現在、横浜美術館では、20世紀を代表する報道写真家の展覧会が開催中ですが。
タイミングを同じくして、こちらの世田谷美術館では・・・
20世紀を代表するファッション写真家の展覧会、
“エドワード・スタイケン写真展 モダン・エイジの光と影 1923-1937” が開催中です。
「ロバート・キャパの名は知ってるけど、エドワード・スタイケンの名は知らない・・・ (>_<)」
そんな方のために、まずは、簡単にプロフィールをご紹介。
エドワード・スタイケン (1879~1973) は、 『米国写真界の巨星』 と称されるほどの写真家です。
若い頃に、絵画のような写真 (ピクトリアリズム) を極めながらも、
次第に、芸術至上主義的な表現にうんざりとし始め、商業写真家へと転向。
雑誌 『ヴォーグ』 や 『ヴァニティ・フェア』 の主任写真家として華々しく活躍しました。
その後、商業写真を引退し、今度は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のキュレーターに転身。
数々のヒット写真展を企画し、写真の普及にも尽力しました。
とりわけ、1955年に企画した “ファミリー・オブ・マン” は、
日本を含む世界38ヵ国を巡回し、冷戦期の世界で900万人を動員した伝説の写真展。
エドワード・スタイケンは、写真の腕はもちろんですが、
それ以上に、時代が求めているモノを的確に読み取る力に長けている気がします。
さしずめ、 「写真界の秋元康」 と言ったところでしょうか (←?)
・・・・・と、なんとなくエドワード・スタイケンをイメージして頂けたであろうところで。
ここからは、今回の “エドワード・スタイケン写真展” のご紹介。
こちらの展覧会は、彼の約70年にも及ぶ彼の写真家人生の中でも、
もっとも脂が乗っていたとされる1920~30年代にターゲットを絞って、
その頃に撮影されたファッション写真やポートレート約200点で構成されています。
つまり、会場に展示されているのは、今から90年近くも前のファッション写真ということになります。
・・・・・・・・・・・・。
“いくらエドワード・スタイケンが、アメリカを代表する写真家とは言え、
今の僕らから見たら、さすがに古臭い、、、もとい、レトロな印象しか受けないんじゃないかなァ”
正直なところ、会場に足を踏み入れるまで、
今回の写真展には特別期待はしていませんでした (世田谷美術館さん、ごめんなさい)
が!!
《アール・デコふうの大判スカーフをまとうタマリス》 しかり、
1925年 ゼラチン・シルバー・プリント ©1925 Condé Nast Publications
《シュザンヌ・タルボットの黒いチュールのヘッド・ドレスと、黒いキツネの襟つきブロケード・コートをまとうモデル》 しかり、
1925年 ゼラチン・シルバー・プリント ©1925 Condé Nast Publications
《シェリュイのドレスを着たマリオン・モアハウス、コンデ・ナストのアパートメントにて》 しかり。
1927年 © 1927 Condé Nast Publications
どの写真も90年も昔のファッション写真とは思えないほどに、
スタイリッシュ!&クール!!&セクシー!!!&ラグジュアリー!!!!
(注:最後の方は、何とか知ってる横文字を捻り出してみましたw)
古臭いどころか、現代のブランドの広告写真と言われても、全く違和感のないレベル。
むしろ、エドワード・スタイケンの作品の方が、新しさを感じるくらいです。
いい意味で、期待を裏切られました♪
どの写真にも、心が惹かれましたが、
特に心をグイッと鷲掴みされたのは、今回のポスターにも使われている 《女優グロリア・スワンソン》 という一枚。
1924年 ゼラチン・シルバー・プリント © 1924 Condé Nast Publications
被写体である女優グロリア・スワンソンの目力も、相当なものですが。
その大女優を、ピンと張ったレース越しに撮るという発想力も相当なものです。
もしも、このレースがなかったら、
ただ単に目力の強い女優を写しただけの平凡なポートレートになっていたことでしょう。
しかし、このレースの紋様が彼女を覆うことで
グロリア・スワンソンの持つ妖艶さやミステリアスさが際立ち、
さらには、そこに、新たなドラマやイメージ像が吹き込まれていたような気がします。
会場では、 《女優グロリア・スワンソン》 以外にも、
モデルの魅力を最大限に引き出し、かつ新たなイメージを吹き込んだ写真が多数紹介されています。
そんなスタイケンの魔法のような撮影スタイルは、
現代の写真家でいうと、蜷川実花さんを彷彿とさせるものがありました。
“モノクロの蜷川実花” といった印象です。
また、もちろん 『ヴォーグ』 に掲載される写真とあって、
モデルの魅力と同じくらいに、ファッションの魅力も最大限に引き出しているのもスタイケンの特徴。
それだけに、「写真展って、あまり興味なくて・・・」 という方でも、
ファッションが好きな方ならば、確実に楽しめること請け合いです。
さらに、 《グレタ・ガルボ》 をはじめ、
1929年 © 1929 Condé Nast Publications
ゲイリー・クーパーやチャップリンなど、
往年の銀幕スターたちのポートレートが多数登場するので、映画が好きな方にもオススメ。
そういう意味でも、かなり間口の広い写真展と言えましょう。
ちなみに、印象的な写真は、たくさんありましたが。
マイベストは、 《作曲家ジョージ・ガーシュイン》
1931年 © 1931 Condé Nast Publications
( 『ラプソディ・イン・ブルー』 の作曲家です)
こんなカッコいい宣材写真を、いつか自分も撮ってもらいたいものです。
(いい宣材写真が無いので、いまだに似顔絵がアイコンになっているので・・・f^^;)
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エドワード・スタイケン写真展
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