今年でめでたく開館10周年を迎えたパナソニック汐留ミュージアム。
20世紀フランスを代表する画家ジョルジュ・ルオー (1871~1958) のコレクションでお馴染みの美術館です。
毎年欠かさず、様々な切り口でルオーの美術展を開催していますが。
開館10周年を迎えた節目の今年は、
“モローとルオー -聖なるものの継承と変容-” という美術展が開催されています。
こちらは、ジョルジュ・ルオーと、
彼の師に当たる象徴主義の巨匠ギュスターヴ・モロー (1826~1898) の絆や師弟愛に迫る美術展。
モローとルオーの二人展というのは、意外にも世界初の試みなのだそうです。
ちなみに、この後、モローとルオー展は、
国立ギュスターヴ・モロー美術館のリニューアルオープン展として開催されることが決まっています。
つまり、本場パリよりも先に、東京で開催されているのです。
フランスの皆様、お先にすいません。
しかも、今回の美術展のために、フランスからやってきた作品は、56点。
そのうち半数以上が、日本初公開というのですから、ますますフランスに足を向けて寝られません。
展示の目玉は何と言っても、師匠のモローも模写した・・・
ロサンゼルス・カウンティ美術館が所蔵するルオーの生涯初の大作 《石臼をまわすサムソン》
ルオーは、この大作で、ローマ賞という絵画コンクールの最終選考に挑んだそうですが。
結果は、あえなく落選。。。
確かに、盲目のサムソンに鞭を浴びせようとしている男の姿が、
サタデー・ナイト・フィーバーにしか見えないので、落選もやむなしな気がします (笑)
もう少し緊張感が漂う絵を心がけましょう (←何目線?)
また、モローの作品としては、 大作の 《ユピテルとセメレ》 が目を惹きました。
あまりにも、ユピテル (=ゼウス) の感情表現が “無” なので (笑)
「彼は、一体何を考えているのだろう?」 と、逆に、惹き付けられます。
世界観といい、タッチといい、
『ファイナルファンタジー』 シリーズのイラストで知られる天野喜孝さんを彷彿とさせるものがありました。
個人的に一押しのモロー作品は、 《パルクと死の天使》
描かれているのは、アトロポス。
生命の糸を断ち切るとされる、ギリシャ神話に登場する運命の女神です。
死を司る女神なので、向き合った瞬間、根源的な恐怖を覚えました。
ガクガク震えるというよりは、心の奥底をギュッと掴まれたような。
その一方で、ただの恐怖の対象ではなく、女神として神々しさすら感じました。
こんなにも畏怖した絵画作品は初めてかもしれません。
個人的には、 《パルクと死の天使》 のように深い精神性を備えたモローのファンタジーな世界観が好きなので。
《ヘラクレスとレルネのヒュドラ》 だけは、いただけませんでした。。。
ヒュドラが、ただただ普通にモンスターです。
何だかB級のRPGのボスキャラとして登場してきそうな。
ここには、精神性の “せ” の字もありませんでした (笑)
ルオーの作品で、一番印象に残っているのは、
オルセー美術館が所蔵する 《夜の風景または作業場での乱闘》
師匠であるモローの影響もあるのでしょう。
とても精神性に満ちた風景画でした。
人間の醜い部分が、自然を汚している。
そんなことを象徴しているかのような一枚です。
作品自体が素晴らしかったのも、さることながら。
今回何より素晴らしかったのは、美術展会場の内装デザインだったように思えます。
モローとルオーの作品イメージを最大限に盛り立てる美術展会場でした。
この美術展会場を訪れたモローファンは、きっと目を輝かせることでしょう。
開館10周年記念に相応しいパナソニック汐留ミュージアム渾身の美術展です。
余談ですが。
“モローとルオー” 展記念限定商品として、
パティシエ辻口博啓氏の豆スイーツブランド・フェーブとコラボしたオリジナル豆菓子が発売されています。
モローとルオーが、どう豆と結びつくかわからないのですが、つい買ってしまいました (笑)
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モローとルオー -聖なるものの継承と変容-
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