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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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【告知】 現在募集中のアートツアー 【告知】

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現在募集中のアートツアーです。
アートや建築に興味のない方でも楽しんで頂ける企画となっておりますので、
どうぞお気軽にご参加くださいませ音譜
定員になり次第、募集は〆切らせて頂きますので、よろしくお願いします。



・8/26(日) 科学&考古学!夏の上野の展覧会巡り

2012年夏。
上野の美術館が、いつになく熱い夏です!
フェルメールに、ツタンカーメンに、もう一つおまけに、フェルメールに。
どの展覧会も混雑は必至です。

そんな中、あえて、それらの行列を尻目に (←?)
2つの見逃せない2012年上野の夏の展覧会を、皆で巡りましょう♪

一つは、東京藝術大学大学美術館で開催中の “草原の王朝 契丹”
先日の 『世界ふしぎ発見!』 でも取り上げられたばかりの契丹文明。
日本の国宝に相当する “一級文物” が多数出展されている貴重な展覧会です!


そして、もう一つは、 国立科学博物館の “特別展「元素のふしぎ」” です。
あまり馴染みのない元素の世界を、
体験型の展示も交えつつ、楽しく紹介してくれる展覧会。
なんでも、 『科学の遊園地』 のような展覧会とのこと。
これは、皆で行くしかないですね!


募集定員は、10名ほど。
時間は、11時から16時を予定しています。
途中、ランチ休憩を挟みます。
参加費は特にかかりません(昼食代・チケット代は、各自ご負担くださいませ)



新たなツアー企画は、内容が決まり次第、随時こちらの記事を更新してお伝えいたします。


参加希望の方は、こちらのメールフォームよりお知らせください。
http://homepage3.nifty.com/art-teller/tony_contact.htm


無料で観れる 美術百選 《ロイヤル・クリスタル・カフェ (東京都中央区) 》

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銀座でギャラリー巡りをした後は、
銀座で優雅にコーヒータイムをしたいもの。
もし財布に余裕があるならば、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ロイヤルクリスタル


こちらのロイヤルクリスタル銀座ビルの地下1階にある・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ロイヤルクリスタル銀座ビル


ロイヤル・クリスタル・カフェがオススメです。

こちらのカフェは、ドトールの創業者さんが、
「世界一のカフェを作りたい!」 と、2007年にオープンさせた超VIPなカフェ。

「最高級のコーヒーを 贅沢な空間で・・・」

という看板に偽りなしのカフェです。

では、早速、ふかふかの絨毯が敷かれた階段を降りてみましょう。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-階段


すると、カフェの入り口脇に・・・シャガールのリトグラフが!!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-シャガール


無料で観れる 美術百選 097  マルク・シャガール 《無題》


ここから先は、カフェとなりますので、
無料で観れるのは、ここまでですが (笑)

せっかくなので、中に入ってみました。
財布が心配ですが、これもブログの記事のためです!

扉の先に待っていたのは、想像していた以上に、ロイヤルクリスタルな空間でした。
素敵なシャンデリアや生花に、優雅に魚たちが泳ぐ水槽に、
一脚数百万するというアンティークのカップ&ソーサーに。
ハーフパンツで入ってしまったことを激しく後悔いたしました。
(しかし、追い出されたり注意されたりすることもなく、普通に対応して頂けました)

「ご注文は何になさいますか?」

と聞かれ、メニューを見ると、その価格も、なかなにロイヤルクリスタル。
とりあえず、メニューの中では、一番安いコーヒーを注文しました。
とは言え、一杯1200円。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-コーヒー


このコーヒー一杯で、吉野家の牛丼 (並) なら3杯も食べれます。
(こういう計算をするところが、我ながら貧乏くさい)


しかし、このコーヒー1杯が1200円と思うと、少々高い気もしますが。
実は、ロイヤル・クリスタル・カフェの店内には、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-シャガール  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-シャガール アップ


シャガールの油彩画 (もちろん本物!) も飾ってあるのです。
それを間近で観ながら、コーヒータイムを楽しめるかと思えば、
コーヒー1杯1200円でも、そんなに高くない気がしてきました。
(マリー・ローランサンや林武の絵、 マイセンの陶器も展示されています)


無料で観れるのは、カフェの外にあるシャガールのリトグラフのみですが。
1200円以上払えば、美味しいコーヒーと素敵なアートが堪能できます。
気分は、なんとなく、ロイヤルクリスタル。



<無料で観れる美術 データ>

ロイヤル・クリスタル・カフェ

住所:東京都中央区銀座5-4-6 ロイヤルクリスタル銀座 B1

アクセス:○東京メトロ丸の内線「銀座」より徒歩3分


この美術室を盛り上げるワンクリックも、無料で出来てしまいます。
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ツタンカーメン展 ~黄金の秘宝と少年王の真実~

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“マウリッツハイス美術館展” と同じくらいに、今年大注目の美術展に行ってきました。
上野の森美術館で開催中の…

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ツタンカーメン展


“ツタンカーメン展 ~黄金の秘宝と少年王の真実~” です。
東京に先駆けて開催されていた大阪会場では、
約4か月の開催期間中に、93万3110人が来場したというモンスター級の美術展。
はてさて、東京会場では、最終日の12月9日までに、何万人の方が来場するのでしょうか。
その記録が、今から気になるところです。

僕の予想としては、きっと大阪会場と同じくらいに、来場者数が伸びるはず。
そう読んで、空いているうちにと、
まだ始まって1週間も経っていない今週火曜日 (=8/7) に、会場を訪れたのですが・・・。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ツタンカーメン展


すでに、美術館の周りには、多くの人が!
始まって、間もなくでも、こんなに人気があるなんて。。。
ツタンカーメン人気、恐るべしです。

ちなみに、僕は13時半には、美術館に到着したのですが・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-整理券


その時、配布されていた整理券は、 「15時~15時15分」 のもの。
列に並ぶ手間が省かれるとは言え、
この時点で、実質、1時間半待ちが決定です。
仕方がないので (?)、トーハクで時間を潰してきます。
(その模様は、明日のブログ記事に!)


時計1時間半経過時計


時間になったので、上野の森美術館に帰還。
係員の方に整理券を渡し、ようやく列に並べることになりました。
そこから、約20分くらい並んで、
実際に、美術館に足を踏み入れたのは、15時25分のことでした。

というわけで。
これから行かれる皆様は、
到着時間+約2時間 (8/7現在) で、美術館に入れると思っておいた方が良いでしょう。


さてさて、そうして、ようやく中に入ることが出来たツタンカーメン展。
しかも、2700円という破格の入場料を支払って入ったツタンカーメン展。
(2700円は、平日価格。土日祝だと、3000円)
Wで期待が高まってしまったからなのでしょうか。。。
率直な感想としては、

「・・・・・・・・・えっ?これだけ??」

でした。

いや、勘違いしていた自分に、全面的に非があるのを認めますが。
“大阪では、93万3110人が来場” し、
“入場料を2700円も取る” 美術展なので、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ツタンカーメンの黄金のマスク


勝手に、《ツタンカーメンの黄金のマスク》 も来ているものとばかり思っていました。
しかし、上野の森美術館の隅から隅までを探したものの、
当然、 《ツタンカーメンの黄金のマスク》 は無く、
代わりに (?) 、展示されていたのは、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-黄金のカノポス


ツタンカーメンの墓から出土したとされる 《黄金のカノポス容器》 でした。
(カノポス容器・・・ミイラを作る際に、体内から取り出した内臓を入れる容器)
今回のツタンカーメン展の宣伝で、大々的に取り上げられているのは、コレです。

内臓を内蔵するための容器なので、大きさは、マトリョーシカくらいのサイズ。
“思ったよりも、小っちゃ!” 感は、否めません。
そのことにも軽くガッカリしたのですが、
この後に、さらなる衝撃的なガッカリ事実を知ることになりました。
なんでも、このカノポス容器。
その顔が、あまりツタンカーメンに似ていないことから、
この容器は、おそらくツタンカーメンのために作られたものではないらしいとのこと。

「ツタンカーメン展のメインが、ほぼツタンカーメンに関係ないんかい!!」

もちろん、黄金に光り輝く豪華な装飾は、眩いくらいに美しかったですし。
実は、後ろから見ると、髪を束ねている姿が、
まるでドン小西のようだという、新鮮な発見 (←?) もあったのですが。
僕個人の感想としては、
「2700円は、やはり高い!」 というのが、率直なところ。
メインが、ツタンカーメンのマスクではなく、
《黄金のカノポス容器》 とわかっていたなら、行かなかったかもしれないです。
やはり、行く前に調べることって、大事ですね。
星

2700円もあれば、先日紹介した “どうぶつ大行進” なら、
13回観賞しても、さらに、お釣りが100円却ってきますし (笑)



さてさて、個人的には、1ツ星を付けましたが。
エジプト文明が好きな方なら、間違いなく楽しめる美術展であることは確かです。

《ツタンカーメンの半身像》 や、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ツタンカーメンの半身像


《ツタンカーメンの銘入りガラス製枕》 をはじめ、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ツタンカーメンの銘入りガラス製枕


王家の谷で発掘された貴重な出土品が、約120点ほど紹介されています。
それらの中には、考古的に貴重な品もありましたが、
考古ファンならずとも、思わず目を奪われる純粋に美しい品も数多くありました。

特に印象に残っているのは、 《有翼スカラベ付き胸飾り》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-有翼スカラベ付き胸飾り


「これぞ、エジプト!」 という造形が、これでもかと施されたアクセサリーです。
こんなゴージャスな胸飾りが似合うのは、レディー・ガガか叶姉妹くらいなものでしょう。


基本的に、 “はぁ~” と、その美しさと豪華さに、ため息連発すること必至ですが。
そんな装飾品に交じって、唯一、なんかホッとしてしまった品がありました。
それは、 《ライオンの飾りのついた化粧容器》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ライオンの飾りのついた化粧容器


お世辞にも、ライオンの出来が良くありません (笑)
昭和の初期に出回ったオモチャみたいな感じです。
(とてもエジプトから出土したとは思えません!)
舌を出しているのが、なんとも憎めない感じです。

しかし、何故に、化粧容器にライオンが乗っているのでしょうか?
“いつも暮らしの中に” ライオン、ということなのでしょうか??




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青山杉雨の眼と書

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国立西洋美術館では、 “ベルリン国立美術館展”
東京都美術館では、 “マウリッツハイス美術館展”
そして、上野の森美術館では、 “ツタンカーメン展”

一体、どの美術展が、この夏一番の入場者数となるのか。
今、上野の美術館同士で、熱き熾烈なバトルが繰り広げられているのです!!



・・・・・と、そんな中。
上野を代表する東京国立博物館は、今、何をしているのでしょう??
もちろん、この熱き熾烈なバトルに挑んでくるはずですよね・・・・・って、あれ?!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-トーハク


「ガラガラやないか~い (笑) !」

先に断わっておきますが。
これは、ブログの記事を面白くしようと、
あえて、人が少ない時を狙って撮影した写真ではありません。
本当に、終始こんな感じだったのです。

その原因は、間違いなく、現在開催中の美術展にあります。
現在開催されているのは、 “青山杉雨の眼と書” という美術展。
昭和から平成にかけて書壇に一時代を画した書家・青山杉雨 (1912~1993) の大々的な回顧展です。

“・・・・・・・・・・・誰??”

いや、青山杉雨さんには、何の非もありませんが。
こんなにも上野が、やれフェルメールだ、やれツタンカーメンだ、で盛り上がっている時に、
一般的に、お客さんが集まらない 『書』 の美術展、
それも、国民的・・・というほどではない書家の美術展を開催する、トーハクの真意がわかりません (笑)
むしろ、こういうタイミングでこそ、 “ボストン美術館 日本美術の至宝” や、
“北京故宮博物院200選” のような人気が集まる美術展を開催して欲しいものです。
無気力試合のような気がしてしまったので、1ツ星。
星


書が好きな人には、たまらない美術展なのでしょうが。
(実際、会場にいたお客さんは、書に携わっているっぽい方ばかりでした)
そこまで書に興味がない人間にとっては、
これほど足早になってしまう美術展はないのではないでしょうか (笑)


さてさて、こちらの美術展は、大きく2つの柱に分かれています。
1つの柱は、青山杉雨の書に関するコレクション。

楊維楨の 《張氏通波阡表巻》 をはじめ、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-張氏通波阡表巻


彼が熱心に蒐集した中国の書画の貴重なコレクションの数々が、一挙に展示されています。
さらに、


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-蘭亭洮河緑石抄手硯


《蘭亭洮河緑石抄手硯》 のような文房四宝のコレクションも
紹介されています。

正直なところ、中国の書画に関しては、どの作品もよくわからなかったのですが (笑)
文房具好きな身としては、文房四宝のコレクションは、
今の文房具にも通ずるものがあって、思った以上に楽しく眺めてしまいました。
ちなみに、一番インパクトに残っている文具は、 《鶏血石印材》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-鶏血石印材


凶器のようにも見えますが、ご心配なく (←?)
これは、もともとこういう色の石なのです。
ちなみに、この石は、 “鶏血石” と呼ばれるのだそうですが、
あまりに貴重なことから、 『幻の石』 とも言われているのだとか。
貴重かもしれないですが、プレゼントの包装紙を開けて、
もし、この石が入っていたら、嫌がらせ以外の何物でもないと思うことでしょう (笑)


そして、美術展のもう一つの柱は、もちろん青山杉雨の書。
作品によって、それぞれ表情がガラッと変わるため、
“一作一面貌” と評される青山杉雨の書。

《白楽天・間夕》 も、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-白楽天・間夕


《萬方鮮》 も、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-萬方鮮


《黒白相変》 も、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-黒白相変


どれも青山杉雨の書です。
その変幻自在ぶりは、まるでカメレオン。
カメレオン俳優ならぬ、カメレオン書家です。

くどいようですが、書に関しては、あまり明るくない僕ですが。
青山杉雨の書は、作風が変幻自在のため、
「次はどんなのが来るのかな??」 と、意外と楽しく観賞できました。
普段は、書を観ても、 “ふ~ん・・・” くらいしか思わないのですが、
青山杉雨の書には、 “リズミカルだな♪” とか、 “ぬめぬめしてるな” とか、
いろいろな感想が湧いて出ました。
書を観ているというよりは、絵を観ているのに近い印象です。


というか、 《殷文鳥獣戯画》 なんて、もはや絵です (笑)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-殷文鳥獣戯画


思ったよりは、楽しめましたが、
僕が、これまで訪れたトーハクの美術展の中では、断トツにお客さんの少ない美術展であったことは確か。
どうして、こんな冒険をしたのでしょうか。
夏は、人だけでなく、博物館も大胆になるみたいです。




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日本のCMのぜんぶ1953―2012

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1953年8月28日。
日本テレビにて、日本初のテレビCMが放映されました。




その記念すべき第1号のCMが放映されてから、約60年。
こんなCMや、




あんなCMに、




そして、こんなCMが、




日本のテレビでは放映されてきました。
それらは、単なるテレビ広告の枠に留まらず、
もはや、日本の社会史において欠かせない一つのカルチャーとなっています。

そんな日本のテレビCMの60年史を余すことなく紹介している展覧会が、
現在、アド・ミュージアム東京にて開催されています。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ポスター   アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-たった15秒なのに、何十年もおぼえている。


その名も、 “日本のCMのぜんぶ1953―2012”
ちなみに、キャッチコピーは、

「たった15秒なのに、何十年もおぼえている。」

です。
名コピーですね。


展覧会は、大きく分けて2部構成になっています。
まずは、日本のテレビCM界を代表する5人のクリエイター…
山川浩二さん、小田桐昭さん、宮崎晋さん、鏡明さん、佐々木宏さんをフィーチャーしたパート。
それぞれの方がテレビCMに関して熱く語るロングインタビュー映像、
そして、そ代表的CMと、同時代のCMの数々がループで流されています。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-アドミュージアム


お恥ずかしながら、どのクリエイターの方の名前も存じ上げませんでしたが。
やはり日本を代表するクリエイターたちだけあって、
その代表作であるCMは、見たことがあるものばかりでした。
個人的には、1990年代を代表する鏡明さんのコーナーが、世代がどストライクでした。
ちなみに、鏡明さんとは、このCMを作った人です。




小学生時代に、よく弟と一緒に、このCMを真似して遊んだものです (笑)
久しぶりに、このCMを見て、思わず噴き出してしまいました。
また、同じ映像リスト内で流れていたCMの中で、
思わず噴き出してしまったものが、もう一つありました。
いやぁ、こちらも懐かしい!




この第1展示室のパートを観賞しただけで、
気づけば1時間以上は、ゆうに滞在してしまっていました。
恐るべし、CMパワー。


続いて、第2展示室へ。
こちらでは、約60年分のCMが、
“長いCM・短いCM” や “文化人が出演したCM” など、
テーマ別にカテゴライズされて、ループで上映されていました。
個人的に、一番足を止めたのは、 “動物が登場するCM” のコーナー。
こんな懐かしいCMも紹介されていました↓




なんだかんだで、この第2展示室も、1時間以上は堪能してしまいました。
CMパワー、恐ろしすぎます。


これで、すべて観終えたかと思いきや。
最後の最後に、JACが選んだ 『CM500選』 を一挙紹介する映像コーナーが待ち構えていました。
(JAC…ジャパン・アクション・クラブではなく、日本アド・コンテンツ制作社連盟)


もう、どれだけアド・ミュージアム東京に滞在させる気だよ!!

・・・で、結局、閉館ギリギリまで、観てしまいました (笑)
CMパワーに完敗です。

こちらで流れているCMは、どれも見応えあり。
さすが、CM500選にセレクションされているだけはあります。
特に印象的だったのが、森永製菓の 『カレ・ド・ショコラ』 のCM。




CMというより短編のコメディ映画。
映像作品としては素晴らしいですが、
CMとして、どれくらい広告効果があるかは不明です (笑)



いやはや、予想以上に、滞在してしまう展覧会でした。
皆さまも、時間には余裕を持ってお出かけくださいませ。

「たった15秒なのに、何時間もたのしめる。」




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第三十話 国宝ハンター、仰け反る

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前回までのあらすじ~
 こんばんは。国宝ハンターです。
 探し物は、国宝です。
 見つけ難いものです。
 カバンの中も机の中も、一応探してみましたが、当然無かったので、まだまだ探す気です。
 踊っている時間もありませんし、夢の中に行っている時間もありません。
 というわけで、227件目の国宝を探しに行ってきます。



今月の 『美の巨人たち』 は、国宝建築シリーズ
先週の放送では、彦根城を。
今夜の放送では、大浦天主堂を。
そして、来週再来週は、中尊寺・金色堂と赤坂離宮・迎賓館を取り上げる予定なのだとか。
国宝ハンター的には、見逃せないプログラムです。

しかし、悲しいかな。
この4件とも、まだ訪れたことがありません。
というか、国宝ハンターとして訪れたことがある国宝建築は、
5月の京都弾丸国宝ツアーでの一連と 《金蓮寺弥陀堂》第17話)しかないのです。
(国宝建築全216件のうち、24件しか観ていない)

これは、国宝ハンターとしては、由々しき事態!!

そこで、今月は、国宝建築強化月間として、国宝建築を中心にハンティングすることに決めました。


さて、そこで向かったのは、




『東村山音頭』 でおなじみの東村山市。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-東村山


実は、この街には、都内には2つしかない国宝建築うちの1つがあるのです。わぁ~お。

駅から歩くこと、約10分。
お目当ての国宝建築が見えてきました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-正福寺地蔵堂


この門をくぐれば、国宝の 《正福寺地蔵堂》 (ジャンル:建造物) が目の前に現れます。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-正福寺地蔵堂


もう少し寄ってみましょう。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-正福寺地蔵堂


こちらの 《正福寺地蔵堂》 は、
応永14 (1407) に建立された、典型的な禅宗様(唐様)建築の代表的な建造物です。
その様式は、鎌倉の円覚寺舎利殿と全く同じなのだとか。
特徴的なのは、何と言っても、屋根の反り。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-正福寺地蔵堂


「背筋ピーン!!」 というくらいの強い反り (←?) は、円覚寺舎利殿以上なのだそうです。
京都の国宝建築に比べると、地味な感じが否めなかった 《正福寺地蔵堂》 ですが。
この屋根の反りは、一見の価値あり!
思わず仰け反るほどに、カッコいいです。
もはや何かの秘密基地みたいな印象を受けました。

しかも、細部も、よくよく見てみると、なかなかにオシャレ。
窓が、花の姿をイメージしていたり、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-正福寺地蔵堂


欄間が波模様だったり、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-正福寺地蔵堂


入口の扉に、幾何学的な意匠が取り入れられていたり。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-正福寺地蔵堂


やはり国宝の建築だけあって、見どころはいっぱいです。

ちなみに、僕が訪れたのは、8月8日。
毎年、 8月8日9月24日11月3日の3日間だけは、
こちらの 《正福寺地蔵堂》 の内部を特別に開帳しているそうです。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-地蔵


お地蔵様を拝みたいという方は、ぜひ、この日程で!

お地蔵様に直接拝めるという、せっかくの機会だったので、
僕は、これからの国宝ハンティング旅の無事を祈っておきました。
それと、どうしてもお地蔵様に聞いておいてもらいたいことが。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-正福寺


「入り口脇のポスター、3年前のものですよ。」

伝わっていれば、よいのですが。


今現在の国宝ハンティング数 227/1084




国宝ハンターは、ランキングにも挑戦中
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ウルトラマン・アート!

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本日は、男子必見の美術展をご紹介いたします。
その美術展とは・・・、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ウルトラマン・アート!


“ウルトラマン・アート!” です。
もはや日本を代表するサブカルチャーの一つとなった 『ウルトラマン』 。
その世界を、怪獣のデザイン画や当時の記録写真など約400点の展示品を通じて、
アートの視点から検証しようとする美術展です。
2010年に、北海道旭川美術館で開催されたのを皮切りに、
岩手県民会館、鹿児島市立美術館、福井市美術館、茨城県近代美術館、長崎県美術館…と、
実際のウルトラマンと同じくらいに (?) 、全国を飛び回っている美術展です。
現在は、埼玉県立近代美術館で開催中。

というわけで、埼玉県立近代美術館に行ってまいりました。
ジュワッチ!

先日までは、草間彌生一色だった埼玉県立近代美術館ですが。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-埼玉県立近代美術館


今は、すっかりウルトラマンワールドに!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-埼玉県立近代美術館


もちろん外観だけでなく、館内も。
天井を見上げてみてください。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-埼玉県立近代美術館


鳥だ!飛行機だ!いや、ウルトラマンだ!


少年の頃は、毎年夏には欠かさずウルフェスに行っていた僕。
(ウルフェス…ウルトラマンフェスティバルの略)
この時点でも、テンションが結構高くなっていました (笑)
では、いよいよ、会場の中へ。


すると、そこには・・・ラブラブ!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-会場


バルタン星人が!!

そして、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ウルトラマン


ウルトラマンが!!

写真撮影が可能なので、パシャパシャ撮ってしまいました。
隣の部屋に移ると、今度は・・・ラブラブ!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ウルトラセブン


ウルトラセブンが!!

さらに、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ビラ星人


ビラ星人が!!


そしてそして、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-メトロン星人  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-メトロン星人


メトロン星人が!!しかも、ちゃぶ台のシーンの!!

写真を撮る手が止まりません f^^;
気づけば、僕の周りにいた人も、パシャパシャと撮影に勤しんでいました。


これにて撮影可能コーナーは、終わり。
ここから先は、写真撮影が禁止となっています。

「何だよ、もっと写真を撮らせてくれよ!」

とも思ったのですが。
冷静に考えてみると、
記念写真が撮影可能なことといい、
展示されているものそれ自体といい。

「てか、入り口からここまでって、美術展というかウルフェスじゃない?」

という印象。
これは、写真撮影を楽しんでいる場合ではありません。


続く会場に展示されていたのは、
彫刻家・成田亨によるウルトラマンや怪獣たちの原画の数々。
これまで、何度か目にする機会がありましたが、
やっぱり、成田亨による原画の数々は、イイですね。
それぞれの造形に哲学があり、
単なる子供騙しのヒーロー&怪獣なのではなく、
一流クリエイターによる一流のアート作品であることを実感させられます。


成田亨のウルトラな原画をじっくり観賞した後は、
日本のシュルレアリスムを代表する画家・高山良策による造形された怪獣の数々を観賞。
撮影で使われた実物とあって、だいぶ年季が入っていました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《ゴモラ(頭部)》


《ゴモラ(頭部)》 なんて、相当ボロボロです (笑)
ウルトラマンとの戦いで、ここまでダメージを受けたのでしょうか??

成田亨のデザイン原画も、もちろん素晴らしいのですが、
その2次元の怪獣を、実際に立体的に造型し、命を吹き込んだ高山良策も素晴らしい。
怪獣なのに (?) 、リアリティすら感じられるから、不思議なものです。

しかし、何より不思議なのは、
彫刻家である成田亨に、怪獣のデザイン画を描く才能があり、
画家である高山良策に、怪獣を造形する才能があったこと。
普通に考えたら、逆のような気がしますが (笑)


美術展は、この後、撮影小道具や台本の展示、
怪獣のソフビ人形に、ウルトラマンのフィギュアの展示が続きます。
ウルトラマン少年だったので、僕は楽しめましたが、

「ぶっちゃけ、やっぱり美術展というかウルフェスじゃない?」

という印象。
成田亨と高山良策のコーナー以外は、
あまり、アートの要素を紹介していなかった気がします。
一応 (?) 、美術展の最後に、伊藤隆介さんというアーティストによる、
ウルトラマンをモチーフにしたインスタレーション作品 《Flying Giant》 が展示されてはいましたが。
全体を通じてみると、ほぼウルフェス状態です。
ウルフェスなら、2ツ星でしょうが。
これは、あくまで、美術展なので、1つ星。
星



とは言え、全男子が楽しめるのは、確か。
少年たちだけでなく、少年の目をしたオジサンたちも、はしゃいでいました (笑)




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三井版 日本美術デザイン大辞展

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三井記念美術館で開催中の・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-三井版 日本美術デザイン大辞展


“三井版 日本美術デザイン大辞展” に行ってきました。
こちらは、三井記念美術館が、
古美術入門編として定期的に企画している 「美術の遊びとこころ」 シリーズの最新展。
HPでの告知曰く、

“「飛び出す絵本」 ならぬ 「飛び出す美術辞典」 ”

とのこと。
何やら楽しげな感じはしますが、一体全体どういうことなのでしょう??


日本美術ビギナーにとって、まず最初に立ちふさがる大きな壁が、

「葦手絵」・「鱗文」・「雲母摺」・「吹抜屋台」・「扁壺」 …等々

無数に登場する美術用語。
美術の本やキャプションに、当たり前のように登場しては、
それらの意味がわからない僕らを苦しめる憎いあんちくしょう (←?) です。
そんな苦手意識すら感じる美術用語の数々を、
今回の美術展では、実際の美術品とともに、50音順に辞書形式で紹介しています。

例えば、 「あ」 は、 「葦手絵(あしでえ)」 。
辞典風のキャプションに、以下のような説明がありました。

 “漢字や仮名文字を、岩や樹木などの風景のなかに隠すように描いた絵画。料紙装飾などに用いられ、次第に文様化して、蒔絵や服飾などに用いられるようになった。もともと「葦手」は、平安時代に行われた書体のひとつで、葦、水流、鳥、石 ... であった。葦の群生したさまに模したことから、「葦手」の名がある。”

そして、このキャプションとともに紹介されていたのが、 《舟月蒔絵二重手箱》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-舟月蒔絵二重手箱


確かに、上蓋をよく見れば、中央右の岩に、
『夜』 と 『雲』 という漢字が描かれています。
これが、 「葦手絵」 といヤツなのですね。勉強になります。


また、例えば、 “とに~” の 「と」 は、 「饕餮文」 。
実際に、 「饕餮文」 が施された 《古銅龍耳花入》 が展示され、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-古銅龍耳花入


その脇に添えられた三井版日本美術デザイン大辞展には、 「饕餮文」 の解説がありました。

“中国の商周時代の青銅器に表された文様。大きな目と牙をむき出した怪獣の顔を正面から見た形で、動物の様々な特徴を組み合わせて作られている。しかし、何を表したのか、何のために銅器の文様に用いられたかについては諸説あり、はっきりとわからない。なお、「饕餮」とは文献に現れる怪神の名であるという。”


と、まさに体験する美術辞典のような美術展。
会場では、 「あ」 の 「赤絵」 から始まり、
「わ」 の 「椀・碗」 まで、全部で73コの美術用語を学ぶことが出来ます。
全ての文字を網羅するために、
「り」 で 「柳営御物(りゅうえいごもつ)…徳川将軍家の名物茶道具」 を紹介するなど、
多少、強引な…もとい、力技な部分もありましたが (笑)
それでも、三井版日本美術デザイン大辞典を完成させてしまった担当学芸員さんに拍手です。
そして、何より、この壮大な美術辞典を、
自前で完成させてしまった三井記念美術館のコレクションの幅広さにも、改めて拍手。
ありそうでなかった楽しく学べる日本美術展。
星星星


ちなみに。
今回の美術展は、日本美術初心者が楽しめるのは、もちろんのことですが。
それなりに、日本美術に親しんできた人にも、楽しめること請け合いです。
というのも、紹介されている美術品は、
ただ単に、美術用語を解説するために展示されている、そこそこの美術品…では、決してなく。

「ら」 の 「楽焼」 に関連して、
重要文化財の長次郎作の 《黒楽茶碗 銘俊寛》 が。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-黒楽茶碗 銘俊寛


「う」 の 「雲龍」 に関しては、
京都の本山興正寺が所蔵する狩野探幽作の 《雲龍図》 が、特別出品されています。

他にも、野々村仁清の 《色絵鶏香合》 や、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-色絵鶏香合


新発見された円山応挙作の 《鍾馗図》 や、 《北斎漫画》 など名品珍品の数々が、
あくまで美術用語を解説するために、展示されています。
どの美術用語を説明するために、どの美術品が登場するのか。乞うご期待です。


最後に、今回、一番の衝撃を受けた作品群を。
それは、 「牙彫(げちょう)」 として紹介されていた作品たち。
ちなみに、 「牙彫」 とは・・・

“動物の牙を用いた細工物。主に美しい光沢のある象牙が用いられる。奈良時代からみられるが、流行したのは江戸時代中期以降で、とくに根付(ねつけ)に精巧な技巧が凝らされた。明治時代以降も、その細密技巧が外国人にも愛好され、さらに盛んとなり彫刻的な作品も製作された。”

と、ありました。
そこで紹介されていたのが、竹内実雅の 《牙彫田舎家人物置物》 という作品。
1本の象牙を彫って出来上がったのが、こちら↓
http://www.museum.or.jp/uploads/topics/topicsd9368a7bd73495e247710c659f9bf8de.jpg


この完成度は、衝撃的!
これまで数多くの彫刻作品を観ていますので、
ちょっとやそっとでは驚かなくなっている僕ですが、思わず声を上げてしまいました。
手前の人々、木、家の表現も見事すぎますが、
家の横にある水車の表現は、もはや神の領域!!
(画像ではわかりませんが、会場にて右横から観ると、そのスゴさがわかります)
家の中にいる人に関しては、もはやどのように彫刻したのか、想像すら出来ません!!!

さらに驚かされたのは、こんなにも超絶技巧な作品に関わらず、
当時出展した文部省美術展覧会では、三等の評価だったとのこと。
一等、二等は、どんなんだ?!


《牙彫田舎家人物置物》 で十分すぎるほど驚いたのですが、
その隣にも、安藤緑山なる人物による驚くべき牙彫作品が・・・。

http://www.museum.or.jp/uploads/topics/topics1d5876e1c74d51556b633f57e1244c68.jpg


どこからどう見ても、本物の果物にしか見えないのですが、
こちらは、 《染象牙果菜置物》 という立派な牙彫作品。
知らずに食べたら、歯が折れます。
さて、この牙彫に彩色する技術は、安藤緑山なる人物が独自で考案したものだそうで、
彼が、誰にも教えず、この世を去ってしまったことから、一代限りの幻の技術になってしまったのだとか。


いやぁ、牙彫は奥が深い。 (←今日覚えたての美術用語)
次の 「美術の遊びとこころ」 シリーズは、 “大牙彫展” を希望します。




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Mission18 再び江戸川競艇場に潜入せよ!

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昨年、前後編に分けて、たっぷりご紹介させて頂いた江戸川アートミュージアム。
(前編は、こちら。後編は、こちら

「えっ、競艇場に美術館?!」

と、そのミスマッチな感じに驚かされつつも、行ってみると、
“想像していた以上に楽しかった♪” と、このブログの読者さんからも好評の美術館です。
このブログで紹介して以降、何度か自分が主催するアートツアーでも利用させて頂きましたが。
どのツアー参加者さんにも、本当に好評で、
僕の中では、 『アートテラーのすべらない美術館』 に認定している美術館の一つです。


そんな江戸川アートミュージアムですが。
今年に入ってからは、長いお休み期間に突入していました。

「まさか、不祥事??」

って、そんなわけはありません (笑)
以前のレポート記事を読んでいただければ、お分かりになると思うのですが。
江戸川アートミュージアムは、 “ミュージアム” とは名のつくものの、
実際は、江戸川競艇場内に点在するアート作品を、専属のガイドさんがツアー風に紹介するというもの。
つまり、正確には、 “ミュージアム” では無かったのです。


しかし、2012年。
江戸川アートミュージアムは、ついに本気を出しました (←?)
江戸川競艇場内に・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-江戸川アートミュージアム   


正真正銘のミュージアムスペースを作ってしまったのです!!
何と大々的なリニューアルオープンなのでしょう。。。

それに伴い、これまで場内に展示されていたアート作品の数々が、
このミュージアムスペースに集結!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ペコ


おまけに (?) 、職員用のスペースに置かれていたアート作品も・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ねずみ男  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ラッセン


こちらのミュージアムスペースに展示することにしたのだとか!!
(太っ腹なのか、自棄なのか)

今回のリニューアルオープンによって、
これまでのアートツアーで観ることが出来たアート作品+αのアート作品が、
他の競艇メインで来たお客さんに気兼ねせず、専用の施設で、ゆったりと観られるようになったのです。


さてさて、こちらの美術館の主なコレクションは、と言いますと。
店頭人形やホーロー看板など、 “昭和” を感じられる品々 (本物です) もあれば、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-昭和  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-昭和


歌川広重や歌川国芳の浮世絵もあり、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-浮世絵


人気急上昇中の美術家ムットーニさんのカラクリ作品もあれば、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ムットーニ


折り紙王・神谷哲史さんの旧作・新作もあります。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-神谷哲史


以前は、それらのアート作品が、江戸川競艇場内に点在していたので、そこまで意識しませんでしたが。
今回、一か所に集められたことで、改めて、そのコレクションの幅の広さに気づかされました。
一つの美術館としては、コレクションのジャンルが多様すぎる気もします。
好意的に捉えれば、 “おもちゃ箱のような美術館” 。
否定的に捉えれば、 “雑多な美術館” 。
お客さんが、ニュー江戸川アートミュージアムを、どちらのイメージで受け取るのか。
そこは、まさにギャンブルです!


参考までに、僕個人の意見としては、かなり好意的。
確かに、何も知らない人間が、
こんなにも展示品がバラバラな美術館に出くわすと、少々面食らうでしょうが。
実は、こちらの美術館には、普通の美術館にはある “アレ” が無いのです。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-展示室  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-展示室


それは、キャプション
文字通りの美術館になったとは言え、
これまでのようなガイドさんによるアートツアー形式には変わりがないそうで。
一つ一つの作品を、丁寧にガイドしてくださるのだとか。
(だから、キャプションは必要ないのですね)
ガイドさんが、その都度、作品を紹介してくれるのであれば、
むしろ、作品のジャンルが多岐に渡っていた方が、

「次は、何が来るんだろ?」

というワクワク感が得られて、僕は、良いような気がします。


ちなみに、ワクワク感と言えば。
ニュー江戸川アートミュージアムのあちこちに、いろいろな仕掛けが。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-市川


こちらは、以前も展示されていた市川健治さんのピクセル・モンタージュ作品。
しかし、この作品の奥には、市川健治さんのヒミツ新作が・・・・・でも、ここでは紹介しません (笑)

「それは、実際に、美術館に行ってのお楽しみ♪」

という理由も大いにありますが、
このブログの風紀を乱さないためにも…と、これ以上は、お口をチャック。


また、美術館の出口の脇の壁に、ポツンと展示された一枚の天使の絵。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-天使  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-アップ


明らかに、壁の向こうに、何かがある気配。
扉 (?) の先には、何が待っているのか。
それもまた、実際に、美術館に行ってのお楽しみ♪



今回は、一般オープン日前に、特別に潜入させて頂いたのですが。
実際のオープンは、8月26日から。
行ってみたくなった方は、是非、以下のフォームから予約のほどを↓
http://www.edogawa-art.jp/entry/index.html

リニューアルオープン後も、これまで同様、完全予約制ですので、
行く前に予約をするのをお忘れなきように。
また、これまで同様、アートだけでなく、ボートレースもランチも楽しめるとのこと。
それで、ツアー代が1500円というのは、お値打ち価格だと思います。

『アートテラーのすべらない美術館』 という認定は、今後も揺るがないことでしょう。


余談ですが。
江戸川アートミュージアムを訪れるたびに、
競艇に挑戦し、ことごとく外し続けているギャンブルの才能0の僕。
(と言っても、賭けるのは、常に100円w)

“久しぶりに訪れたし、今回も競艇にチャレンジしてみようかな♪”

と、闘志を燃やした途端、

「強風のため、本日のレースは中止になりました」

とのアナウンス。
もはやギャンブル運とかいうレベルでなく、運が無いようです。




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夢みる人 今敏

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武蔵野美術大学のキャンパス内にある武蔵野美術大学 美術館に行ってきました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-武蔵野美術大学


キャンパス内に生徒の姿は、ほとんどありませんでした。
まぁ、夏休みですからね。

現在、こちらの美術館では、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-夢みる人 今 敏


“夢みる人 今敏” が開催中です。
会期は、8月25日まで。
ちなみに、その日は、2年前に、
今敏さんが、ご自身のブログにて、 『さようなら』 と題された記事を発表した日にち。
日本が生んだ偉大なアニメ監督が急逝して、もう2年が経つのですね。。。
2年前のあの日、今敏監督がお亡くなりになったのを、
twitterで知って、しばらく何も手につかなかったことを今でも覚えています。


と、今敏さんを、皆様も知っているであろう前提でお話していますが。
中には、ご存じない方もいらっしゃるでしょうから、簡単にご紹介を。

代表作の 『千年女優』 や、




『パプリカ』 で、




国内だけでなく、国外からも高い評価を受ける今敏さん。
その影響力から、アメリカTime誌の 『2010年を代表する今年の100人』 に選ばれたほどの人物です。

ちなみに、意外にも (?) 、あまりアニメを見ない僕が、
唯一、その作品を全部観ている、というか、DVDも買っているほどのアニメ監督です。
今敏さんを超える天才は、いないのではないかと思っています。はい。
実は、生前に一度だけ、ご本人とお会いする機会があり、
その時に描いて頂いたサインは、僕の大切な宝です。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-サイン


そんな今敏さんが、膵臓がんでお亡くなりになったのは、2010年の8月24日のこと。
昨年は、一周忌に合わせて、新宿眼科画廊にて回顧展が開催されましたが。
今年は、今敏さんが、学生時代を過ごし、
また客員教授を務めた武蔵野美術大学で、大々的な回顧展が開催されているというわけです。

それでは、早速、会場に入ってみましょう。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-武蔵野美術大学


入り口に描かれている、こちらのウサギは、
今敏さんの年賀状に描かれたイラストを元にしたものなのだとか。
ちなみに。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-夢みる人 今 敏


ポスターに使われているのも、ウサギのイラスト。
こちらは、ウサギ年生まれの自分を、キャラクター化したイラストなのだそうです。
確かに、ご本人に似ています (笑)


さてさて、そこまで広くない会場なのですが、
そこには、約70点に及ぶ今敏さんにまつわる品が、ぎっしり展示されています。
今敏さんを敬愛する身としては、これ以上ない贅沢な空間でした。

展示の冒頭は、出身大学での美術展だけあって、
学生時代のデッサンや油絵など、課題作品や卒業制作の作品が展示されています。
学生とは思えない非凡な才能に、驚くというよりも、
もはや、あまりにスゴすぎて呆れてしまうほどでした (←?)

続いて、漫画家時代の今敏さんやアニメーション監督としての今敏さんの仕事が紹介されています。
やはり、驚愕的なのは、その原画の美しさ!!
アニメのイラストというレベルを、軽く飛び越して、立派にアートです。
普段、美術展に行っても、そこまで “持って帰りたい欲求” は沸かないのですが、
今回ばかりは、 “持って帰りたい欲求” を抑えるのに、必死でした (笑)


また、会場では、原画の展示とともに、
今敏さんの実質的に最後の作品である 『オハヨウ』 がループで流されていました。




この作品を、何周も観るに連れて、
「もっと、今敏さんの作品が観たかった。。。」 という気持ちが、
ムクムクと膨らんできてしまいました。
これ以上、会場にいると、泣いちゃいそうなので、そのまま会場を後にすることに。


いやはや、武蔵野美術大学は遠いですが、行った甲斐はありました。
ファンならば、必見の美術展です。
ファンでないなら・・・
星
1ツ星です (←そこは、公平な評価でw)


“この美術展に、是非行きましょう!” とは、
さすがに美術館まで遠いので、強くオススメはしませんが。
今敏さんの映画作品を観たことがない方は、是非、一度ご覧になってみてくださいませ!
オススメは、 『千年女優』 です。
サスペンス好きならば、日本のアニメーション史上初のサスペンスの…

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が、オススメです!
絶対、観なさい!(おすぎ風)

・・・・・あれっ、今日の記事は、
いつの間にか、美術展ブログでなく、映画ブログになってしまいましたね。




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50周年記念 タツノコプロテン

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本日は、紹介記事が2本のスペシャルデー (←?)
先ほど紹介した “夢みる人 今敏” に続いて、
もう1つもアニメに関する展覧会を紹介いたします。


2009年は、 “追悼 赤塚不二夫展~ギャグで駆け抜けた72年”
2010年は、 “水木しげる米寿記念 ゲゲゲ展”
そして、2011年は、 “ルパン三世展 ~This is the world of Lupin the 3rd~”
もはや松屋銀座の夏の風物詩となった、祖父江慎さんの演出によるアニメ展。

2012年の今年は、日本を代表するアニメ製作会社タツノコプロが、
設立50周年の節目を迎えるということで、 “50周年記念 タツノコプロテン” が開催中。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-タツノコプロテン  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-タツノコプロテン


もはや、タツノコプロに関して知らない方は、いない気もしますが。
一応念のために。

説明しよう!
株式会社竜の子プロダクション、通称タツノコプロとは、
1962年に、漫画家の吉田竜夫が、弟の吉田健二らと共に設立したアニメ制作会社である。
末弟で漫画家の九里一平 (本名: 吉田豊治) も参加し、3兄弟で運営を支えました。
1965年には、タツノコプロ単独では初となるアニメ作品 『宇宙エース』 が放送開始。




1967年には、カラー作品第一号 『マッハGoGoGo』 が放送開始。




以降、 『科学忍者隊ガッチャマン』 に、




『ハクション大魔王』 に、




『ヤッターマン』 (タイムボカンシリーズ) に、




と、70年代を中心に、人気アニメを次々と世に送り出した国民的アニメ制作会社です。

今回の展覧会では、実際のアニメ制作に使用された設定画やセル原画に、
創業者・吉田竜夫や九里一平が描いた迫力の肉筆原画・・・などなど。
タツノコプロが保管してきた貴重なアニメ関連資料のうち約300点が一堂に展示されています。

僕自身は、 『科学忍者隊ガッチャマン』 も 『ヤッターマン』 も、
再放送で見ていた世代なので、残念ながら、そこまでのめり込めませんでしたがf^^;
上で紹介した以外にも、
『おらぁグズラだど』 、 『新造人間キャシャーン』 、 『昆虫物語 みなしごハッチ』 、
『けろっこデメタン』 、 『宇宙の騎士テッカマン』 、 『未来警察ウラシマン』 …and more
時代を代表するアニメの原画やセル画が展示されているので、
世代どストライクの方には、たまらない展覧会と言えましょう!

タツノコプロのアニメに、お世話になったことがある方は、行っておしまいっ!
星


ちなみに。
今回も、ただ単にアニメ関連資料を並べた展覧会にはなっておらず、
ガッチャマンのシルエットが飛び交っていたり、ヤッターワンの立体模型が展示されていたり、
祖父江慎さんらしい楽しい演出がいっぱいの展覧会になっていましたが。

今回の展覧会で、残念も残念でならなかったのが、
パイプ椅子が何十脚も設置された映像コーナーで流れていた映像が・・・




日テレの 『ZIP!』 内の1コーナー “おはよう忍者隊ガッチャマン” の傑作選集だったこと。
いや、これも面白いことは面白いですが、
そこは、 『ヤッターマン』 とか 本家の 『科学忍者隊ガッチャマン』 の映像を流すべきでしょ!
この展覧会で、 “おはよう忍者隊ガッチャマン” の映像を流そうと決めた人は、
かなりのスカポンタンに違いありません (笑)


さてさて、 “50周年記念 タツノコプロテン” が開催されている松屋銀座。
展覧会の会場以外にも、タツノコプロワールドが拡げられているので、要注目です。
紳士服売り場には、ヤッターペリカンが。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ヤッターペリカン


化粧品売り場には、ドロンボーの三人乗り自転車が設置されていました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-自転車


紳士服売り場はまだしも、化粧品売り場にこの展示は・・・。
銀座の百貨店にしては、かなりの冒険と思われます (笑)




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国宝 古今和歌集序と日本の書

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アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-国宝 古今和歌集序と日本の書


大倉集古館で開催中の “国宝 古今和歌集序と日本の書” に行ってきました。

この美術展の目玉は、何と言っても、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-古今和歌集序


国宝の 《古今和歌集序》
大倉集古館を代表するコレクションのうちの一つです。
実は、この 《古今和歌集序》 は、
ここ3年にも亘って、文化庁の文化財保存事業により修理が施されていました。
今回の美術展は、その直し立てホヤホヤ (?) の 《古今和歌集序》 の、いわばお披露目興業的なものです。

修理仕立てだからでしょうか、それとも、そもそもが持っている美しさなのでしょうか。
《古今和歌集序》 の美しさには、目を見張るものがありました。
“国宝ハンター” という企画にチャレンジしていることもあって、
国宝の書跡・典籍は、今日まで、それなりに数を観ているのですが。
それらと比べても、《古今和歌集序》 の美しさは、頭一つ分、抜きん出ていました。

上の画像では、全体のほんの一部なので、
その美しさが、ほとんど伝えられなくて恐縮ですあせる
実際の 《古今和歌集序》 は、唐紙が33枚も繋ぎ合わされているので、それなりの長さがあります。
唐紙には、それぞれに唐草や人物など様々な文様が刷り出されており、
唐紙自体でも十分に美しさを感じられます。
また、朱色に紺に緑に青に、と、様々な色の唐紙が使われているので、目にも鮮やか。
《古今和歌集序》 って、こんなにもカラフルだったのかと、新鮮に驚かされました。

もちろん、唐紙だけでなく、その上に書かれている文字も流麗で美しかったです。
正直、何を書いているかはわかりませんが (笑)
「綺麗な文字だなぁ(・∀・)」 ということだけは、ちゃんとわかりました。

《古今和歌集序》 が観られただけで、この美術展に行った甲斐がありました。
1ツ星。
星


以上で、今回のレポートを終えます。



「・・・・・・って、ちょっと待ってください。
美術展に出展されているのは、 《古今和歌集序》 だけではないですよね??」

そんな皆様の戸惑いの声が聞こえてきそうなので、レポートを続けます (笑)

さて、今回の美術展のメインは、もちろん 《古今和歌集序》
それ以外には、奈良時代の 《百万塔陀羅尼》 から、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-百万塔陀羅尼


明治時代の西郷隆盛の書まで。
さまざまな時代の日本を代表する “書” の名品の数々が展示されています。
それらの中にも、国宝や重要文化財など、貴重な品が含まれているのですが。
書に興味がないと、 「ふ~ん・・・」 としか感想が浮かばないものばかりでした (笑)

強いて、印象に残ったものを一点挙げるならば、 《詩書屏風》 でしょうか。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】


様々な書体で書かれているので、いろんな人の合作かと思いきや。
三井親和 (江戸時代中期の日本の書家) 一人によって、さまざまな書体で書き分けられた作品とのこと。
書体のレパートリーの豊富さは、どこかモノマネ芸人に通ずるところがあるような気がしました。




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第三十話 国宝ハンター、うだる!

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前回までのあらすじ~
 指定番号(登録番号)01の 《木造弥勒菩薩半跏像》 から、
 2012年に重要文化財から国宝に昇格した 《絹本著色阿弥陀三尊像〈普悦筆/〉》《土偶》 まで。
 全部で1082件からなる “ひとつなぎの国宝(ワンピース)”
 それをすべて探すため、男 (=国宝ハンター) は、グランドラインを目指し、夢を追いつづける。
 世はまさに大海賊時代!



前回に引き続き、今月は、国宝建築強化月間
日帰りで行ける国宝建築は無いかなぁと、
Google検索に明け暮れていたところ、衝撃のページを発見してしまいました!!

皆様、こちらをクリック↓↓↓
http://www.bunka.go.jp/ima/press_release/pdf/jubunkenzou_shitei_240521.pdf

「国宝、いつの間にか増えてますやん!!」
(↑ビックリしすぎて、何故か関西弁)

いや、今年4月20日に、国宝の美術品が2件も増えたのは知っていましたが (第二十二話より)
5月18日付で、国宝の建築も2件増えていただなんて!!
文化庁は、どれだけ国宝ハンターを苛めれば気が済むのか。

「増税反対!増国宝反対!!」

日本の政治に憤りを隠せない国宝ハンターです。


しかし、増えてしまったという事実は、泣く泣く受け入れるしかありません。
1084件→1086件と、ゴールがまた少し遠のいてしまいましたが、頑張るしかないです。はい。


というわけで。
2012年に国宝に昇格した建築を求めて、
急遽、 「あついぞ!熊谷」 でお馴染みの熊谷市へ。

ラグビーが盛んな街らしく、熊谷駅前には、ラグビーの像が。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-熊谷


そして、熊谷市の由来になっている熊谷直実の像もありました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-熊谷直実


さてさて、そんな熊谷市は今、国宝フィーバーのようで。
駅前には、国宝が街に増えたことを祝う幟が立てられていました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-熊谷駅


では、早速、くだんの国宝へ・・・と思ったのですが。
この日、僕が熊谷に到着した時点での天気は、曇り。
せっかくならば、熊谷の暑さ (=38度越え) を体験したいもの。

「熊谷のうだるような暑さの中で、熊谷の新国宝とご対面。」

これこそが、国宝ハンターの求める画です。
そうでなければ、視聴率は取れません (←プロデューサー?)

そこで、暑くなるまで待とうと、
ゆったり駅の近くでランチをとることにしました。
しかし、この決断が、のちに悲劇を招くことになろうとは。
この時、国宝ハンターは、知る由も無かったのです・・・。


ランチをすっかり食べ終え、いざ国宝建築へ。
残念ながら、結局、暑くはなりませんでしたが。
あまりゆったりもしすぎていられないので、出発。
熊谷駅からは、バスに乗って向かいます。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-バス


1時間に数本しか走っていないバスに乗り込み、国宝建築を目指します。
バスに揺られること5分。まだ到着しません。
10分経過。
15分経過。
20分経過。
25分経過・・・って、まだ着かないのか?!
気づけば、バス料金の表示が “450円” に跳ね上がっています。
自分の人生の中でのバス代最高額を記録しました。

そして、バスに乗ってから、30分後。
450円を支払って、ようやく目的地に到着しました。
“埼玉の日光” と称される (←ビミョ~な感じもしますがw) 妻沼聖天山歓喜院です。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-妻沼聖天山歓喜院


ちなみに、こちらの門は、貴惣門と呼ばれ、国に重要文化財に指定されています。
細部にわたって、とても見事な彫刻が施されていました。
しばし、首が痛くなるのも忘れるくらいに見上げてしまう美しさ。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-貴惣門  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-貴惣門


こちらは、境内の地図。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-地図


「歴史探訪トイレ」 なる謎のトイレがあったり、
象が水浴びしていたり、よく見ると、意外と謎だらけの境内です (笑)
「歴史探訪トイレ」 も象も気になりますが、
お目当ては、何と言っても、国宝に指定された 《歓喜院聖天堂》
いよいよご対面です!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-歓喜院聖天堂


・・・・・・・・・・・・・。

あれ?
閉まりきった門の向こうに見えるのが、 《歓喜院聖天堂》 では??
腕時計を確認すると、16時5分。
こちらの閉門時間は、16時。

・・・・・やってしまった~ (泣)

何、駅前で、のんびりとカレーを食ってたんだ、2時間前の自分!!
熊谷まで足を運んで国宝を観れないなんて、、、
このままでは、単なるカレーハンターです、、、


諦められない僕。
腕を伸ばせる限り伸ばして、写真を撮影しました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-妻沼聖天山歓喜院


意外と、観れるよ。うん。
このたび、国宝に指定された大きな理由である
“当時の建築装飾技法がおしみなく注がれた華麗な建物” というのは、十分見て取れますし。
全面に施された彫刻も、かろうじて判別できます。
この調子で、残りの2面も観れたら、国宝ハンティングしたことにしましょう!
(↑都合のいいルール改正)

というわけで、反対側に回って、写真撮影。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-妻沼聖天山歓喜院


アップにすれば、こんな感じです。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-妻沼聖天山歓喜院 アップ


残りは、あと一面。
建物の裏側に回り込みたいのですが・・・。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-草むら


道なき道を行くより他はなし。
泣きたい気持ちを抑えて、一歩を踏み出しました。
えぇい、ままよ!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-草むら


何かいろんな虫に足をやられながらも進み続け、どうにか建物の裏側に辿り着けました!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-妻沼聖天山歓喜院


この達成感は、ひとしおです。
とは言え、これからは、こんな目に遭わないように、時間には余裕を持って行動します。
猛反省です。


とりあえず、今は、足のあちらこちらが、異常に痒い (笑)


今現在の国宝ハンティング数 228/1084




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大英博物館 古代エジプト展

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森アーツセンターギャラリーで開催中の・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-森アーツセンターギャラリー


“大英博物館 古代エジプト展” に行ってきました。

エジプト展と言えば・・・。
先日、上野の森美術館で開催中の “ツタンカーメン展” を訪れて、軽いショックを受けたばかりあせる
そこで植えつけられたエジプト展に対する不信感は、いまだに解消されていません。

そんな中、あえて “大英博物館 古代エジプト展” に行ってみたのですが。
結論としては、行ってみて、正解でした。いや、大正解でした。
“ツタンカーメン展” の半額で入場できますし、
“ツタンカーメン展” よりも混んでいなかったですし、
(とは言え、エジプト展は人気コンテンツのため、普通の美術展に比べると混んでいます)
何よりも、 “ツタンカーメン展” よりも見応えがありました!
星星星
“ツタンカーメン展” と期間が被らなかったら、
こちらの展覧会の方に、もっと人気が集中したはず。
“大英博物館 古代エジプト展” で唯一残念な点は、そのタイミングの悪さです (笑)



この展覧会の目玉は何と言っても、
全長37メートルにも及ぶ世界最大の 『死者の書』 である 《グリーンフィールド・パピルス》
昨年、大英博物館で全容が初公開されたばかりで、
イギリス国外で全公開されるのは、この日本での展覧会が初めて、という超貴重な展示品です。
会場では、全37メートルの 《グリーンフィールド・パピルス》 が余すことなく、一挙に展示されています。
保管上の理由から、全部で96点のシートに分けられている 《グリーンフィールド・パピルス》 が、
森アーツセンターギャラリーの会場に、一堂に並んでいるその様は、まさに壮観。
今年の夏の思い出の1ページに、確実に刻まれる光景でした。


さてさて、ここで、 『死者の書』 について、簡単に説明を。
『死者の書』 とは、その名前から、おどろおどろしいイメージが浮かびますが、
実際は、たくさん試練が待つ旅路で、死者に守護の力を与える呪文集のこと
《グリーンフィールド・パピルス》 で例を挙げれば、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ワニ


この挿絵の下には、呪文がヒエログリフで書かれているのですが、
それを唱えれば、 “このようにワニやヘビが向きを変えて逃げていきますよ♪” ということ。

呪文を唱えるには、当然、口を開けることが出来なくてはいけません。
そこで、 《グリーンフィールド・パピルス》 の中には、死者の口を開ける儀式の方法も描かれています。
(下の画像は、参考までに、別の “口開け儀式” 様子を描いたもの。今回の展覧会に出展されています)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-フウネフェルの『死者の書』:口開けの儀式


他にも、難所である冥界の丘や冥界の門についてのガイドなども詳細に記されていて、
『死者の書』 とは、いわば、“死人版るるぶ” や “冥界の歩き方” のようなガイドブックの的な書です。

今回、 《グリーンフィールド・パピルス》 で、死後の世界を知って、まず思ったことは・・・

「死んだら大変だなぁ (笑) 」

ということ。
死ぬのは、簡単でしょうが。
死んでからが、とても困難です。
SASUKEばりの難所を、いくつも通過しなければならないのです。

しかし、それでも、まだ最大の難所が待ち構えています。
それは、オシリス神による “審判”

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-審判


死者は、ここで、 「~しませんでした。」 という42か条の罪の否定告白をしなければなりません。
少しでも間違えると、自分の心臓は怪物アメミトに食べられてしまいます。
そこで、ゲームオーバー。
楽園である “イアルの野”(画像下) には行けないのです。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-イアルの野


その42か条の罪の否定告白は、こちらのページで見ることが出来ます。
1条に 「盗みをしなかったこと」 があって、
4条にも、 「盗みをしなかったこと」 があります。
大事なことだから2度言ったのでしょうか?
ちなみに、僕は、32条の 「会話中に言葉を増やさなかったこと」 に抵触する可能性が大です (笑)
あの世で、心臓が食べられてしまうのでしょうか。。。


また、 《グリーンフィールド・パピルス》 に関して言えば、途中で現れる謎のキャラクターに要注目です。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-グリーンフィールド・パピルス


研究者も、なんだかわかっていない謎キャラとのこと。
オバケのQ太郎の元ネタかもしれません。


さてさて、すっかり 《グリーンフィールド・パピルス》 の紹介に終始してしまいましたが。
もちろん、展示は、これだけに非ず。

《オシリス神像》 に、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-オシリス神像


《パセンホルの木棺》 に、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-パセンホルの木棺


《ミイラマスク》 に。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ミイラマスク


大英博物館が世界に誇るエジプトコレクションが約180点も展示されています。
どれも見応え十分ですので、時間には余裕を持って、お出かけくださいませ。


《グリーンフィールド・パピルス》 以外で、個人的なオススメは、 《動物の風刺パピルス》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-動物の風刺パピルス

猫やハイエナが、アヒルやヤギの群れを飼育し、
ライオンとガゼルが、ゲームで遊んでいます。
およそ3000年以上も前から、動物を擬人化した作品があったのかと思うと、大変興味深いです。
エジプト版鳥獣戯画図といった印象でした。




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おもしろびじゅつワンダーランド展

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夏休みの間だけ、金髪にしたり茶髪にしたり、キャラチェンジをする人がいますが。
そんな感じで (?) 、今年の夏休みは、
普段は、お上品で大人向けの美術展を開催しているサントリー美術館が、全く違うキャラに変身中!
“おもしろびじゅつワンダーランド展” という、
何ともはっちゃけたタイトルの美術展を開催しているのです。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-おもしろびじゅつワンダーランド展


「来て、見て、感じて、驚いちゃって!」 とか、絶対に言わないような美術館なのにw

さてさて、一体、どんな美術展なのかと言いますと。
子供から大人まで、より多くの人に、日本美術に親しんでもらうべく、
サントリー美術館の名品の数々を、五感で体験・体感出来る斬新な展示方法で紹介する美術展です。
タイトルは、ちょっとふざけていますが (笑) 、コンセプトは大真面目。
しかも、今回の美術展は、ルーヴル-DNP ミュージアムラボでお馴染みの大日本印刷が全面協力。
これは、面白くないわけがありますまい。

“美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。”

というアートテラーのモットーに、
もっとも理念が近い美術展ということもあって、実は、今年一番楽しみな美術展でした。

では、早速、会場の中に入ってみましょう。
(今回は、何と写真撮影OKですチョキ

今回の美術展は、いきなりプラネタリウムから始まります (←?!)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-プラネタリウム


「・・・・・・どゆこと??」 と、戸惑うでしょうが。
まぁ、まずは、こちらの天井を見上げてください。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-天井


キラキララメラメした天井に、さまざまな植物の紋様がプロジェクションされていきます。
その様は、確かに、ある意味でプラネタリウム。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-プラネタリウム 縦  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-プラネタリウム


しかし、これと、どう日本美術が結び付くのでしょう??
その答えは、このプラネタリウムの先にありました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-国宝 浮線綾螺鈿蒔絵手箱 


こちらは、サントリー美術館が誇る国宝 《浮線綾螺鈿蒔絵手箱》
この普段見ることが出来ない、この蒔絵箱の蓋裏の紋様こそが、
先ほど、プラネタリウムとして、プロジェクションされていたもの。
つまり、こういうイメージです↓

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-プラネタリウム


これを、 「面白い♪」 と感じる人もいれば、
「だから、何!?」 と感じる人もいるでしょうが、斬新なことは確かです。


続いて、会場に現れたのは、たくさんのススキ。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ススキ


そのススキ林を抜けた先に、 《武蔵野図屏風》 が展示されています。
何とも粋な展示方法です。

正直なところ、普通の美術展で普通に展示されているだけだったら、
《武蔵野図屏風》 は、きっと印象にあまり残るような作品ではないでしょうが。
今回の演出のおかげで、僕は一生、 《武蔵野図屏風》 を忘れないことでしょう。
ススキ林を抜けて、ススキの絵を観るという体験が出来るのは、サントリー美術館だけです。



《武蔵野図屏風》 に続いて、現れたのは、怪しく光る謎のトンネル。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-トンネル


この謎のトンネルの中には、
《藍色ちろり》 をはじめとするガラス器コレクションが展示されていました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-藍色ちろり


これまでも何度か、サントリー美術館で、ガラス器を目にしていますが、
その時の展示と、あまり変わらないような・・・ (どの辺りが、おもしろびじゅつワンダーランド?)

と、次の瞬間!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-トンネル


トンネルの照明が青く変化しました。
それにともなって、ガラス器たちの表情も変化!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-トンネル


この美しさは、絶品。
ただでさえ美しいガラス器が、照明の演出で、さらに美しさを帯びて。
グラデーションで、その変化が楽しめるのが、また素晴らしいです。
「今後、ガラス器は、こう展示するのがスタンダート」 と定着させたいくらいに、しっくり来る展示方法でした。


さてさて、 「日本美術のテーマパーク」 は、
この後も、まだまだ続きますが、あとは会場でのお楽しみ。
混雑を避けたい方は、金曜土曜の夜間開館 (アフター6?) がオススメです。

期待通り、とても楽しい展示でしたが、
全部で体験できるコーナーが8つと少ないのだけが、やや難。
それだけ、一つ一つのコーナーを作り込んでいるとも言えるのですが、
じっくり時間をかけて全部の展示を堪能しても、1時間もかからないと思われます。
「あれっ、もう終わり?」 感は、否めません。

楽しい時間ほど、早く過ぎてしまうもの。
もっといろいろ見たかったです。
来年の夏休みにも期待して、2ツ星。
星星




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応挙の藤花図と近世の屏風

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暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

我が家では、壊れかけのクーラーを、騙し騙し使い続けてきましたが。
ついに、バカになってしまいました。
温風しか出てこなくなったのです。


そこで、 『涼』 を求めて、根津美術館へとやってきました。
現在開催中の “応挙の藤花図と近世の屏風” を観るためです。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-応挙の藤花図と近世の屏風


お目当ては、やっぱり円山応挙の 《藤花図屏風》
重要文化財にも指定されていて、今回の美術展の目玉作品でもある屏風絵です。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-藤花図  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-藤花図


シンプルな世界は、ただ美しいだけでなく、目にも涼しげ。
この屏風と対面すると、心にスーッと風が吹き抜けるような気がするのです。
きっと江戸時代のこの絵の所有者も、この絵を眺めては、 『涼』 を取っていたのではないでしょうか。
くわえて、今は、8月。そして、藤の季節は、5月。
この季節に 《藤花図屏風》 を眺めるだけで、
気持ち的に、気候が3か月分も遡れるという精神的な効果もあるのです (←?)
日々の暑さに参っている皆様も、是非、 《藤花図屏風》 の涼感
パワーをご体験くださいませ。


さてさて、ここまでは、 《藤花図屏風》 は、涼しげだ!」 という話しかしていませんが。
それは、僕が勝手に抱いた印象であって、
学芸員さんや専門家が、そう言っているわけでも、
ましてや、円山応挙本人も、そう思って描いたわけではないでしょう (笑)
なので、それ以外の 《藤花図屏風》 の魅力にも触れておきますね。

僕が思うに、 《藤花図屏風》 の最大の特徴は、
離れて観た時と、近づいて観た時の印象がガラッと変わること。
こんなにも、屏風と観賞する自分との距離だけで、イメージがガラッと変わる作品は珍しい気がします。
離れて観た時 (上の画像のように見える時) は、
藤以外の余白部分が強調されて、幽玄な感じがします。
また、藤の花の輪郭と金箔とが、溶け合っているように見え、一種のファンタジーのような印象です。
では、今度は近づいて観てみましょう。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-藤


離れて観ると、ボヤ~ッと見えた藤の花ですが、
近づいて観ると、目を見張るほど丁寧に描かれているのがわかります。
(ボヤ~ッと見えたのは、何色もの色が重ねられているから)
近づいて、じっくり観ると、円山応挙らしいリアリズムを感じ取ることが出来るのです。

離れて観て、その後は、じっくり近づいて観て。
一粒で二度おいしい作品です。

それと、これは余談なのですが。
あまりにじっくりと観過ぎてしまったため、謎の暗号 (?) を発見してしまいました。
左隻に描かれた藤の蔓の先っぽが・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-蔓


綺麗に三角形に!!

どうして、こんなところに、急に綺麗な三角形が描かれたのか。
(どう見ても、不自然です)
これは、 “応挙コード” に違いありません。



《藤花図屏風》 が素晴らしかったため、 《藤花図屏風》 しか紹介していませんが。
もちろん、他にも展示品はあります (←当たり前!)
今回の美術展には、 《藤花図屏風》 以外にも、
根津美術館のコレクションの中から選りすぐりの屏風絵を展示紹介しています。

長沢芦雪の 《赤壁図屏風 (右隻)》 に、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-赤壁図屏風(右)


《草花図屏風》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-草花図屏風


他にも、 《木蓮棕櫚芭蕉図屏風》《山水花鳥図屏風》 などなど。
個性豊かな11点の屏風が、ドーンと展示されています。
・・・でも、やっぱり 《藤花図屏風》 には勝てないですかね。
そのため、豪華一点主義的な印象が終始拭えなかったので、1ツ星。
星



ちなみに、厳密には、 “応挙の藤花図と近世の屏風” の会場ではなく、
展示室5で開催されている 「テーマ展示“南蛮・島物の茶道具”」 で展示されている作品ですが。
こちらの 《南蛮海老耳水指》 も、ある意味で、 『涼』 が取れる作品でした。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-南蛮海老耳水指


「ギョエ~!!フナムシ!!!」

と、背筋に一瞬冷たいものが走りました。
(僕は虫が大の苦手)
よく見ると、フナムシではなく、エビ。
紛らわしいよ!




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