今回ご紹介する美術展は、
Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の “ルーベンス 栄光のアントワープ工房と原点のイタリア” です。
4月21日まで。
ルーベンスと言えば・・・
『フランダースの犬』 のネロ少年が、
最終回で命を落としてまで観たかったあの絵を描いた画家として、日本では有名かもしれません。
ネロが最期に観た 《キリスト昇架》 は、さすがに、Bunkamura ザ・ミュージアムに来ていませんが。
そんなルーベンスの良作、それも日本初公開の油彩画の数々が、
“ルーベンス 栄光のアントワープ工房と原点のイタリア” のために来日中!!
ネロ少年が生きていたなら、間違いなく狂喜乱舞するに違いない美術展です。
実に、たくさんのルーベンスの作品が展示されているので、
「パトラッシュ、疲れたろう・・・僕も鑑賞し疲れたんだ・・・」
と、思わず言ってしまうのではないでしょうか。
(注:美術館はペットの同伴は禁止です)
展示の目玉は何と言っても、
世界最古の博物館とされるローマのカピトリーナ絵画館が所蔵する 《ロムルスとレムスの発見》
1612-1613年頃、油彩・カンヴァス、210x212cm
ローマ、カピトリーナ絵画館 ©ROMA CAPITALE-SOVRAINTENDENZA BENI CULTURALI-MUSEI CAPITOLINI
「あ、赤ちゃんのすぐ近くに、オオカミがΣ(=°ω°=;ノ)ノ」
と気が気でない方、どうぞご安心を。
この絵に登場する双子のロムルスとレムスとは、
赤ちゃん時代に、雌狼の乳を飲んで育ったというエピソードを持つローマ建国神話の主人公。
描かれているオオカミ (♀) も、赤ちゃんを食べようとしているのではなく、
舌で赤ちゃんの体を舐めて、綺麗にしてあげているところなのだとか。
(母性本能溢れるオオカミで、ホッとしました)
ちなみに、こちらの 《ロムルスとレムスの発見》 は、日本初公開となるのですが。
今回のルーベンス展には、この絵以外にも、
《毛皮をまとった婦人像》 (ティツィアーノ作品の模写)をはじめ、
1629-1630年頃
油彩・カンヴァス、91.8x68.3cm、ブリズベン、クィーンズランド美術館Collection: Queensland Art Gallery
日本初公開のルーベンス作品が多数展示されています。
ネロ少年ならずとも、日本人の皆様が一目見たかったルーベンス作品に出会えるかもしれません。
個人的に、今回のルーベンス展で印象深かったことは、
ただ単にルーベンスの作品を並べて展示しているのではなく。
ペーテル・パウル・ルーベンス(工房) 《自画像》 1622-1628年頃(?)
油彩・板、85x61cm フィレンツェ、ウフィツィ美術館 ©Gabinetto fotografico della S.S.P.S.A.E e per il Polo Museale della città di Firenze
ペーテル・パウル・ルーベンスその人の実像に迫っていた展覧会であったこと。
画家であることは、当然のこととして、
何か国語も自在に操る教養を備えた外交官でもあり、
版画というジャンルにいち早く目を付けた名プロデューサーでもあり。
マルチな才能の持ち主であるルーベンスの実像を、余すことなく紹介していたように思います。
とりわけ興味深かったのが、工房の経営手腕を発揮した一流経営者としてのルーベンスの姿です。
今までは、 “工房=弟子任せ” という勝手なイメージを抱いていたので、
「なんだ、ルーベンス本人の作品でなく、ルーベンス工房の作品か。。。」
と、ルーベンス工房の作品を、なんとなく下に見ていましたが。
今回のルーベンス展を通して、
ルーベンスが決して楽をしたいから、個人制作していたわけでないことが判明。
むしろ、工房を経営したことで、個人で製作する以上の苦労を背負ったことを知り、
ルーベンスに対する印象が、グッと良くなりました。
また、ルーベンスが、良い絵を制作するために、
得意ジャンルに特化した専門画家とコラボしたという事実も興味深く、
いい意味で、画家らしくない画家だなぁという印象に変わりました (笑)
1639-1640年、油彩・カンヴァス、130.8x196.9cm、
ローリー、ノースカロライナ州立美術館 ©North Carolina Museum of Art, Raleigh
こちらは、そのうちの1枚で、 《熊狩り》 という作品です。
人物を描いたのは、ルーベンスなのですが。
熊を描いたのは、動物を得意とする画家フランス・スネイデルスだそうです。
確かに、この熊の迫力は、相当な迫力がありました。
さすが、得意とする画家だけはあります。
そんな熊にガブリと噛まれているのに、このリアクションの薄さ。。。 (笑)
コラボ作品ならではの温度差と言えましょう。
最後に。
個人的に、出展作品の中で一番、目に焼き付いた 《復活のキリスト》 をご紹介。
1616年頃、油彩・カンヴァス、183x155cm
フィレンツェ、パラティーナ美術館 ©Gabinetto fotografico della S.S.P.S.A.E e per il Polo Museale della città di Firenze
一度死んだキリストが復活したという事実は、十分に奇跡的ですが。
その際に、特に意識した様子もないのに、
布で大事なところが絶妙に隠れているのも、奇跡だと思います (笑)
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ルーベンス 栄光のアントワープ工房と原点のイタリア
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