュランのビブグルマンに3年続けて掲載されたという、
“町寿司の名店”初台の『すし宗達』と、渋谷の『すし光琳』。
その2軒を手掛けてきたオーナーによる新店舗なのだとか。
俵屋宗達、尾形光琳ときての鈴木其一。
飛ばされてしまった(?)酒井抱一には、同情を禁じえません。
4店舗目こそ、『すし 抱一』となりますように。
さて、この夜、私が頂いたのは、
自慢の品を一通り味わう「おまかせコース」。
まず、もずく酢やあん肝の煮付けといった、
旬のお料理5品が、次々と運ばれてきました。
特にニタリ鯨のお刺身と、ほたての磯辺焼きが絶品。
この料理5品だけで、ちびちび日本酒をやっていたいところでしたが、
料理が片付かないと、お寿司に進めないので、泣く泣く(?)食べました。
そして、いよいよお寿司が握られます。
一貫目は、赤身。
すし 其一で使われているマグロはすべて、
あの人気仲卸『やま幸』から仕入れているものとのこと。
風味も歯切れも最高でした。
続いては、ほたて。
包丁の入れ方が、芸術的。
口に入れた時のほぐれ方も、芸術的でした。
その後も、赤貝やアジ、小肌、大トロなど、
全部あわせて11貫のお寿司が運ばれてきました。
出てきたお寿司すべてが、見た目も味も芸術的。
とりわけ印象に残っているのが、甘えびです。
2本の甘えびを互い違いにする。
その発想力やセンスは、“奇想の絵師”鈴木其一に通ずるものがあります。
握りの後に運ばれてきたのは、
『すし宗達』でも名物という細巻。
マグロとネギのシャキシャキした食感が絶妙でした。
コースの締めは、お椀。
魚の出汁が効いた一杯で、
思わず「上手っ!」と声が漏れました。
もしかしたら、コース全体を通じて、
一番感動したのは、このお椀だったかも。
しかも、見た目も芸術的。
ネギの感じが、琳派のたらし込みのようでもあり、
鈴木其一の《朝顔図屏風》の朝顔のようでもありました。
・・・・・と、最後の最後に、
無理矢理、鈴木其一を結び付けてみましたが。
店内には残念ながら(?)、其一の作品は飾っていませんでした。
一応、店内の写真も撮影しようと思ったのですが、
急にスマホをつけ場に向けたなら、寿司を握っている大将に、
「港区女子か?」と勘違いされかねないので、今回は自粛しています。
<お店情報>
すし 其一(KIITSU)
住所:長東京都中央区日本橋人形町1-19-5 エムズクロス人形町 5F
定休日:施設に準ずる
営業時間:12:00~14:00、17:00~23:00
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