今も昔も、日本人は、有名人が大好き?!
そんな日本人のミーハーぶりの原点がわかる (?) 美術展が、太田記念美術館で開催中です。
その名も、 “大江戸スター名鑑” 。
2月26日まで。
僕らにとって、スターと言ったら、
にしきのあきらですが (←?)
江戸の庶民にとって、スターと言ったら、
歌舞伎役者。
ちなみに、上の 《里見八犬士之内 犬山道節》 を演じているのは、五代目坂東彦三郎。
今では、一部の歌舞伎役者 (灰皿テキーラな人とか、愛人を作るわ息子と和解するわ…な人とか) を除いて、
あまり芸能ニュースの話題には登らないですが。
江戸時代は、まさに、歌舞伎役者は、スター街道まっしぐら。
テレビや雑誌などのメディア媒体がないため、
浮世絵という形で、さまざまな歌舞伎役者が描かれました。
例えば、こちら。
《初代河原崎権十郎のおぼう吉三 三代目岩井粂三郎のおぜう吉三 四代目市川小団次の和尚吉三》 と、
タイトルが異様に長い (笑)!!
その理由は、予定されている公演で、
どの役者が、どの役を演じるのかを、伝えるため。
つまり、浮世絵は、当時の 『ザ・テレビジョン』 のような役割も果たしていたのです。
会場には、実にたくさんの役者絵が、
詳細なキャプションとともに紹介されています。
(↑学芸員さんの趣味でしょうかw??)
その中には、あの有名な一枚も。
東洲斎写楽の 《初代市川鰕蔵の竹村定之進》 です。
ところで、この絵。
描かれている人の名前に、ご注目。
初代市川鰕蔵となっていますよね。
でも、僕らがよく知る人間国宝の彼は、市川海老蔵。
なぜ、字が違うのでしょうか??
実は、市川鰕蔵。
三代目松本幸四郎⇒五代目市川團十郎と襲名した後、
自分の父が襲名した市川海老蔵の名を、
「おれはえびはえびでも雑魚えびの蝦」
と、謙遜し、 “鰕蔵” を名乗ったのだとか。
何とも粋な江戸っ子ジョークですねぇ。
さてさて、美術展会場には、他の分野のスターもちらほらと。
江戸の全男子の憧れ・遊女に、
江戸のスポーツヒーロー・相撲取りに。
でも、全体な割合で言うと、
「歌舞伎役者:遊女:相撲取り=8:1:1」
といったところでしょうか。
(↑やっぱり学芸員さんの趣味でしょうかw??)
歌舞伎が好きな人には、大変興味深い美術展だと思います。
最後に。
こんな珍しい一枚も。
勝川春好 《江戸三幅対》
歌舞伎界から、初代市川鰕蔵。
花柳界から、扇屋の遊女・花扇。
そして、相撲界からは、勝率9割5分 (!) の谷風。
ちなみに、描かれているのは、
谷風と花扇の飲み比べ対決を、初代市川鰕蔵が行司役をつとめるの図。
3ジャンルのスターが、そろい踏みの豪華な一枚です。
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大江戸スター名鑑
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