奈良国立博物館へやって来ました。
奈良だから当たり前なのでしょうが。
敷地内には、鹿がいっぱいいました。
そんな国立博物館 (美術館) は、世界中を探しても、ここだけではなかろうか?
そんな奈良国立博物館で、現在開催されているのが・・・
“當麻寺 -極楽浄土へのあこがれ-” という美術展。
極楽浄土信仰の拠点として知られる當麻寺 (「たいまでら」 と読みます) の寺宝を中心に、
国宝7件・重要文化財43件を含む約160件の展示品を紹介する史上初の “當麻寺” 展なのだそうです。
・・・・・・・・・・と、ここで一つ気になることが。
その當麻寺があるのは、奈良県葛城市。
で、奈良国立博物館があるのも、もちろん奈良県です。
トーハクや京都国立博物館など、奈良県外で、 “當麻寺” 展が開催されるならわかるのですが。
何も、同じ県内、しかも、電車で行ける距離の場所で開催しなくても・・・。
都内で例えるなら、 “浅草寺” 展を国立新美術館で開催するようなものです。う~ん。
「だったら、直接、當麻寺に行くんじゃない?あまりお客さんが、いないんじゃない??」
しかし、そんな予想に反して、会場は平日ながらも大盛況。
どうやら、 (おそらく奈良県民の) 皆様のお目当ては、こちらの曼荼羅のようなのです↓
(注:展示期間は4/6~4/14、4/23~5/6のみです)
「うわっ、ボロボロじゃん!」
と、思うことなかれ。
実は、こちらの曼荼羅は、當麻寺の本尊として、
1000年以上に渡って信仰を集めてきた国宝の曼荼羅でして。
「根本曼荼羅」 とか 《綴織當麻曼荼羅》 と呼ばれています。
一般公開されるのは、実に30年ぶり。
さらに、寺の外で公開されるのは、この傷みぶりゆえ、
もう二度とないだろうと囁かれているほどの超貴重な曼荼羅なのです。
ではでは、もう少し、《綴織當麻曼荼羅》 の紹介を続けさせて頂きます。
まず、こちらの 《綴織當麻曼荼羅》 を織り上げたと伝えられているのが・・・
伝説上の人物とされる中将姫。
ある日、
「極楽浄土が観た~い」
と思った彼女は、百頭の馬に積めるだけの蓮の茎を集め、
その茎から糸を紡ぎ、一夜にして約4メートル四方の巨大な曼荼羅を完成させたのだとか。
(さすが伝説の人物!)
さて、具体的には、 《綴織當麻曼荼羅》 は、どのような絵柄なのでしょう?
さすがに、 《綴織當麻曼荼羅》 は、傷みが激しいので、
《綴織當麻曼荼羅》 を写した同寸の絵画である重要文化財の 《當麻曼荼羅(文亀本)》 でご紹介。
曼荼羅というと、一般的には、よくわからないイメージがありますが。
こちらの當麻曼荼羅は、非常にわかりやすいのが、何よりも特徴的です。
例えば、中心の画面に大きく描かれているのは、極楽浄土の様子。
「極楽浄土に行ってみたいわ~♪」 と思ってしまうイラストが描かれています。
また、両サイドにあるいくつもの四角の中には、
インドのとある国の話や極楽浄土を想う方法などが、まるで4コマ漫画のように描かれています。
とても細かい絵なので、その細密な描写にビックリですが。
さらには、これが描かれたのではなく、刺繍であるということに、輪をかけてビックリです。
ちょうど今、国立新美術館にフランスの至宝と評されるタペストリーが来日中ですが。
日本にも、それに負けないくらいのタペストリーがあったことに、誇らしい気持ちになりました。
これは、奈良に足を運ぶ価値アリです。
もちろん。
《綴織當麻曼荼羅》 以外にも、見逃せない作品はあります。
いくつかピックアップしてご紹介いたしましょう。
まずは、国宝の 《金銅威奈大村骨蔵器》
ボーリングの玉のようにも、やかんのようにも見えますが。
実は、こちらは、骨壺。
飛鳥時代を生き抜いた威奈大村さん (←人名です) の遺灰や遺骨が納まっていたそうです。
国宝の骨壺とは、なんとも珍しい。
続いて、 《四天王立像のうち持国天立像》
當麻寺金堂の四天王立像のうち、持国天立像だけが奈良国立博物館に出張中。
世にたくさんの四天王像がありますが、當麻寺の四天王は顎鬚をたくわえているのが特色です。
実に、ダンディ。
男が憧れる男って感じがしました。
最後は、 《当麻曼荼羅縁起》
当麻曼荼羅の成立と中将姫の伝説を表す絵巻で、国宝に指定されています。
この 《当麻曼荼羅縁起》 を所蔵しているのは、神奈川県の光明寺。
當麻寺も似たような 《當麻寺縁起》 を所蔵していますが、そちらは重要文化財。
どちらも當麻寺のことが書かれているのに、
當麻寺が所蔵していない方が国宝というのが興味深かったです。
當麻寺的にはトレードしたいに違いない。
ちなみに、余談ですが。
奈良国立博物館では、こんなミュージアムグッズが人気らしいです。
さすがなら仏像館を併設しているだけあります。
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當麻寺 -極楽浄土へのあこがれ-
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