(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
今回ご紹介するのは、練馬区立美術館で開催中の “野口哲哉展―野口哲哉の武者分類図鑑―” という美術展。
ちなみに、美術展タイトルは、 “武者分類” と書いて、 “むしゃぶるい” と読ませるのですが。
その名の通り、衝撃と感動で武者震いが止まらない美術展でした。
3つ星!
こちらは、1980年生まれ、まだ30代前半のアーティスト野口哲哉さんの初個展。
野口哲哉さんは、デビュー以来、一貫して鎧武者をモチーフにした作品を発表し続けるアーティストです。
鎧武者と聞いて、
「う~ん、私、歴女 (歴男) じゃないし・・・」
と、スルーしようとしている方もいらっしゃるでしょうが。
歴女 (歴男) でなくても、絶対に楽しめる美術展です。
例えば、こちらの 《誰モ喋ッテハイケナイ》 という作品。
パッと見は、普通の鎧武者のフィギュアのようですが、
よく見れば、侍のくせに (?) 、ウォークマンを聞いています (笑)
この表情は、完全に、あのソニーのCMのパロディですね。
また、こんな作品も。
こちらも、やはり普通の鎧武者像のようですが、
甲冑のいたるところに、お馴染みのシャネルのダブルCマークが。
その名も、 《シャネル侍着甲座像》 です (笑)
このように、鎧武者をモチーフに、独創的でユーモア溢れる作品を生み出すのが、野口哲哉というアーティスト。
ちなみに、 《シャネル侍着甲座像》 の横には、野口さん自らが制作したキャプションが。
もちろん、日本の歴史上に、紗錬家なんていません (笑)
すべて野口さんによる “でっち上げ” の世界です。
野口さんが生み出す作品は、どれも軽く嫉妬してしまうくらいに面白いのですが。
ただ面白いだけの作家に留まらないのは、一つ一つの作品のクオリティが異常なほど高いことにあります。
自他共に認める甲冑マニアだけあって、膨大な知識に裏打ちされた上で、 “おふざけ” していますし。
何よりも、肝心の甲冑は・・・
素材こそ現代の素材を使っていますが、作り方は実際の鎧兜とほぼ一緒。
一つ一つのパーツをちゃんと編み込んで、丁寧すぎるほど丁寧に作られているのです。
しかも、本物志向すぎるがゆえ、これらの鎧は本当に着脱可能。
野口さんのそのこだわりようには、思わず兜を脱いでしまいました。
野口さんの才能は、立体作品だけでなく、平面作品でもいかんなく発揮されています。
こちらは、野口さん24歳の時の自画像 《作者二拾四寿像》 です。
いかにも古い掛軸のようですが、もちろん野口さんによるパロディ。
ちなみに、画中の野口さんが右手に持っているのは、ガリガリ君とのことです (笑)
平面作品では、他にも、ホバリングする武者たちの姿を描いた 《武人浮遊図屏風》 や、
ネコ好きの武将がネコ耳の甲冑を付けて猫を散歩する 《着甲武人猫散歩逍遥図》 が印象的。
その絵の隣には、そんなネコ好きの武将が愛猫のために作らせた猫用の鎧が飾られていました (笑)
この美術展は、練馬区立美術館で開催された後、
アサヒビール大山崎山荘美術館に巡回するそうなのですが。
こちら練馬区立美術館の展示でのみ特別に、実際の鎧兜や、
鎧兜が描かれた美術作品も、併せて展示されています。
これらの展示品と併せて観ることで、より重層的に野口さんの作品が味わえることでしょう。
また、中には、江戸時代の屏風作品と野口さんの作品の時代を超えた奇跡のコラボレーションも。
他にも紹介したい作品が、まだまだまだ・・・あるのですが。
記事を3回くらいにわけないといけないので、泣く泣く断念。
あとは、是非、ご自身の目で楽しまれてくださいませ。
言い忘れていましたが、今回出展されている作品はすべて個人蔵なので、
今回見逃すと、もう二度とお目にかかれない可能性は大ですよ。
最後に。
会場にたまたま居合わせた野口さんとの2ショット。
こちらも、ある意味、奇跡のコラボレーションです (←?)
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野口哲哉展―野口哲哉の武者分類図鑑―
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