損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の・・・
“<遊ぶ>シュルレアリスム ―不思議な出会いが人生を変える―” に行ってきました。
シュルレアリスム=超現実主義。
数ある美術のジャンルの中でも、とりわけ難解で、とりわけ近寄りがたいイメージがあります。
そんなシュルレアリスムだけに、
これまで開催されてきたシュルレアリスムの美術展の多くは、
「」
と、脳ミソがバーストすること必至。
“わざと難しい美術展にしてるのでは?” と、
学芸員さんの良識を疑いたくなるシュルレアリスム展が多々ありました。
しかし。
今回、損保ジャパン東郷青児美術館で開催されているのは、
日本のシュルレアリスム研究の第一人者・巖谷國士さん監修による日本一わかりやすいシュルレアリスム展。
「シュルレアリスムというのは、実は、シュルレアリストたちによる <遊び> だった!」
という切り口で紹介するだけで、
シュルレアリスムは、こんなにもわかりやすく、こんなにもとっつきやすくなるのですね。
シュルレアリスムへの苦手意識が、きっと克服できる美術展です。
また、このシュルレアリスム展は、わかりやすさもさることながら、
紹介されている作家が、実にバラエティに富んでいるのも大きな特徴です。
ポスターにも使われているマグリットを筆頭に、
マックス・エルンスト、
コラージュ集 《慈善週間あるいは七大元素》 (5冊組)
1934年 印刷物、紙 高松市美術館蔵
マン・レイ、デュシャン、デ・キリコ、イヴ・タンギー…etc
といった王道のシュルレアリストの作品が紹介されているのは、当然としまして。
シュルレアリスムに影響を受けた日本人写真家・植田正治や、
《コンポジション》 1937年 ゼラチンシルヴァープリント
東京都写真美術館蔵©Shoji Ueda Office, 2013
チェコ出身のアニメーターのヤン・シュヴァンクマイエルの作品も同じ文脈で紹介されています。
いかにシュルレアリスムというものが多岐に渡っているのかを実感できました。
そんな中で、個人的にもっとも興味を惹かれたのが、
岡上淑子さん (1928~) というアーティストです。
《はるかな旅》 1953年 コラージュ、紙
高知県立美術館蔵©Toshiko Okanoue, 2013
元々はファッションデザイナーを目指していたそうですが、
いつしかハサミはそのままに (?) 、布を紙に持ち替えて、コラージュ作家に転向。
日本にシュルレアリスムを紹介した瀧口修造に見出されたほどの才能の持ち主だったそうです。
しかし、結婚を機に、制作活動は引退。
活動期間わずか6年という伝説的な日本初の女性シュルレアリストです。
さしずめ、シュルレアリスム界の山口百恵といったところでしょうか (←?)
今回のシュルレアリスム展には、岡上淑子さんの作品が全部で7点ほど紹介されていました。
これまでにあまり紹介される機会の無かった岡上淑子さんですが、
コラージュ作品の才能に関しては、元祖コラージュ作家のエルンストを越えていた気がします。
最後に、もう一つ。
今回のシュルレアリスム展に関して印象的だったのが、
驚くほどに、日本全国津々浦々の美術館から、作品が出展されていたこと。
福島の諸橋近代美術館に、うらわ美術館に、岡崎市美術博物館に、
姫路市立美術館に、徳島県立近代美術館に、宮崎県立美術館に、エトセトラに。
実際に、全部の美術館を巡ったら、どんなに大変なことでしょうか。。。
日本全国の美術館が所蔵するシュルレアリスム作品が、一堂に会している。
その光景が、何よりも超現実な光景だったかもしれません。
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