Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

暮らしと美術と髙島屋 世田美が、百貨店のフタを開けてみた。

$
0
0

世田谷美術館にて、髙島屋をテーマにした美術展が開催されています。
高島屋とは、もちろん、あの髙島屋。
百貨店の髙島屋です。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-高島屋


公立の美術館が、一企業をフィーチャーした美術展を開催したことだけでも、かなりチャレンジングですが。
その美術展のタイトルも、
“暮らしと美術と髙島屋 世田美が、百貨店のフタを開けてみた。” とチャレンジング!
さらには、そのポスターも・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-セタビ


髙島屋のエレベーターをメインビジュアルにするというチャレンジングぶり。
しかも、その一部を、注意深~く見てみますと・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ポスター


隠れた遊び心を発見 (笑) !!

こんなにもチャレンジングな世田谷美術館の姿勢に、
美術展を訪れる前から、すでにノックアウトされてしまいました。
もう絶対に、楽しいに決まってます!




・・・・・・・で。
実際に、美術展を訪れた率直な感想は、と言いますと、

期待通り、楽しかったです♪♪♪


エレベーターガール風のナレーションが秀逸なオープニング映像に始まり、
大阪にある髙島屋史料館が所蔵する髙島屋関連の美術品や、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-アレ夕立に  竹内栖鳳 《アレ夕立に》 1909年 髙島屋史料館蔵


髙島屋の歴史を飾ったディスプレイ写真や貴重なポスターの数々に目を奪われ、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-キモノ大阪春季大展覧会  キモノ大阪春季大展覧会ポスター 
                              (原画・北野恒富/文:与謝野晶子) 1929年 髙島屋史料館蔵


呉服屋からスタートした髙島屋ならではの着物にも目を奪われ。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《暫》  訪問着 《暫》 1952年(第78回秋の百選会) 髙島屋史料館蔵
(注:展示は、前期[~5/19]までです)


終始、美術展会場では、ワクワクしっぱなしでした。
そう言えば、親にデパートに連れて行ってもらった時は、

「こんな感じでワクワクしてたよなぁ~」

と、子供の頃を思い出してしまったほど。
ひょっとすると、実際の髙島屋よりも、
今回の世田谷美術館の会場の方が、百貨店の楽しさが満ちていたような気がします (笑)
星星



個人的にお目当てだった竹内栖鳳の 《アレ夕立に》 も、もちろん良かったのですが。
それ以上に良かったのが、ビロード友禅 《世界三景 雪月花》 の下絵3点セットでした。
こちらは、1910年にイギリスで開催された日英博覧会に髙島屋が出品したもので、
世界の絶景を、日本伝統の雪月花という画題と組み合わせた図柄は、当時、高い評価を得たのだとか。
ちなみに、そのうちの2点である山元春挙の 《ロッキーの雪》 と、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《ロッキーの雪》   1905年 髙島屋史料館蔵


竹内栖鳳の 《ベニスの月》 のビロード友禅は、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ベニスの月   1905年 髙島屋史料館蔵


1994年に大英博物館にコレクションされたのだそうです。
(↑せっかくなら、もう1点 [=「花」の作品] もまとめて収蔵してくれれば良かったのに)
そんな大英博物館にコレクションされているほどの工芸品の下絵が観られて感激もひとしお。
美術作品として観ても感銘を受けましたが、
これを、明治時代の一企業が制作したという事実に、より感銘を受けました。
昨今ではデパ地下ばかりに意識が向きがちですが (?) 、
改めて、いかに髙島屋が日本の文化に貢献してきたかを実感することが出来た気がします。



ただ、もっと個人的に印象に残ったのは、美術品の数々よりもポスターの数々でした。
《近畿の名宝を蒐めて 福の神大展覧会ポスター》 (原画:高岡徳太郎) をはじめ、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-近畿の名宝を蒐めて 福の神大展覧会ポスター   1931年 高島屋史料館蔵


壁一面に貼られていたのは、髙島屋でこれまでに開催された展覧会ポスターたち。
「東京漫画会 関西第一回漫画展覧会」 や、
「科学日本の誇 テレビジョン関税発表会」(昭和14年) のように、
まだ内容が想像の付く展覧会もあったのですが・・・。
「世界に輝く わが潜水艦展覧会」 や、
「大阪で富士登山が出来る 富士山大博覧会」 のような謎の展覧会もチラホラと (笑)
いい意味で、時代を感じることが出来ました。



ちなみに。
“暮らしと美術と髙島屋展” で、髙島屋と非常に馴染みの深い 『民藝』 を紹介している関連して。
世田谷美術館の常設展会場では、現役の民藝作家・柚木沙弥郎の美術展を開催中。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-柚木沙弥郎


常設展会場は、上です。
上でございます。




1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在5位ですダウン
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ   にほんブログ村 美術ブログへ


Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

Trending Articles