昨年10月に、完全リニューアルオープンしたことを記念して、
五島美術館では、所蔵する名品の数々を4部構成で紹介する “時代の美” なる美術展が開催中ですが。
第1部の “奈良・平安編” に引き続き、第2部の “鎌倉・室町編” も昨年末に終了。
いよいよ、今年の頭からは、第3部となる “桃山・江戸編” が開催されています。
本阿弥光悦、尾形光琳、俵屋宗達、狩野探幽、谷文晁、
織田信長、豊臣秀吉、明智光秀、千利休に、シーボルト・・・
と美術史だけでなく、歴史上の人物も多数登場する今回の第3部。
書状が中心で、比較的、地味な展示の印象だった第1部、第2部と比べると、
書状だけでなく、絵画作品や、蒔絵やお茶碗などの工芸品も多く展示されており、
内容的にも見た目的にも、色とりどりな感じでした。
ただ、本阿弥光悦や尾形光琳など、
一般的に人気の高い “琳派” の作品が、せっかく展示されていたには、いたのですが・・・。
尾形光琳の 《紅葉流水図(竜田川図)》 にしても、
その弟の尾形乾山の 《雪松図》 にしても、
今一つ (いや、今二つ?) パッとしない印象の作品でした。
琳派のコレクションに関しては、
同じ都内の美術館でも、五島美術館よりも根津美術館や畠山記念館に軍配が上がりそうです。
しかし、絵画作品が、パッとしなかった分 (?)
五島美術館の茶器コレクションが、展示室を華やかに盛り立てていたように思います。
正直なところ、茶器に疎い僕ですが。
そんな僕でも、 《瀬戸肩衝茶入 銘 月迫 中興名物》 や、
《光悦赤楽茶碗 銘 十王》 、
《鼠志野茶碗 銘 峯紅葉》 などには、
純粋に、 「いい仕事してますねぇ~」 と思えました。
この他にも、中島みゆきを連想せざるをえない 《常慶黒楽茶碗 銘 悪女》 や、
どことなくピカソを彷彿とさせる 《黒織部沓形茶碗 銘 わらや》 など、
印象的な茶器が、多数展示されていましたが。
それらの中でも抜きん出て、独特なオーラを放っていたのが、重要文化財の 《古伊賀水指 銘 破袋》 。
『へうげもの』 でお馴染みの古田織部が、
「今後是程のもなく候間 (今後これほどのものは、現れないでしょう)」
とまで絶賛した逸品だそうです。
この 《古伊賀水指 銘 破袋》 とのファーストコンタクトは、それはそれは衝撃でした。
心の中で、
「ブスだな~~~www!」
と、思わず叫んでしまいました。
肌ガサガサだわ、イボみたいなのがあるわ、ひび割れているわ、下膨れだわ。
これまで目にしてきた数々の茶器とは比べるまでもない強烈なブサイクさです。
“いやいや、こんな茶器が重要文化財の逸品なんて (苦笑)”
と、最初は、まったく 《古伊賀水指 銘 破袋》 の良さがわからなかったのですが。
時間が経つに連れ、自分の中にある変化が・・・。
他の美しい茶器を目にしても、なんだか物足りなくなってしまったのです。
気づけば、頭の中には、常に 《古伊賀水指 銘 破袋》 。
まさに、 『ブスの瞳に恋してる』 状態です。
おそらく、どんなに美しい茶室でも、どんなに風情のある茶室でも、
《古伊賀水指 銘 破袋》 が一つ置かれるだけで、その茶室全体の雰囲気はガラッと変わってしまうはず。
それくらい強烈で圧倒的な存在感を、 《古伊賀水指 銘 破袋》 は持っています。
部屋に一人現れるだけで、場を華やかにしてしまう絶対的な美人がいますが、
その真逆のパターンもあることを、この 《古伊賀水指 銘 破袋》 で学んだ気がします (笑)
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時代の美 第3部 桃山・江戸編
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