今回は、とっておきの美術館をご紹介いたします。
新小岩駅の近くにある杉山美術館です。
「えっ?美術館??人ん家じゃなくて??」
と、戸惑われた方も多いことでしょう。
画像でもビックリするのですから、
実際に足を運んでみると、もっとビックリします (笑)
ちなみに、こちらの建物の1階は、社会保険労務士事務所。
そして、その2階が、杉山美術館のスペースとなっています。
(初めて訪れた時は、住所を間違えたのかと、本当に焦りましたw)
一見何の変哲もない美術館のような気もしますが。
実は、ある画家のファンにとっては有名な美術館。
こちらの杉山美術館は、その画家の原画作品を常設で観ることの出来る日本で唯一の美術館。
それだけに、日本全国のファンたちが、こぞって杉山美術館を訪れるのだそうです。
さて、その画家とは、ホアキン・トレンツ・リャド (1946~1993)
“ベラスケスの再来” と称賛されたスペインの天才画家です。
1988年には、パリのジャーナリスト協会より “パーソナリティ・オブ・ザ・イヤー” に選出されています。
(スペイン人のアーティストとして、この栄誉を受けたのは、ミロとダリに続き史上3人目!)
リャドと言えば、やはり風景画。
《倒れ木》 や、
《ヴィラヴェルディーの池》 など、
晩年まで過ごしたマヨルカ島を描いた風景画を数多く残しています。
“20世紀最後の印象派” とも “光の収集家” とも呼ばれたリャド。
作品全体の印象としては、どこかモネに通じるものを感じます。
が!
モネと全く同じような風景画と言われれば、そうではありません。
スプラッシングという技法が駆使された画面は、
作品の至近距離で観ると、かなり荒々しいタッチで描かれているのがわかります。
モネら19世紀の印象派の画家の作品も、大胆な筆致で描かれていますが。
リャドの作品は、その比ではありません。
その激しい筆遣いは、もはやロックミュージックを彷彿とさせるほどです。
そんなにも激しい筆遣いで描かれているのにも関わらず、
ある一定の距離を置くとピタッと焦点が合って、おだやかな風景画にしか見えません。
この不思議な観賞体験は、まさにリャドマジック。
ロックでありながら、クラシックの要素を併せ持つ。
音楽で言うならば (←?) 、X JAPANのような感じです。
そう聞いて、
「えっ?リャドの風景画って、そんなにスゴイの?版画で観たけど、そうは感じなかったよ」
と、思った方も多くいらっしゃることでしょう。
実は、リャドの死後、大量に彼の版画作品が出回ってしまったため、版画作家というイメージが、、、
それも某イルカの絵を描くアーティストと同系列の作家であるイメージが強く定着してしまっています。
もちろん版画作品には、版画作品なりのリャドの良さがありますが。
リャドマジックは、原画でなければ味わえないのです。
(注:この記事に使用している写真は、特別に杉山美術館さんより提供頂いたものです)
一人でも多くの人に、リャドのことを知ってほしい。
リャドの原画の素晴らしさを知ってほしい。
そんなリャドの魅力を伝えるためにオープンした杉山美術館に、
日本全国からリャドの原画に魅せられたファンが集まってくるのも納得です。
ちなみに。
ブログで紹介するのは、今回が初めてですが。
実は、これまでに、アートツアーで2度ほどお世話になっています。
リャドを知らなかったという参加者の皆様も、
杉山美術館でリャドの原画に出合ってからは、すっかりリャドの虜に。
僕の統計では、杉山美術館を訪れて、リャドファンになる確率は、93% (←特に数字に根拠はありません)
リャドファンも、リャドファン予備軍の皆様にもオススメです。
最後に、杉山美術館のマスターピース 《カンピン嬢》 をご紹介いたしましょう。
リャドは、風景画の名手でもありますが、
肖像画においても、その非凡な才能を遺憾なく発揮しています。
さすがに、風景画とは違って、全体的に荒々しいタッチというわけではないですが。
衣装の描写は、驚くほどに大胆です。
その対比によって、メイクを施すかのように繊細で丁寧に描かれた女性の顔の美しさが際立っています。
この 《カンピン嬢》 に出会うだけでも、杉山美術館を訪れる価値があります。
・・・・・いや、しかし。
何度訪れても、あの濃密なリャドの世界が、
こちらの建物の2階に広がっているとは思えません (笑)
人も美術館も、見かけによらないものなのですね。
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杉山美術館
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