今回紹介する美術展は、
損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の “トスカーナと近代絵画 もうひとつのルネサンス” です。
イタリア・フィレンツェにあるピッティ宮殿。
その3階に内に位置するのが、ピッティ宮殿近代美術館です。
そんなピッティ宮殿近代美術館のコレクションの中から、
珠玉のイタリア近代絵画約70点が紹介されています。
ジョヴァンニ・ファットーリ 《従姉妹アルジア》 や、
ラファエッロ・セルネージの 《麦打ち場》
ジョヴァンニ・コステッティの 《物思いに耽る女性》 などが、展示されています。
・・・・・と、あまりにサラッと作品を紹介してしまったので、
「ファットーリもセルネージもコステッティも、知らないんだけど。。。そんなに有名な人??」
と、不安にさせてしまったのでしたら、ゴメンナサイ。
実は、僕も、今回出展されている作家の名前を、ほとんど知りませんでした。
ちゃんと名前と作品が一致した画家は、
こちらの 《南イタリアの家》 を描いたジョルジュ・デ・キリコくらいなものですf^^;
ただ、そんな知名度の低いイタリア近代絵画の作家たちにスポットを当てることが、この美術展の最大の使命。
逆に言えば、名前を知らない作家ばかりの美術展だけに、
余計な先入観なしで、お気に入りの作家に出会える可能性は高いです。
新人展を訪れるような感覚で楽しんでみてはいかがでしょうか?
(注:もちろん、本国イタリアでは著名な作家ばかりです)
ちなみに、今回の美術展で、僕が見つけたお気に入り作家は、アントニオ・チーゼリ。
彼の描いた 《キリストの埋葬(死せるキリストの墓への運搬)》 の前に立った時、金縛りにあったかのような衝撃を受けました。
画面全体にほとばしる悲しさや悲壮感から目を背けてはいけないような気がしたのです。
宗教画を観ているというよりも、
まるで戦争や震災の悲惨さを伝える報道写真を見ている感覚に近いものがありました。
ある意味で印象に残った作家は、デ・キリコの実の弟アルベルト・サヴィニオ。
彼の描いた 《オルフェウスとエウリュディケ》 は、なかなかに衝撃的でした。
“オルフェウスとエウリュディケ” と言えば、ギリシャ神話で有名な吟遊詩人と、その妻。
ある日、エウリュディケは毒蛇に噛まれて命を落とします。
オルフェウスは、愛する妻を取り戻すために冥府へと向かい、
冥府の王ハーデスから、 「地上に出るまで決して妻の方を振り向いてはならぬ」 と言い付けられたのだが・・・。
という内容の話で、神話画のモチーフとしても、多用されています。
一般的な画家は、このように、 《オルフェウスとエウリュディケ》 を描きますが↓
アントニオ・サヴァニオの手にかかると、このようになります↓
ギリシャ神話感は、全くありません (笑)
普通の外国人夫婦のリビングでの様子です。
「オルフェウス、何かダサい服着てね??」
と思ったら、竪琴がプリントされているのですね。吟遊詩人だけに。
オルフェウスは、意外と私服がイケてない。
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トスカーナと近代絵画 もうひとつのルネサンス
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