2012年11月。
オークションハウスのクリスティーズに衝撃が走りました。
ドイツの現代写真家アンドレアス・グルスキーの撮った写真 《RehinⅡ》 が、
なんと、430万ドル (4億3千万円) という価格で落札されたのです。
これは、地球上に存在する全写真の中で最も高い価格!
そんな史上最高額写真家アンドレアス・グルスキーの個展が、ついに日本で初開催!
国立新美術館の “アンドレアス・グルスキー展” は、9月15日まで開催されています。
(のっけから、お金の話ばかりで、ごめんなさいw)
彼の作品の特徴は何と言っても、パノラミックな視点から捉えられている点。
代表作の 《F1 ピットストップ IV》 しかり、
2007年/インクジェット・プリント/186.8×506.5×6.2cm
© ANDREAS GURSKY / JASPAR, 2013 Courtesy SPRÜTH MAGERS BERLIN LONDON
《カミオカンデ》 しかり、
2007年/タイプCプリント/228.2×367.2×6.2cm
© ANDREAS GURSKY / JASPAR, 2013 Courtesy SPRÜTH MAGERS BERLIN LONDON
だいぶパノラミックです。
自分のデジカメでは、こうもパノラミックな写真は撮れません (←何と比べてるんだ!)
それだけパノラミックな視点で捉えられ、
また写真自体も3m級に引き伸ばされプリントされているので、
当然圧倒的なスケール感を覚えるのですが。
その一方で、均一な世界が広がるよう、デジタル編集が施されているので、緻密な印象も受けます。
圧倒的スケールと緻密さ。
一見相反する二つの要素が奇跡的に共存する不思議な世界は、
一度目にしたら忘れられないほどの強烈なインパクトがありました。
さすが、史上最高額写真家だけはあります。
今回の美術展では、そんなアンドレアス・グルスキーの代表作が約65点紹介されています。
写真展にしては、点数が少ないような気もしますが、ご安心を。
どの写真にもまんべんなく不思議な世界観が広がっており、十分にお腹いっぱいになれます。
感覚的には、写真を観ているというよりも、
むしろ絵画を観ているのに近かった気がします。
上で紹介した2点も、かなり絵画的ですが、
最新作の 《バンコク》 シリーズなぞは、
言われなければ、川面の写真とは気づかず、抽象画にしか見えないレベルでした。
2011年/インクジェット・プリント/307×227×6.2cm
© ANDREAS GURSKY / JASPAR, 2013 Courtesy SPRÜTH MAGERS BERLIN LONDON
ちなみに、今回の展示の目玉は、初期の代表作 《99セント》
アメリカ版 “SHOP99” とも言うべき、99セントショップの店内が撮影された作品です。
他のアンドレアス・グルスキー作品と同様、均一な世界が広がっています。
が、売られている商品も、すべて99セント均一ということで、
他の作品以上に、 『均一』 という作品コンセプトが強調されている気がしました。
ただ、初期の作品だからでしょうか。
デジタル編集が甘く (?) よ~く観ると、ところどころに気になって仕方のない箇所が。
例えば、よ~く観ると、ジェイソンの被り物をした少年がいます。
(普通に買い物をしていて、ビックリですw)
また、よ~く観ると、お菓子売り場なのに1個だけパンが置いてあります。
(おそらく、元の場所に戻すのが面倒臭くなって、適当に売り場に戻したのでしょうw)
そういう妙な生活感があるので、他の彼の作品と比べると、
あまり、 “絵画のような写真作品” っぽくはありませんでした。
最後に、もう一点個人的に印象的だった作品を。
こちらの 《ピョンヤンI》 を前にすると・・・
2007年/タイプCプリント/307×215.5×6.2cm
© ANDREAS GURSKY / JASPAR, 2013 Courtesy SPRÜTH MAGERS BERLIN LONDON
どうにもドリフのイメージが脳内を駆け巡ってしまって仕方がありませんでした (笑)
アートテラーとして、だめだこりゃ。
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アンドレアス・グルスキー展
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