現代陶芸を専門にしている菊池寛実記念 智美術館に行ってきました。
現在、こちらで開催されているのは、 “現代の名碗” という展覧会。
全ての陶磁器ファン必見の展覧会です。
いや、むしろ、
「陶磁器は、興味ないからなァ・・・」
という方にこそ、必見の展覧会と言えるかもしれません。
出展されているのは、約70点の茶碗の名品 (一部展示替えあり) 。
それら全ての茶碗を選んだのが、菊池寛実記念 智美術館の前館長である林屋晴三さんです。
実は、こちらの人物は、陶磁器の世界では、と~~~っても有名な人物。
自他共に認める “今生きている日本人の中で、もっとも多くの名碗を観た” 陶磁器研究家なのです。
そんな林屋さんが太鼓判を押す現代の名碗だけで展覧会は構成されています。
物故作家による茶碗もあれば、30代の若手作家による茶碗もあり。
逆に、どれだけ陶芸界に名を残している陶芸家の作品でも、
林屋さんのお眼鏡にかからなければ、今回の展覧会の出展メンバーから容赦なく (?) 外されています。
まさに現代陶芸界のM-1グランプリ・・・もとい、Mei-碗グランプリとも言うべき展覧会です。
日本トップクラスの陶磁器研究者が自信を持って選んだ日本トップクラスの現代の茶碗たち。
それだけに、茶碗一つ一つが、それぞれにスターの風格のようなものを醸し出していましたが。
さらに、そんなスター茶碗たちの魅力を最大限に引き出していたのが、
まるで演劇の舞台を思わせるダイナミックかつ優美な菊池寛実記念 智美術館の展示空間です。
単なる茶碗展を越えた感動が、ここにありました。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
さて、今回出展されている約40名の作家の中で、
特に、林屋さんが特にイチオシされておられたのが・・・
1942 (昭和17) 年頃
こちらの 《井戸手茶碗 銘 さみだれ》 の作者である川喜田半泥子 (1878~1963) です。
百五銀行頭取など財界人として活躍する一方で、
稀代の趣味人として、書画や写真など、さまざまな芸術を自ら手掛け、その多才ぶりを発揮。
「東の魯山人、西の半泥子」 と評されるほどの人物です。
中でも、陶芸の才能が抜きん出ており、
林屋さん曰く、日本の陶芸家の中で唯一、本阿弥光悦に肩を並べられる人物なのだとか。
特に、川喜田半泥子の茶碗の中でも、 《粉引茶碗 銘 雪の曙》 は日本陶芸史に輝く一碗とのこと。
なんでも、あの本阿弥光悦作の国宝 《白楽茶碗 銘 不二山》 に負けるとも劣らない名碗なのだとか。
そんな 《粉引茶碗 銘 雪の曙》 は、11/19より展覧会に出展される予定。要チェック!
もちろん、川喜田半泥子の茶碗も大変素晴らしかったのですが。
今回の展覧会での僕のNo.1茶碗は、川瀬忍さんの 《翠瓷茶碗》 という作品です。
2013 (平成25) 年
澄み渡るような青色が美しい逸品。
あまりに深味のある色なので、どこか触れがたい高貴さのようなものを感じる一方で。
よ~く見ると、茶碗全体にタンポポの綿毛のような白い筋 (?) があり、触るとモフモフしていそうな印象も。
女性に例えるならば、
見た目はクールな大人の女性なのに、時に子供らしさも垣間見える、そんな女性です (←?)
そして、もう1点は、前田昭博さんの 《白瓷面取碗》
画像では、ほとんど伝わらないのですが。
実物は、もっとねっとりとしています。
白一色なのに、ねっとり。ぬらり。
これまで数々の茶碗を観てきましたが、これほどまでに主張する茶碗は初めて。
「ねっとりしてるだろ。どうだ、手にしてみるか?」 と言っているかのようでした。
最後に、気になる作家として、今回の展覧会で最年少の桑田卓郎さんをご紹介。
出展されていた 《白金彩点滴茶垸》 は、まさに未来を予感させる茶碗。
遠くない未来に、この茶碗がスタンダートになる日が来るのだろうか、と想像力をかき立てられざるを得ません。
もし、この茶碗がスタンダートになった未来は、
きっと、この茶碗の中に、お茶ではない何か別の飲み物が入れられることでしょう。
他にも、紹介したい推しワン (碗) はありますが、紙面の関係上、この辺りで。
是非、皆様も展覧会場で、自分なりの推しワンを見つけてみてはいかがでしょうか。
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