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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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「もののあはれ」と日本の美

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サントリー美術館で開催中の “「もののあはれ」と日本の美” に行ってきました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-サントリー美術館


こちらは、国学者・本居宣長が、その著書 『紫文要領』 の中で提唱した・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-紫文要領 稿本  重要文化財 《紫文要領 稿本》


“もののあはれ” という概念を、さまざまな角度から紹介しようという美術展。
日本津々浦々から、国宝や重要文化財を含む約150点の作品が、サントリー美術館に集結しています。


会場では、 『源氏物語』 のような古典文学作品に、 “もののあはれ” を見たり、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-源氏物語図屏風「須磨・橋姫」  《源氏物語図屏風「須磨・橋姫」》
(注:展示期間は、4/17~5/20です)


和歌の世界に、 “もののあはれ” を見たり、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-佐竹本三十六歌仙絵 藤原高光  重要文化財 《佐竹本三十六歌仙絵 藤原高光》 伝藤原信実筆
(注:展示期間は、4/17~5/6です)


月を見ては、 “もののあはれ” を感じ、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-砧蒔絵硯箱  重要文化財 《砧蒔絵硯箱》 
(注:展示期間は、4/1~4/17です)


四季を感じては、 “もののあはれ” を誘われ、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-色絵龍田川文皿  《色絵龍田川文皿》


「・・・って、どんだけ “もののあはれ” を感じればええねん!

と思わず、関西弁でツッコみたくなるほどの “もののあはれ” 推し。
サントリー美術館は、 “もののあはれ” で、今年の流行語大賞を狙っているのでしょうか??
確かに、 『源氏物語』 や和歌の世界にも、
雪月花や花鳥風月、四季の移ろいにも、 “もののあはれ” というような情感を覚えますが。
そんなことを言い出したら、ほぼすべての日本美術作品に、
“もののあはれ” を感じているような気がして、キリがない気がします。
ピンポイントに迫った美術展のようでいて、
実質は、幅広いジャンルの日本美術が展示されている漠然とした美術展だった印象です。
美術展を企画するのって難しいですね。
そこにも、 “もののあはれ” を感じます。
星


とは言え、美術展全体としてみるとぼやけた印象でしたが、
作品一つ一つのレベルは相当なもので、 「よくぞこれだけ集めたなァ」 と、その苦労が偲ばれました。

作品として強く感銘を受けたのは、千葉市美術館が所蔵する鈴木其一の 《芒野図屏風》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-芒野図屏風
(注:展示期間は、4/17~4/30です)


ただススキが描かれただけのシンプルな屏風なのですが。
その画面の中に漂う幽玄さに強く惹かれ、
思わず、 「この屏風の世界に入りたい。。。」 と、
いや、もっと言えば、 「この屏風の世界に入って現実逃避したい。。。」 と思ってしまったほどです。
この絵の前には、いくらでも立っていられるような気がしました。


それから、同じ琳派の屏風作品で、 《秋草鶉図屏風(右隻)》 も印象に残った作品の一つ。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-秋草鶉図屏風
(注:展示期間は、4/17~5/13です)


こちらは、とにかく鶉がカワイイ!
このコロコロとしたフォルムが、何とも言えず愛らしいです。
その可愛らしさに目じりが下がりっぱなしでしたので、
今、冷静に考えてみると、 “もののあはれ” は感じていなかった気がします (笑)



数ある展示品の中で、別格のオーラを放っていたのは、
永青文庫が所蔵する国宝の 《時雨螺鈿鞍》 でした。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-時雨螺鈿鞍
(注:展示期間は、4/17~4/30です)


たかが鞍。されど鞍。
こんなにも日本工芸の粋が集められた工芸品があっただろうか…と感嘆してしまうほどの美しさ。
この1点に、 “もののあはれ” を感じられただけでも足を運んだ甲斐があったというものです。



・・・・・・・と。
この美術展を通して、一生分の “もののあはれ” を感じた気がしますが (笑)
美術品よりも何よりも、一番 “もののあはれ” を感じるのは、展示替えのスパンの早さ。
約2ヶ月の展示期間中に、全部で9回も展示替えがあるのです。
ほぼ毎週展示替えがあるようなもので、2週間しか展示しない作品もたくさんあります。
ボヤボヤしている間に、

「あっ、あの作品ってもう展示されてないんだ?!えっ、あの作品も展示されてないの?!!」

となってしまうこと必至。
めまぐるしすぎる展示期間の移り変わりに、 “もののあはれ” を感じずにいられません。




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