「民藝」
日本を代表する思想家・柳宗悦を中心に、
陶芸家の濱田庄司、河井寬次郎らによって提唱された新しい美の概念。
美術工芸品ではなく、無名の職人が作る民衆の日常品の中に美を見出したもの。
「民衆的工藝」の略。
今でこそ世の中に浸透した「民藝」という概念も、
提唱された当初はまだ一般的には理解しづらいものだったと思う。
でも、何かカッコよそさうと感化された人もいて、
ときどき、柳宗悦らのもとに押し掛けていたと思う。
「柳先生!僕の自慢の民藝コレクションを観てもらえないですか!」
「君ねぇ、アポを取ってから来ないと」
「そうだそうだ!柳さんがお前なんかを相手にするわけないだろ!」
「まぁまぁ、濱田君河合君。せっかくだから観てあげようじゃないか」
「ありがとうございます!まずはこの古伊万里なんですけど。
我が家の家宝でして。もともとは大名家に伝わったとか!」
「う~ん、それは民藝じゃないねぇ」
「民藝っていうのは民衆的工藝ですからね」
「お前もその古伊万里と一緒に窯で焼くぞ、コラ!」
「すいませんすいません!
じゃあ、この絹織物なんてどうでしょう?刺繍も豪華絢爛で!」
「民藝じゃないなぁ」
「民藝っていうのは民衆的工藝ですからね」
「その絹織物でお前を包んで東京湾に沈めるぞ、コラ!」
「ごめんなさいごめんなさい!あの、よく民藝ってのをわかってなくて。
日常的なものがいいんですよね。こ、これなんかどうですか?
母ちゃんの使い古しの歯ブラシなんですけど」
「ノー民藝」
「民藝っていうのは民衆的工藝ですからね」
「お前の顔面をズタズタにして、スリップウェアみたいな紋様にしたろか、コラ!」
「ひー、それだけはお許しください!
別に皆さまを怒らせたかったわけじゃないんです。
僕は、ただ、その皆様のお仲間になりたかっただけで(泣)。グシュン!」
「おや?君、その手ぬぐいは?」
「箪笥の奥にあった普通の手ぬぐいですけど」
「それ、超民藝じゃん!」
「・・・・・民藝、ムズっ!」