2年間という長い長い改装工事期間を経て、
昨年10月にリニューアルオープンを果たした五島美術館。
その新装開館記念名品展として、
●第1部 奈良・平安編 (2012年10月20日~11月18日)
●第2部 鎌倉・室町編 (2012年11月23日~12月24日)
●第3部 桃山・江戸編 (2013年1月5日~2月17日)
と、半年間に渡って、シリーズ形式で、
五島美術館・大東急記念文庫が所蔵する名品を紹介する美術展 “時代の美” が開催されてきましたが。
2月23日より始まった “第4部 中国・朝鮮編” にて、このシリーズはファイナルを迎えます。
「あれれっ? “中国・朝鮮編” って?!
“時代の美” なら、最後は、 “明治・大正編” じゃないの??」
と思ってしまったアナタ。
どうか細かいことには、目をつむってくださいまし (←そう細かいことでもない気もしますが・・・)
とにもかくにも、シリーズのラストを飾るのは、
中国や朝鮮にまつわる五島美術館ならびに大東急記念文庫蔵の名品たち。
唐絵として珍重された中国絵画 (《叭々鳥図》 伝 牧谿筆) に、
禅宗に多大な影響を与えた宋・元の墨跡 (《無準師範墨跡 「山門疏」》) に、
日本の古墳から出土した中国伝来の鏡 (《鋸歯紋複線波紋縁線彫式獣帯鏡(七乳)》) に、
実に多彩な美術工芸品が、会場を彩っていました。
特に、 《青磁鳳凰耳瓶(砧青磁)》 を筆頭に、
中国陶磁器の名品たちが、壁一面のガラスケースにズラリと並べられていた様は圧巻!
中国陶磁器が艶やかだったこともあって、
過去3回の “時代の美” と比べて、今回の “中国・朝鮮編” が一番華やかな印象だった気がします。
また美術展としても、過去3回のシリーズよりも、
今回の “中国・朝鮮編” が、質はもちろん、全体的なバランスも良かったかと。
そういう意味では、時代の流れに固執して、 “明治・大正編” を開催するのではなく、
あえて、時代関係無しで、 “中国・朝鮮編” を開催した五島美術
館の決断は正しかったと思います。
まさに、シリーズの有終の美を飾る美術展と言えましょう。
国宝や重要文化財の作品も多く、いろいろと目移りしてしまいましたが。
個人的に、一番印象に残っているのが、 《青磁猿型小壺(水滴)》 です。
猿が小さな壺を抱えている姿が、なんとも愛らしい水滴。
美術品というよりも、ファンシーグッズのような感じがしましたが (笑)
こちらの 《黒釉木の葉文碗》 も、印象的な作品↓
茶碗の中には、木の葉の文様。
やたらとリアルに木の葉を描いているなぁ・・・と思ったら、
実際に、木の葉を内部に置いて焼成した南宋時代の茶碗とのこと。
五島美術館ではなく、フランフランで見かけていたら、間違いなく即買いしていたと思います。
それくらい個人的に好きなデザイン。
ただ、今回の目玉作品は何と言っても、
国宝の 《六祖挟担図 偃谿黄聞賛》 ではないでしょうか。
描かれているのは、中国禅宗の第六祖である大鑑禅師慧能です。
幼い頃に父を亡くし、薪を売って母親を養っていた慧能。
そんなある日の仕事帰りに、たまたま町で、
『金剛般若波羅蜜経』 の読誦を耳にしたのがきっかけで、出家を思い立ったのだそうな。
この絵は、その場面を描いたもの。
薪を切るための仕事用の斧を、担いだ棒の先にぶら下げているのがわかります (後ろの人はご注意を!)
“ほぉ~・・・いいこと言ってるなぁ~・・・俺も出家しようかなぁ~・・・”
という何とも言えない表情の描き方が、お見事。
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時代の美 第4部 中国・朝鮮編
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