三菱一号館美術館で開催中の・・・
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
“From Life―写真に生命を吹き込んだ女性 ジュリア・マーガレット・キャメロン展” に行ってきました。
こちらは、写真史上重要な人物の一人とされる女性写真家ジュリア・マーガレット・キャメロン、
その生誕200年を記念し、V&A (ヴィクトリア&アルバート博物館) が企画した国際巡回展にして、日本初の回顧展です。
「・・・ところで、ジュリア・マーガレット・キャメロンって誰??」
という方も多いことはず。
ごく簡単に彼女のプロフィールを紹介いたしましょう。
セレブの家に生まれ、セレブと結婚し、
イギリスのセレブ階級で社交生活を謳歌していたジュリア・マーガレット・キャメロン。
48歳の時に、娘夫妻からクリスマスプレゼントとして、カメラが贈られます。
そこから独学で写真術を身につけ、本格的に写真家として活動。
積極的に展覧会を開いたり、代理店を通じて販売ルートを確保するなど、
写真家として、経済的にも成功した人物です。
・・・・・と、まとめてしまうと、あんまり好きになれなそうな人物ですが (笑)
ジュリア・マーガレット・キャメロンの写真作品には、心をグイグイ惹かれました!
展覧会を観終わるころには、すっかり彼女の写真作品のファンになっていました。
ジュリア・マーガレット・キャメロンの写真の魅力。
それは、絵画的であること。 ジュリア・マーガレット・キャメロン 《ミューズの囁き》 1865年
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館蔵 ©Victoria and Albert Museum, London
構図がバシッと決まっていて、まるで中世の絵画作品のようです。
「写真のような絵画作品」 には、何度も出合っていますが、
これほどまでに 「絵画のような写真作品」 に出合ったのは、初めてかもしれません。
思わず細部まで、しげしげと鑑賞してしまいました。
そして、もう一つは、今でこそ目新しさはないですが、
当時としては斬新も斬新な手法を次々と編み出していたこと。
例えば、こちらの写真をご覧ください。 ジュリア・マーガレット・キャメロン 《ベアトリーチェ》 1866年
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館蔵 ©Victoria and Albert Museum, London
(当時の) 肖像写真としては掟破りともいえるクローズアップの手法が取られています。
さらには、あえてピンボケ気味に撮る、いわゆるソフトフォーカスの手法も取られています。
カラー写真でこそないですが、言われなければ、150年前の写真とは到底思えないことでしょう。
他にも、ひっかき傷をつけたネガを用いたり、複数のネガから一枚の写真を仕立てたり。
そのクリエイティブな姿勢に、ただただ感銘を受けるのみ。
“写真を芸術の域にまで高めた人物” という評に偽りはありません
ちなみに、僕のお気に入りの写真作品は、《五月祭》。 ジュリア・マーガレット・キャメロン 《五月祭》 1866年頃
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館蔵 ©Victoria and Albert Museum, London
いろいろ完璧すぎて、言葉が出てきません。
唯一出てきた言葉は、「ありがとう、いい写真です」 くらいなものです。
さて、会場を訪れるまで、もっとも気になっていたのは、
今回のジュリア・マーガレット・キャメロン展が、三菱一号館美術館開館以来初の写真展ということ。
「美術館の雰囲気に、写真作品がマッチするのかなぁ・・・」
それは、全くの杞憂でした。
普通にマッチしていました。
むしろ、昔からこの壁に飾られていたようなくらいの違和感のなさ。
変な心配をして、申し訳ありません (笑)
ありがとう、いい写真展です。
ちなみに、今回のジュリア・マーガレット・キャメロン展は、国際巡回展なわけですが。
三菱一号館美術館ver.は特別に、彼女と同時代の他の写真家や、
彼女に影響を受けた写真家たちの写真作品も併せて紹介されています。
その中には、チャールズ・ラトウィッジ・ドジスンなる人物の写真も。
チャールズ・ラトウィッジ・ドジスン。
またの名を、ルイス・キャロル。
被写体の少女がアリスに見えてきました。
1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位です)
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From Life―写真に生命を吹き込んだ女性 ジュリア・マーガレット・キャメロン展
江戸絵画への視線―岩佐又兵衛から江戸琳派へ―
いやいや、実は、山種美術館は、江戸絵画のコレクションもスゴいんです!
そんな展覧会が、7月2日より始まりました。
その名も、“江戸絵画への視線―岩佐又兵衛から江戸琳派へ―” 。
会期は、8月21日まで。
伊藤若冲の 《伏見人形図》 をトップバッターに、

酒井抱一の 《秋草鶉図》 (重要美術品!) や、

【重要美術品】 酒井抱一 《秋草鶉図》 19世紀(江戸時代) 紙本金地・彩色 山種美術館
この秋、サントリー美術館で大々的な個展が控える鈴木其一の 《四季花鳥図》 など、

山種美術館が所蔵する江戸絵画コレクションが一挙大公開されています!
これまで、そのうちの数点が展示されていたことは何度もありましたが。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
右を見ても、左を見ても、すべてが江戸絵画というのは、山種美術館では初体験。
(一部、近代日本画の名品の特別出展もあり)
初めての美術館を訪れたかのようで、なんとも新鮮な印象を受けました。


さてさて、山種美術館の近現代の日本画コレクション同様、品格のある作品が多かったですが。
中には、「ん・・・んん?!」 と思わず二度見してしまう作品も。
例えば、冷泉為恭の 《武者図》。

全体的に、体のバランスがおかしい人が多かったです (笑)
4等身ないし5等身。
ちなみに、


ちょっとギャル風。
ファンシーですね。
今回最も自然に二度見してしまったのが、鈴木其一の 《伊勢物語図(高安の女)》 という作品。

『伊勢物語』 に取材した作品。主人公の男は河内国の高安 (大阪) の女のもとへ通っていたが、
女にも馴れが生じ、自ら飯を椀に盛る姿を見られてしまう (当時は卑しい振る舞いとされた)。
以後、男は女のもとに通わなくなったという。
・・・と、キャプションにありました。
まぁ、確かに、今と昔では価値観が違いますからね。
自分でご飯を茶碗によそったからといって、何も幻滅することないですよね (苦笑)
と、同情しつつ、絵の中に女性に目を向けました。
すると、そこに描かれていたのは・・・・・

いや、そりゃ幻滅されるわ!!
ご飯山盛りにもほどがあります。
しかも、おひつには、まだまだご飯が残っています。
それも全部食べるつもりなのか?きっと食べるんでしょうね。
食べそうな顔をしてます。
合コンに、こういう人いそうです (←脱線)。
というか、わざわざ縁側で、ひとりご飯って。。。
男が女のもとを通わなくなるのも、なんか納得です。
男が通わなくなったら、おそらくご飯の量は2倍になるのでしょうね。
さて、明日7月7日は、山種美術館は開館ちょうど50周年というメモリアルな日。
それを記念して、明日来館された方全員に、
その次の展覧会のチケットがもれなくプレゼントするそうです。
よっ、太っ腹!
機会が合う方は、是非!!
さらに、太っ腹な山種美術館さんから、このブログの読者の皆様にさらなるプレゼントが。
来る17日に開催される展覧会関連イベント 「東儀 秀樹 美と伝統の響き」 に1組2名様ご招待くださるそうです。
応募は、住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
http://homepage3.nifty.com/art-teller/tony_contact.htm
(〆切は、7月10日。当選は発送をもって代えさせていただきます)
もし当選しなくとも、50周年を飾るスペシャルなイベントですので、行く価値は大いにありますよ。
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【告知】 現在募集中のアートツアー 【告知】
現在募集中のアートツアーです。
アートに興味のない方でも楽しんで頂ける企画を心掛けております。
初参加の方も多いので、どうぞお気軽にご参加くださいませ♪
(男女比は、7:3くらいで女性が多いです。また1名で参加される方が、8割くらいです。)
定員になり次第、募集は〆切らせて頂きますので、よろしくお願いします。
参加希望の方は、件名に希望するアートツアーを添えて、以下のメールフォームよりお申し込みください。
詳細をお知らせいたします。
http://homepage3.nifty.com/art-teller/tony_contact.htm
(お知らせ先のメールアドレスが間違っている方が、ごくたまにいらっしゃいます。
こちらからの返信がない場合は、もう一度ご確認頂けますと幸いです。
7/9(土) みんなの大東京建築ツアー【ル・コルビュジエとその3人の日本人弟子たち編】
世界中の建築ファンが憧れる街・東京。
この街には、たくさんの名建築が存在しています。
そんな東京で生活をしていながら、建築に興味が無いなんて。
何ともったいないことでしょう!
「・・・・でも、“建築”って何をどう観たらいいの?? 」
そんな皆様にお送りするのが、みんなの大東京建築ツアー。
実際に東京の街をぶらぶらしながら名建築を巡り、
進行役の自分と講師の建築家との掛け合いで、その魅力をたっぷりお伝えするツアーです。
国立西洋美術館がル・コルビュジエの建築作品の一つとして、東京初の世界遺産に登録されます!
それを記念して、国立西洋美術館本館を中心に、
ル・コルビュジエの3人の日本人弟子が手掛けた建築を巡る特別なツアーを開催します。
ル・コルビュジエの建築の魅力とは?
そして、彼の思想は、どのように日本に根付いたのか?
都内の4つの名建築から、その秘密を紐解くツアーです。
時間:13時~18時
定員:15名
参加費:1500円
7/10(日) そうだ 江戸、行こう~隅田川下流編~
“浮世絵に描かれた街並みは、今、どのような姿になっているのでしょうか?”
浮世絵を手掛かりに、江戸 (=東京) の街を歩きながら、
江戸時代にタイムスリップする (気持ちになれる) ツアーです。
浮世絵に描かれた場所に実際に赴き、浮世絵と見比べてみましょう!
講師は、太田記念美術館の渡邉晃学芸員が務めてくださいます。
さて、今回の舞台は、数多くの浮世絵に描かれてきた 『隅田川』。
その下流エリアにスポットを当てます。
佃島をブラブラと歩いたり、水上バスに乗ってお台場を目指したり。
いつも以上にバラエティ豊かなツアーとなっていますので、どうぞお楽しみに♪
浮世絵が好きな方はもちろん、好きになってみたい方も大歓迎です。
時間:12時半~17時半
定員:12名
(うち4名分は初参加の方優先枠となっています。一度参加してみたかったという方は、是非!)
参加費:2000円 (交通費は各自別途負担となります)
7/16(土) TOKYOファッションアートツアー
今回のアートツアーのテーマは、「ファッション」。
この夏見逃せないファッション展を、2つ巡ります。
まず訪れる展覧会は、この日に初日を迎える、
東京都庭園美術館の “こどもとファッション 小さな人たちへのまなざしの歴史”。
「子供服」 に焦点を当てた可愛らしい展覧会の見どころを、
トーク力抜群の担当学芸員さんに、特別にたっぷりと解説いただきます♪
その後、カフェ休憩を挟んで、Bunkamura ザ・ミュージアムへ。
18世紀にヨーロッパで一大ブームを巻き起こしたという布、
トワル・ド・ジュイを紹介する日本初の本格的な展覧会 “西洋更紗 トワル・ド・ジュイ展” を鑑賞いたします。
ファッションに興味がある人はもちろん。
あまり無いという方でも、気兼ねせず楽しめるアートツアーです。
お気軽にご参加くださいませ♪
時間:13時~18時
定員:12名
参加費:2500円 (2つの展覧会の鑑賞料を含みます)
7/18(月・祝) 古代ギリシャ展でアートオフ会
美術は、いろんな人と感想を共有することで、より楽しいものとなります。
一人で美術展を訪れても、もちろん楽しめますが、
みんなで同じ美術展を鑑賞すれば、もっともっと楽しくなります!
そこで、今回のオフ会を企画させて頂きました♪
今回、みんなで訪れるのは、 東京国立博物館の “特別展 古代ギリシャ ―時空を超えた旅―” です。
西洋美術の源流である古代ギリシャをテーマにした空前絶後の展覧会を、みんなで鑑賞いたしましょう。
展覧会を鑑賞したあとは、近くのカフェでまったりいたします♪
図録をお持ちしますので、展覧会の感想などを中心にみんなで話せたらと思っております。
また、今後開催されるオススメ展覧会のプレスリリースも、
いろいろとご用意しますので、これからのアートライフの参考にして頂けたら幸いです。
西洋美術が好きな方も、好きになってみたい方も、お気軽に遊びにいらしてくださいませ。
時間:13時半~17時
定員:12名
参加費:1500円 (2つの展覧会の鑑賞料を含みます)
7/23(土) みんなの大東京建築ツアー【昼の銀座編or夜の銀座編】
世界中の建築ファンが憧れる街・東京。
この街には、たくさんの名建築が存在しています。
そんな東京で生活をしていながら、建築に興味が無いなんて。
何ともったいないことでしょう!
「・・・・でも、“建築”って何をどう観たらいいの?? 」
そんな皆様にお送りするのが、みんなの大東京建築ツアー。
実際に東京の街をぶらぶらしながら名建築を巡り、
進行役の自分と講師の建築家との掛け合いで、その魅力をたっぷりお伝えするツアーです。
さて、2016年上半期ラストとなる建築ツアーの舞台は、東京屈指の建築タウン “銀座” 。
今回は、特別に 『昼の部』 と 『夜の部』 2部制となっています。
青空の下のほうが映える建築もあれば、夜になると輝きを増す建築も。
【昼の銀座編】 を担当するのは、建築家の照内創氏。
【夜の銀座編】 を担当するのは、今回が講師デビューとなる建築家の山本至氏です。
昼と夜。
どちらの建築ツアーを選ぶかは、皆様次第です。
時間:13時~16時/17時~20時
定員:15名
参加費:1500円
7/24(日) この女性写真家がスゴい!の旅。
今年は、写真展の当たり年。
ちょうど現在、特に業界大注目の女性写真家の展覧会が、都内で同時期に開催されています。
1つは、三菱一号館美術館の “ジュリア・マーガレット・キャメロン展”。
写真を芸術の域に高めた女性写真家ジュリア・マーガレット・キャメロンの待望の日本初個展です。
そして、もう1つは、資生堂ギャラリーの “石内都展 Frida is” 。
日本を代表する女性写真家・石内都さんが、
メキシコの女性画家フリーダ・カーロの遺品を撮影した31点の写真を一挙展示する話題の展覧会です。
この両方の写真展をまとめて楽しもうというのが、今回のアートツアー。
写真鑑賞のツボもたっぷり解説しますので、
「写真って、どう楽しめばいいの??」 という方も、お気軽に遊びにいらしてくださいませ。
時間:13時~17時
定員:12名
参加費:1500円 (展覧会の鑑賞料を含みます)
7/31(日) 東京近郊のすてきな美術館~軽井沢編~
(注:こちらのアートツアーは、新潮講座主催によるものです。申し込みは新潮講座にお願いいたします)
美術館建築の傑作ともいうべき軽井沢千住博美術館と、
草間彌生作品を多数有する軽井沢ニューアートミュージアム。
軽井沢の2大ミュージアムを巡るスペシャルなバスツアーです。
お昼は、軽井沢ニューアートミュージアム内の 「ピエトリーノ」 でパスタランチで。
レジャー気分をたっぷり味わえるツアーにご期待くださいませ♪
詳細・応募は、こちらから↓
「東京近郊のすてきな美術館」 募集ページ
いずれのツアーも、皆様のご参加を心よりお待ちしております!!
新・無料で観れる 美術百選 《新宿アイランドタワー その3(東京都新宿区)》
以前・・・と言っても、今から約7年も前。
新宿アイランドタワーには、ロバート・インディアナの 《LOVE》 だけでなく、
ロイ・リキテンスタインの作品もあるのです!!
という記事を紹介しました。
(⇒無料で観れる 美術百選 《新宿アイランドタワー その2(東京都新宿区)》)
今回は、その実に7年ぶりとなる続編です。
先日、新宿アイランドタワーの内部をぷらぷらしていた時のこと。
なんとエコール・ド・パリを代表するあの女流画家の作品が飾られているのを発見してしまったのです。
それも、普通にサラッと。
もちろん、場所が場所だけに、
“いやいやいや、こんなところにホンモノが飾られているわけないって・・・(笑)”
と、全力で自分の目を疑いました。
しかし、どう見ても、プリントされたものには思えません。
おそらくホンモノの水彩画です。
しかも、よく見ると、作品の脇に、こんなものが。
つまりは、ホンモノということなのでしょう!
自信から確信に変わりました。
撮影禁止ということなので、接写はしませんでしたが (←当たり前!)
風景の一部として、引きで撮影したのが、下の写真です。
新・無料で観れる 美術百選 063 マリー・ローランサン 《タイトル不明》
ちなみに、マリー・ローランサンの絵が飾られているのは、赤丸で囲ったあたり。
描かれているのは、2人の女性。
よく見ると、心霊写真のように、もう1人描かれているので、正確には3人です。
画面中央には、たくさんの花。
いかにもマリー・ローランサンという水彩画です。
新宿アイランドタワーのアートマップには、マリー・ローランサンの絵画のことは載っていません。
きっと隠しキャラなのでしょう。
<無料で観れる美術 データ>
新宿アイランドタワー
住所:東京都新宿区西新宿6-5-1
アクセス:○JR・小田原線「新宿駅」西口改札口から徒歩10分
○東京メトロ丸の内線「西新宿駅」から30秒
○都営大江戸線「都庁前駅」から徒歩8分
この美術室を盛り上げるワンクリックも、無料で出来てしまいます↓
大妖怪展 土偶から妖怪ウォッチまで
夏と言えば、お化け。
ここ数年、毎年のように、幽霊や妖怪をテーマにした展覧会が開催されている気がしますが。
その決定版ともいうべき展覧会 “大妖怪展 土偶から妖怪ウォッチまで” が、東京都江戸東京博物館で始まりました。
会期は8月28日まで。

(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
怖いよりもユーモラスさが勝っている妖怪が描かれた絵巻物の数々や、

(注:展示は前期[7月5日~31日]です)
おどろおどろしい幽霊画の数々、

さらには、妖怪や幽霊が描かれた浮世絵の数々が展示されています。

左:歌川国芳 《相馬の古内裏》 大型錦絵3枚続 弘化2~3年(1845~1846年頃) 個人蔵
右:歌川国芳 《讃岐院眷属をして為朝をすくふ図》 大型錦絵3枚続 嘉永4年(1851年頃) 個人蔵
・・・・・と、これらだけでも十分見応えはありますが。
これでは、過去の幽霊展や妖怪展と、そこまでの遜色はありません (←?)。
今回は、さらに、国宝や重要文化財の作品が出展されていたり、

平安~鎌倉時代(12世紀) 奈良国立博物館蔵 撮影=佐々木香輔
(注:展示は前期[7月5日~31日]です)
伊藤若冲や葛飾北斎、円山応挙といった巨匠たちの作品が出展されていたりと、

左:伊藤若冲 《付喪神図》 江戸時代(18世紀) 福岡市美術館蔵 右:高井鴻山 《妖怪図》 江戸時代(19世紀) 高井鴻山記念館蔵
(注:展示は、ともに前期[7月5日~31日]です)
美術品としても価値の高い作品が多く出展されています。
つまり美術展としても純粋に楽しめるというのが、今回の妖怪展の最大のポイント。
ただ怖い、ただユーモラスなだけでなく、
ちゃんと美術品としての素晴らしさも感じられる妖怪展でした。


・・・・・と、それだけに (笑)
妖怪のルーツとして紹介されていた土偶 (←個人的には好きなのですが) と、

重要文化財 《みみずく土偶》 縄文時代(前2000-前1000年)兵庫・辰馬考古資料館蔵

現代の妖怪として紹介されていた 「妖怪ウォッチ」 に関しては、

蛇足に感じてしまいました。
展覧会としては面白いのですが、コンセプトがブレてしまっていたような。。。
妖怪ウォッチのコーナーで、「蛇足妖怪ダソックス」 という新妖怪が紹介されていたのですが。
きっと、その妖怪が憑りついてしまったのだと思われます。
さて、今回の出展作品の中で特にインパクトが強かったのが、
小布施の文化人・高井鴻山による妙にリアルな 《妖怪図》 です。

(注:展示は前期[7月5日~31日]です)
妖怪というよりも、プレデター。
オリジナリティがあまりにスゴすぎて、
こういうクリーチャーを実際に目にして描いたとしか思えませんでした。
そして、もう一つインパクトが強かったのが、《姫国山海録》 と 《針聞書》 です。

《姫国山海録》 は、全国で見つかった珍幻獣をまとめた図鑑、
《針聞書》 は、茨木元行による腹の虫の正体を暴いた医学書とのこと。
どちらも、ゆるキャラのオンパレード。
“ちんちくりん” にもほどがあります。
「このキャラクターをグッズ化すればいいのに (笑)」
そう思いながら、お土産コーナーに行くと・・・


たっぷりグッズ化されていました!!
商魂はゆるくなかったです。
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海のハンター展
この夏、国立科学博物館で開催される “海のハンター展” に行ってきました。
こちらは、最近密かにブームという 「サメ」 を中心に、
魚や哺乳類といった様々な 『海のハンター』 たちを紹介する展覧会です。
展覧会の目玉は何といっても、全長3.2mのオスのホホジロザメ成魚の全身液浸標本。
これは、国内外にも例がない超貴重な標本なのだとか。
実物を目の前にしてみると、想像以上の迫力に、軽くビビりました。
もし、海の中でこれと遭遇したら、確実にパニックになるでしょう。
しかし、見慣れてしまうと、ホオジロザメの造形がカッコよく思えてきました。
どこかF1カーやジェット機に通ずるものがある気がします。
個人的には、海のハンターたちの捕食のテクニックを紹介した第3章がお気に入り。
その中で特に印象に残ったのが、しなる尾ビレで獲物を斬るニタリというサメです。
尾ビレの長さが尋常ではありませんでした。
“話に尾ひれをつける” という慣用句がありますが。
話にめちゃめちゃ尾ひれがついている際には、
今後は、“話にニタリの尾ひれをつける” と表現してみたいと思います。
また、顔面インパクトが強かったのが、キアンコウ。
映画 『バットマン』 に、こんな悪役キャラが出てきたような (笑)
それから、吸い込み能力が異様に高いというアカヤガラも、インパクトがあります。
ダイソンの新しい掃除機かと思いました。
ちなみに、展覧会の冒頭では、フタバスズキリュウをはじめ、
太古の海のプレデター (捕食者) たちも紹介されています。
その中でもっとも衝撃的だったのが、こちらのカラモプレウルスとクラドキクルスの化石。
キャプションには、『歴史的な相打ち!!』 とありました。
「歴史的な相打ちって・・・??」
と疑問に思い、目をあげると、そこには再現図が。
「!!!!!」
『ドラゴンボール』 に登場してもおかしくない (?) 相打ちシーンでした。
まさに、激闘。
・・・・・・・と、衝撃だらけの展覧会だったわけですが。
ある意味で一番衝撃だったのは、
お土産コーナーだったかもしれません。。。
おつまみや干物が販売されていました。
道の駅か!
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建築倉庫ミュージアム
先月18日に、天王洲アイルにオープンしたばかりの建築倉庫ミュージアムに行ってきました。
こちらは、倉庫業界の大手・寺田倉庫の本社1階に開設された日本初となる建築模型のミュージアムです。
この大きな扉を抜けると、そこは・・・・・
倉庫というだけあって、倉庫でした。
そして、棚にズラリと並んでいるのは、たくさんの建築模型。
with その箱。
それも、2014年に “建築界のノーベル賞” と言われるプリツカー賞を受賞した坂茂さんや、
横須賀美術館やチューリッヒ空港の設計でも知られる山本理顕さん、
新国立競技場のコンペでも話題の隈研吾さん、
現在活躍中の日本を代表する建築家の建築模型が多くディスプレイされています。
建築について詳しくなくても、
精巧に作られた模型は、見ているだけでワクワクするものがありました。
ちなみに、建築について詳しく知りたい方は、QRコードを使って解説を読み取ることができます。
さてさて、実は、これらの模型。
これまでは、各建築家の事務所のバックヤードで眠っていたのだとか。
「それはもったいない!」 ということで誕生したのが、この建築倉庫ミュージアム。
建築家の皆さんはリアルに倉庫を借りるように、この棚を借りているのだそうです。
それに対し、建築倉庫ミュージアムは、メンテナンスとキュレーションを提供。
まさに、Win-Winの関係です。
・・・いや、来場者は見て楽しめる、
さらには、写真を自由に撮影して楽しめることを考えれば、Win-Win-Winの関係です。
(↑例えば、隈研吾さん設計の 「TOYAMAキラリ」 の模型を、こんな風に写真撮影することも可能)
ちなみに、常設展示という形ではないそうで、常時入れ替えられるとのこと。
僕が訪れた時には、昨年の “フランク・ゲーリー展” で展示されていた彼の自邸の模型や、
今年の秋にオープンが控え、建築界だけでなく、
アート界も注目しているアートパビリオン 「洸庭」 (設計はアーティストの名和晃平さんが主宰するSANDWICH) の模型、
世界的なインテリアデザイナー片山正通さん率いるWonderWallの模型の数々も展示されていました。
さて、建築倉庫ミュージアムの棚には、まだ若干の余裕がありました。
今後、この棚にどんな建築模型が並ぶのでしょうか。
今からワクワクします。
これからも注目していきたい、何度でも通いたくなるミュージアムです。
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第21回 台東区上野でボナール
ルノアールを筆頭に、モネ、ゴッホ、シャガール…と、
街を歩いていると、時に、美術界の巨匠たちと同じ名前のお店に出くわします。
果たして、それらのお店と巨匠との間に関係はあるのか??
気になるようで気にならない。
でも、気にしてしまったら、気になって仕方がない。
そんな疑問を解消すべく、アートテラーは今日も店へと赴く!!
今回は、東京屈指のミュージアムタウン上野・・・と言っても、
最寄り駅は御徒町ですが、その近辺で見つけたお店を紹介いたします。
「珈琲処」 が大きすぎて、肝心の店名が見づらいですが。
親密派 (アンティミスト) を代表するフランスの巨匠ピエール・ボナールと・・・ 《浴槽、ブルーのハーモニー》
同じ名前が付けられています。
上野御徒町の地にオープンして、まだ2年強とのこと。
よほど新しい喫茶店なのかと思いきや、
実は、1950年に日本橋にオープンしたという老舗中の老舗の喫茶店なのだとか。
品格というか、ベテランの風格のあるお店です。
珈琲処だけあって、コーヒーのメニューは豊富でしたが。
ここは、やはりボヌールブレンド (750円) をセレクト。
注文ごとに、豆を挽くというこだわりがあるそうなので、しばし待つことに。
この待ち時間も、美味しさの秘訣です。きっと。
・・・・・・2分後。
さすがに手持無沙汰なので、オーダーしたにも関わらず、メニュー表を眺めて待つことに。
すると、裏側に、こんなものが!
ボヌールのコーヒーは、“訳あっておいしい” のだそうです!!
しばらくするうちに、そんな訳アリなコーヒーが運ばれてきました。
庶民感覚からすると、750円は、やや高い気がしますが。
そういうことは顔には出さず、一口。
「美味い!」
比べるべきでないことは重々承知していますが、
コンビニコーヒーやマクドナルドのコーヒーとは、味も香りも全然違います。
ややトロッとした印象。
決して、煮詰まっているというわけではなく、濃縮された感じです。
リッチな気分に浸りながら、コーヒーと居心地を堪能。
お会計の際に、思い切って店名は画家のボナールと関係があるのか尋ねてみました。
すると、「そうですよ。」 との返事。
「でも、ボナールの絵とかポスターは飾ってないんですね?」
と畳みかけると、
「ボナールの絵は高いですから・・・」
とのこと。
まぁ、それはそうですよね。
「あぁ、その代わり、藤田嗣治の絵はありますよ」
と指を指した先には、なんと・・・
ホンモノの藤田嗣治の作品があるではないですか?!
ボナールは関係ないですが (笑)
ただ。
藤田嗣治と言えば、乳白色。
乳白色と言えば、藤田嗣治なわけですが。
こちらの作品は、カフェオレ色に変色していました。
さすが、珈琲処。
<お店情報>
珈琲処ボナール
住所:東京都台東区上野1-18-11
定休日:無休
営業時間:[月~土] 11:00~22:00 [日・祝] 11:00~20:00
美術ブログ界の巨匠になるべく、ランキングに挑戦しています
12 Rooms 12 Artists
東京ステーションギャラリーで開催中の・・・
“12 Rooms 12 Artists UBSアート・コレクションより” に行ってきました。
こちらは、民間企業の現代美術コレクションとして世界で最大規模 (約3万点!) を誇る、
グローバル金融グループUBSのアートコレクションの中から、選りすぐりの約80点を紹介する展覧会です。
《ベジタブル・ウェポン》 シリーズで知られる “SEKAI NO OZAWA” こと (?) 小沢剛さんをはじめ、
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
20世紀を代表するイギリスの美術家デイヴィッド・ホックニーや、
ブラジルの新星リヴァーニ・ノイエンシュヴァンダーといった12名のアーティストの作品を、
東京ステーションギャラリー内を12の部屋に区切り、各部屋ごとに紹介しています。
その中で特に見逃せないの部屋が3つあります。
まずは、コンセプチュアル・アートのパイオニア、エド・ルーシェイの部屋。
実は、日本にも隠れファンが多いそうで。
長らく展覧会の開催が待ち望まれていたアーティストの一人なのだとか。
今回の展覧会には、そんなルーシェイの初期作品から代表作が約30点ほど出展されています。 エド・ルーシェイ 《スタンダードのスタンド》 1966年
リトグラフ、紙 ©Ed Ruscha. Courtesy Gagosian Gallery UBS Art Collection
確かに、ファンが多いのは納得。
どの作品も、クールでカッコよかったです。
出展作品すべてTシャツにして欲しいくらいでした。
UTになったら、全種類買います。
続いては、荒木経惟さんの部屋。 荒木経惟 《切実》 1972年 ©Nobuyoshi Araki UBS Art Collection
これまで日本でほとんど発表される機会がなかった貴重な作品群が紹介されています。
スタイルは、ちょっとピカソを彷彿とさせますし、
モデルの顔は、ちょっと前田敦子を彷彿とさせるものがありました。
そして、何といっても今回のハイライトは、こちらの部屋。
あのフロイト (←精神分析学者の) の孫としても知られるルシアン・フロイドの部屋です。
彼の描いた裸婦像が、2008年にクリスティーズのオークションで、
存命中の画家の作品としては、史上最高価格となる3400万ドル以上、
日本円にして約36億円で落札され、大きな話題となりました。
油彩作品こそ 《裸の少女の頭部》 1点しかありませんでしたが、 ルシアン・フロイド 《裸の少女の頭部》 1999年
油彩、カンヴァス ©Lucian Freud Archive/Bridgeman Images UBS Art Collection
それでも、そんな世界的に最も注目を集めるアーティストの作品が、
全部で28点も展示されているというのは、実は驚くほどに貴重な機会なのです。
ありがたや。
個人的には、フロイドの代名詞ともいうべき人物画よりも風景画のほうに惹かれました。 (←《冬の庭》 を熱く語る担当学芸員・成相氏)
12作家に絞っていたので、現代のアートシーンを俯瞰するタイプの現代アート展ではなかったですが。
少しクセのある (際立った個性が味わえる) 現代アート展でした。
基本的には何の不満もないですが、強いて一つ挙げるならば。
部屋から部屋へ移動するたびに・・・・・
紐のれんが体に巻き付いて困りました (笑)
┃会期:2016年7月2日(土)~9月4日(日)
┃会場:東京ステーションギャラリー JR東京駅 丸の内北口 改札前(東京駅丸の内駅舎内)
┃http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201607_12rooms.html
┃休館日:月曜日(7/18は開館)、7/19(火)
┃開館時間:10時~18時 ※金曜日は20時まで ※入館は閉館の30分前まで
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18世紀生まれの絵師が描く水墨画
昨年10月、東中野の地にオープンしたばかり、
開館ほやほやの東京黎明アートルームへ行ってきました。
こちらは、宗教法人 東京黎明教会が蒐集した美術・資料品を展示するための施設。
実は、中野区唯一となる美術館です。
入館料は、300円でもなく、500円でもなく、400円。
微妙に中途半端な金額である気がしましたが、
500円払えば100円のお釣りがもらえ、そのままロッカーで使えるので、便利でした (←?)。
さて、館内に入って、まず目に飛び込んでくるのが、
インド・クシャーン朝の 《トラナ横梁 如来と十二人の供養》 です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
トラナとは、日本でいう鳥居のようなもの (←鳥居と比べると、だいぶキッチュな気はしますが)
観客を出迎えるべく、エントランスに設置されているのだそうです。
そんなトラナの脇を抜けて、1階の展示室へ。
展示されていたのは、日本のやきものの数々。
やきものにそこまで詳しくない僕が見ても、
「いい仕事してますね」 と思わず言いたくなる、“品の良い” 作品ばかりが並べられていました。
特に目を奪われたのは、野々村仁清の 《信楽写銹絵楓文水指》。
手作業で制作しているとは、到底イメージできないほどの完璧なフォルム。
プロダクトデザインとしての美しさは、
現代のメーカーでも太刀打ちできないレベルではないでしょうか。
さてさて、やきもののコーナーを抜けると、アジア諸国の仏像の数々が。
そして、さらに、そのコーナーを抜けると、
7月の企画展である “18世紀生まれの絵師が描く水墨画” のコーナーが待っています。
18世紀生まれである4人の絵師、池大雅、長澤蘆雪、谷文晁、
そして、伊藤若冲の水墨画が、それぞれ1点ずつ展示されていました。
たかが1点。されど1点。
どの水墨画も、各絵師たちの魅力が、ちゃんと凝縮されています。
オススメは、やはり伊藤若冲の 《牡丹図》 。
何とも言えない、ほのぼの感に癒されるものがありました。
あの若冲展とは違って、ゆったり、ストレスなく見られるのもオススメポイントです。
また、その隣に飾られた長澤蘆雪の 《牧童図》 も、ほのぼの感に溢れています。
2点まとめて、「ぽけ~っ」 とお楽しみくださいませ。
ちなみに、東京黎明アートルームの展示室は2階にも。
仏像や絵巻物、書、はては法隆寺の古材まで。
多岐にわたるジャンルの美術コレクションを堪能することが出来ます。
開室は、毎月10日から25日まで。
うち1日は休室日。
さらに、2月と8月は、まるまる休室・・・と、
1年の約3分の1しか開室していない、かなりレアな美術館ですが。
今後も東京黎明アートルームに注目していきたく思います。
最後に。
受付にて、こんなものを発見してしまいました!
サービス精神がスゴい!
いい仕事してますね。
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《モナ・リザ》に関する説
アートテラー・とに~が信じる美術に関する説を検証していく企画 『水曜日のアートテラー』。
今回は、こちらの絵に関する説を持ってきました。

そう、ご存じ、レオナルド・ダ・ヴィンチの 《モナ・リザ》 です。
世界でもっとも知られた、もっとも見られた、
もっとも書かれた、もっとも歌われた、とされる美術作品。
そして、 「もっともパロディ作品が作られた美術作品」 とも言われています。
例えば、アンディ・ウォーホールは、こんな作品を、
ポスター アンディ ウォーホル ダブル モナリザ 1963/アンディ ウォーホル

コロンビアを代表する画家ボテロは、こんな作品を制作しています。

そして、新宿に本店を構えるあの大型画材店も、《モナ・リザ》 をパロディしています。

そんなイジられまくっている 《モナ・リザ》 。
それらのパロディ作品の中で、もっとも有名なものと言えば、
20世紀を代表する前衛芸術家マルセル・デュシャンの 《L.H.O.O.Q.》 でしょう。

《モナ・リザ》 を複製した安価な絵葉書に、
デュシャン自らが、鉛筆で落書きし、口ひげやあごひげを付け加えたという作品です。
ひげが描き加えられることで、女性から男性に、
つまり、「性の逆転」 というテーマが取り入れられているとのこと。
そう考えると、アート作品としては、100点満点なのだとは思うのですが。
ひげを描くだけって・・・。
落書きだけとしてのクオリティは、正直なところ、30点以下です。
やはり、落書きは、落書きのプロがするべきではないでしょうか。
そこで、前置きが長くなりましたが。
今回僕が提唱したいのは、こちらの説です!
落書きということに関しては、どんなアーティストも小学生には勝てないはず。
というわけで、出張授業で訪れた、とある小学校の生徒たちに協力を要請し、検証スタート。

《L.H.O.O.Q.》 について解説した後に、《モナ・リザ》 の絵葉書を配り、

思い思いに、落書きをしてもらいました。
果たして、《L.H.O.O.Q.》 よりも面白い作品は誕生するのか?!
まずは、こんな 《モナ・リザ》 から。

おでこのシワ、太眉、くるくるほっぺ、胸毛。
そして、髭。
小学生の落書きの定番がコンプリートされています。
普通に、面白い。
続いては、こちら。

化粧が濃すぎなモナ・リザ。
まるで、ドラッグクイーンのようです。。。
ある意味、《L.H.O.O.Q.》 と同じく、「性の逆転」 が起きている気がします。
小学生の自由な発想が生んだ 《モナ・リザ》 は、まだ他にも。

満身創痍。
一体、何がモナ・リザにあったというのか?
左上の 「after」 という書き込みも気になります。
この無数の傷が原因だったのでしょうか。

モナ・リザは、ついに骸骨に。
もしかしたら、「メメントモリ」 (ラテン語で 『自分が必ず死ぬことを忘れるな』 の意) を暗示しているのかもしれません。
モナ・リザ自身だけでなく、その後ろの背景にも落書きするという斬新なパターンも。

受験生スタイルの 《モナ・リザ》 。
そして、背景にはサーファー。
どういう状況なのか。
なかなかにシュルレアリスムなテイストの作品です。
さらに、背景にも落書きパターンは、エスカレート。

もはや、カオスな状況に。
富士山に、アンパンマン風の太陽。
モナ・リザ自身もアンパンマンなのか鬼なのか。
ダダイズムの作品以上に、破壊的な作品です。
ちなみに、アートテラー・とに~イチオシ作品は、こちら。

顔への落書きに関しては、フザけまくっていますが (笑)
センスを感じるのは、モナ・リザの手の部分。

手を女性の身体に見立てるという高度なテクニックが披露されています。
この落書きをした少年の将来が、楽しみです。

小学生の落書きは面白かった。
そして、意外とバリエーションがあった。

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メアリー・カサット展
現在、横浜美術館では、“メアリー・カサット展” が開催されています。
こちらは、印象派を代表する女性画家メアリー・カサットの国内では実に35年ぶりとなる大回顧展です。
展覧会の目玉は何といっても、待望の初来日となるカサットの傑作 《桟敷席にて》 。 《桟敷席にて》 1878年 油彩、カンヴァス 81.3×66.0cm ボストン美術館蔵
The Hayden Collection-Charles Henry Hayden Fund, 10.35. Photography © 2015 Museum of Fine Arts, Boston
オペラグラスで、舞台をガン見する女性。
その姿をガン見する僕 (=鑑賞者)。
2つの視線を強く意識させられる作品です。
・・・・・と思ったら、よく見れば、画面の奥に女性をガン見する怪しげな男性の姿を発見。
前言撤回。
3つの視線を強く意識させられる作品でした。
そして、もう一つの展覧会の目玉が、カサットの代表作 《眠たい子供を沐浴させる母親》 です。 《眠たい子どもを沐浴させる母親》 1880年
油彩、カンヴァス 100.3×65.7cm、ロサンゼルス郡立美術館蔵
Digital Image © 2015 Museum Associates / LACMA. Licensed by Art Resource, NY
こちらは、第5回印象派展 (1880年) に出品された作品。
子供の眠たげな表情と眠たげな姿勢のリアリティがハンパありません。
子育て経験の無い僕でさえ、そう感じたくらいですから、
おそらく世のママさんは、もっとシンパシーを感じるのでは?
さて、今回の展覧会には、《眠たい子どもを沐浴させる母親》 以外にも、
全ママ必見 “やさしい気持ち” になれる名画が多数出展されています。 《母の愛撫》 1896年頃
油彩、カンヴァス 38.1×54.0cm フィラデルフィア美術館蔵
Courtesy of the Philadelphia Museum of Art, Bequest of Aaron E. Carpenter, 1970 《果実をとろうとする子ども》 1893年
油彩、カンヴァ 100.3×65.4cm ヴァージニア美術館蔵
Virginia Museum of Fine Arts, Richmond, Gift of Ivor and Anne Massey, 75.18 Photo: Travis Fullerton © Virginia Museum of Fine Arts
さすが、『母子像の画家』 と呼ばれるだけはあります。
「メアリー・カサットは、きっと優しいお母さんだったんだろうなぁ」
と、ほっこりした気分で、会場を後にしようとした時、
「ん?そう言えば・・・」
大事なことに気が付いてしまいました。
メアリー・カサットが出産した、というか結婚したというトピックが一切なかったのです。
というわけで、会場の入り口に逆戻り。
そこから出口まで確認してみましたが、やはり両方の事実はありませんでした。
むしろ、逆に、ここまで母性溢れる絵を生み出せたのは、とてもスゴイことなのではなかろうか。
メアリー・カサット、大した女性です。
ちなみに。
画家としても評価の高いカサットですが、実は、版画家としても評価を受けています。
その中でも特に名高い10点組の多色刷り銅版画が、
今回の展覧会では、コンプリート状態で紹介されていました。 《沐浴する女性》 1890-91年
ドライポイント、ソフトグランド・エッチング 36.7×26.8cm ブリンマー・カレッジ蔵 Courtesy of Bryn Mawr College
こちらも要チェックです。
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聖なるもの、俗なるもの メッケネムとドイツ初期銅版画
まもなく世界遺産に登録される・・・はず、
そして、注目が集まる・・・はずの国立西洋美術館にて、
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
“聖なるもの、俗なるもの メッケネムとドイツ初期銅版画” が始まりました。
こちらは、15世紀後半から16世紀初頭にかけて活動したドイツの銅版画家、
イスラエル・ファン・メッケネム (1445~1503) を本格的に紹介する日本初の展覧会です。
正直なところ、
「メッケネム・・・誰??」
という感じだったのですが。
なんでも、当時人気だったショーンガウアーや、
デューラーら他の作家の作品を大量にコピーした人物として知られているとのこと。
(左:マルティン・ショーンガウアー 《中庭の聖母子》 エングレーヴィング
右:イスラエル・ファン・メッケネム マルティン・ショーンガウアーに基づく 《中庭の聖母子》 エングレーヴィング
ともにミュンヘン州立版画素描館蔵 Staatliche Graphische Sammlung München)
・・・・・・・・・・。
「(デューラーは知っていましたが)いや、そのショーンガウアーっての誰なの??」
という感じでした (笑)
ショーンガウアー>メッケナム。
しかも、知名度が薄いだけでなく、年表で紹介されていたエピソードも薄い!
近年、稀に見るマニアックな版画家の展覧会です。
ただ、ドイツ初期銅版画は未知のジャンルだっただけに、新鮮さはひとしお。
見るものすべてが新鮮でした。
さてさて、正直なところ、
ショーンガウアーらの作品をコピーしたメッケネム作品に関しては、何の感慨もありませんでしたが。
メッケナムのオリジナル作品は、ツッコミどころが多く、想像以上に楽しめました。
例えば、こちらの 《ズボンをめぐる闘い》 という作品。
イスラエル・ファン・メッケネム 《ズボンをめぐる闘い》 連作〈日常生活の諸場面〉より
エングレーヴィング ミュンヘン州立版画素描館 Staatliche Graphische Sammlung München
髪を振り乱した妻が、夫の足を踏みつけ、手首を掴み、
今にも糸巻き棒で殴り掛かんとする場面が描かれています。
完全なるDV妻です。
目がイッちゃってます。
右上に描かれているのは、そんな妻のスタンド (ジョジョの奇妙な冒険) なのか。
ズボンをめぐる闘い。
何がどうなったら、ズボンが原因となって夫婦喧嘩に発展するのでしょうか。
ちなみに、こんな作品を残すくらいなので、
メッケネム自身も夫婦仲があまり良くなかったのかと思いきや・・・ イスラエル・ファン・メッケネム 《メッケネムと妻イダの肖像》
エングレーヴィング 大英博物館 ©The Trustees of the British Museum
当時として、とても珍しかった夫婦のダブルポートレートで、自分たちを描いていたようです。
夫婦仲は、良かったのでしょうね。
お互い目を合わせていないのは、気になるところではありますが。
また、《モリスカダンス》 という作品も、思わずツッコみたくなる作品。 イスラエル・ファン・メッケネム 《モリスカダンス》
エングレーヴィング ミュンヘン州立版画素描館 Staatliche Graphische Sammlung München
モリスカダンスとは、ムーア人たちの剣舞に由来するダンス。
画面中央の女性の指輪 (=愛情の象徴) をゲットすべく、
男たちが、激しい音楽に合わせ、思い思いのダンスを披露しています。
そんなダンスバトルの勝敗やいかに?!
ぶっちゃけ、どのダンスも、イケてないと思うのですが、僕の気のせいでしょうか。
個人的に最もお気に入りなのは、《狩人をあぶる野うさぎたちのオーナメント》 です。
イスラエル・ファン・メッケネム 《狩人をあぶる野うさぎたちのオーナメント》
エングレーヴィング 大英博物館 ©The Trustees of the British Museum
狩人とうさぎの立場が逆転しているという “怖カワイイ” 作品。
茹でられてる狩猟犬が、何とも哀れ。
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よみがえれ!シーボルトの日本博物館
《シーボルトの肖像(描き起こし)》
江戸時代に長崎に医者として来日して、日本人のお滝さんとのロマンスがあって、
日本地図を持ち出そうとしたのがバレて、最終的には日本を追放されてしまった人物。
・・・・・というイメージが強いシーボルトですが。
追放から約30年後に、シーボルトは二度目の来日を果たしています。
一度目の滞在時にも、日本で数多くの資料をコレクションしていたようですが、
二度目の滞在時には、さらに精力的に、膨大な数の日本関係資料をコレクションしたそうです。
それらはすべて、ヨーロッパで日本の文化を紹介するため、
そして、ゆくゆくは 「日本博物館」 を開館するために蒐集されました。
実は、あまり知られていませんが、
シーボルトこそがヨーロッパで初めて日本展示を実現させた人物。
さらに言えば、世界で初めて、民族学の展覧会を実現させた人物だったのです。
そんな知られざるシーボルトの一面にスポットを当てたのが・・・
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
国立歴史民俗博物館で開催中の “よみがえれ!シーボルトの日本博物館” です。
展覧会の前半は、シーボルトの子孫が所蔵する資料を中心に、
シーボルトの日本での生活や、シーボルト事件でお馴染みの (?) 地図、
そして、シーボルトが開催した日本展示に関して・・・などなど、彼の半生を紹介。
そして、展覧会の後半では、ミュンヘン五大陸博物館が所蔵し、
今回が初里帰りとなるシーボルト・コレクション (シーボルト2度目の来日の際に収集した日本関係資料) を紹介。
それも、シーボルトの死の直前にミュンヘンで開催された、
「最後の日本展示」 を可能な限り、再現した状態で紹介していました。
また、一部、アムステルダムでの日本展示を再現したコーナーも。
しかも、プロジェクションマッピングで再現されています。
シーボルトのコレクションは、あくまで民族学的な観点から蒐集されたコレクション。
決して、美術的な観点からコレクションされているわけではないので、
歯磨き粉だったり、卵焼き用の鍋だったり、
何でもないようなモノも一緒くたに展示されているのが最大の特徴です。
それがかえって、今の日本人の目には、新鮮に映りました。
個人的に、印象に残っているのは、カツオ型の蓋物です。 《魚形蓋物(鰹)》
ミュンヘン五大陸博物館蔵 ©Museum Fünf Kontinente
ここに刺身を盛り付けていたのでしょうか。
これが、日本人のセンスだと、当時のドイツ人に思われていないといいのですが。。。
また、もっとも印象的だったのは、
シーボルトと親交が深かった出島の絵師・川原慶賀による 《人物画帳》 です。 川原慶賀 《人物画帳》 より 「入れ墨の男」
ミュンヘン五大陸博物館蔵 ©Museum Fünf Kontinente
普通に考えたら、画帳のため、全ページを展示するのは不可。
しかし、今回の展覧会では、全ページをデータ化。
こちらのモニターで、すべてを閲覧することが可能になっています。
花魁や醤油売りなど、わりとポピュラーな職業の人物も描かれているのですが。
中には・・・
白狐の扮装の男や泥棒といった、全くポピュラーじゃない職業の人物もちらほら。
これが、日本人だと、当時のドイツ人に思われていないといいのですが。。。
ちなみに。
今回の展覧会の図録には、とある仕掛けが。
カバーをめくると・・・
シーボルトが隠して持ち出そうとした日本地図が現れました。
隠そうとしたって、そうは問屋が卸しません。
幕府の役人の気持ちを少しだけ味わえました (笑)
┃会期:2016年7月12日(火)~ 9月4日(日)
┃会場:国立歴史民俗博物館 企画展示室A・B
┃http://siebold-150.jp/
~読者の皆様へのプレゼント~
こちらの “よみがえれ!シーボルトの日本博物館” のペアチケットを、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
http://homepage3.nifty.com/art-teller/tony_contact.htm
(〆切は、7月25日。当選は発送をもって代えさせていただきます)
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しりあがり寿の現代美術 回・転・展
練馬区立美術館の “しりあがり寿の現代美術 回・転・展” に行ってきました。
こちらは、『真夜中の弥次さん喜多さん』 や、
真夜中の弥次さん喜多さん (1) (Mag comics)/マガジンハウス
東日本大震災後の日本をテーマにした 『あの日からのマンガ』 で知られる・・・
あの日からのマンガ (ビームコミックス)/エンターブレイン
奇才漫画家・しりあがり寿さんの美術館では初となる大々的な個展です。
漫画家さんの展覧会ですから、もちろん原画の数々も飾られていましたが。
展覧会の中心となるのは、なんと現代アート!
それも、「回転」 をテーマにした、一癖も二癖もある現代アートです。
例えば、こちらのアトリエを模した空間。
壁に飾られた絵画やら、イーゼルやら、石膏像やら、
とにかくありとあらゆるものが、「回転」 しています。
また例えば、こちらの歴史系の博物館をイメージした展示空間。
展示ケースの中のモノも前方後円墳も、もれなく 「回転」 しています。
監視員さん用の椅子も 「回転」 しています (笑)
さらに、例えば、《回転体は行進するダルマの夢を視る》 と題された、こちらの作品。
全12体のダルマが、それぞれオリジナルソングを歌いながら 「回転」 しています。
シュールにもほどがあります。
なぜ、しりあがり寿さんは、そんなにも 「回転」 にこだわるのか?
その答えは、『回転宣言』 の中にありました。
回転していないヤカンは、ただのヤカンですが。
回転すると、ヤカンとしての機能 (水を汲む、お湯を沸かす) は失われます。
その代わり、回転の美を有するのです。
パッと見では、「ヤカンが回転って・・・なんじゃソレwww」 という感じなのですが。
一旦咀嚼して、この作品について、よ~く考えてみると、
“アートとは何だろうか?” という問いかけが根底にあることに気づかされます。
パッケージ (見た目) は、ふざけていますが、
実は、かなりアートの本質を直球で突いた作品なのです。
意外や意外 (?)、ここ最近の現代アート展の中で、
現代アートの面白さがもっとも実感できた展覧会でした。
ちなみに、僕のお気に入りは、《回る白昼夢》 という作品。
レシートやトイレットペーパー、惣菜のパックなどなど、
主に白を基調とした身近なアレコレが、ぐるぐると 「回転」 しています。
その数、なんと600個!!
いつもの作品より余計に回しております。
「回転」 しているモノの中には、こんなものも。
まさに、白昼夢 (笑)
さて、こちらの展覧会。
どの時間に訪れても楽しいのですが、一番のオススメは閉館間際です。
閉館のアナウンスを、なんとあの人がしています。
ヒントは、この人↓
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素晴らしきミュージアムショップの世界 商品番号108
本日ご紹介するのは、国立科学博物館のミュージアムショップで発見したこちらの商品。
不可能立体工作アート トリックミュージアム (¥998) です。
下り坂なのに玉が逆走したり、
四隅に配置されている柱が上の階では一直線に並んでいたり。
まるで、エッシャーの世界のような不思議な立体を、
実際に作ることが出来るペーパークラフトキットです。
全6種。
不器用を自負する僕ですが。
せっかくなので、一番難易度が高いという 「4面通り抜け窓」 を購入。
果たして、無事に完成するのでしょうか。
チャレンジスタートです。
さて、箱の中に入っていたのはキットと解説書。
小さな箱に長時間入っていたために、キットにクセがついています。。。
広げてみても、この通り。。。
紙も予想以上にヤワヤワです。
だ、大丈夫なのか??
不安はいっぱいですが、とりあえず指示に沿って制作開始。
天性の不器用に加えて、強度の無い紙。
さらに、のりしろの少なさ。
「不可能立体を作るのは、マジで不可能なのでは?」
そんな疑念と闘いながら、作業を続けること1時間。
ようやく、それらしきものが完成しました。
あちらこちらが歪んでいる気がします・・・・・が!
きっと、それは錯覚。
細かい作業をして、目が疲れてしまったのでしょう (と自分に言い聞かす)。
さぁ、あとは棒を通すだけです
・・・・・・・・・・・。
いや、どう見ても2つの窓しか通ってねーし。
完成した立体を上から見れば、4つの窓を通らないことは一目瞭然。
なぜ、こうなったし。
指示通りに作ったはずなのに。
自分の不器用さに、愕然としました。
不可能工作立体アートを無事に完成させて、4つの窓を棒が通過する。
そんな感動的なラストを期待していたのですが。
全部、錯覚でした。
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こどもとファッション 小さい人たちへの眼差し
東京都庭園美術館で開催中の “こどもとファッション 小さい人たちへの眼差し” に行ってきました。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
美術館の玄関口にて、2人の姉妹 (?) がお出迎え。
のっけから、可愛さ全開の展覧会です。
こちらは、“こども服” をテーマにした珍しい展覧会で、
18世紀から20世紀初頭にかけての西洋の “こども服” と、
明治以降の日本の洋装 “こども服” の数々が展示されています。
ここ最近、ファッションをテーマにした展覧会が続いており、
(三菱一号館美術館の “PARIS オートクチュール” やポーラ美術館の “Modern Beauty” など)
昔のドレスの実物が展示されていることに、すっかり慣れてしまっていた僕。
こども服が展示されていることも、当然のように受け入れていたのですが。
実は、これだけ保存状態の良いこども服が残っていることは、極めて稀なことなのだとか。
その理由は、こども服は消耗が激しいから!
・・・・・確かに。
そう聞くと、展示されているこども服が、
ただ可愛らしいだけでなく、ありがたいものに感じてきました。
不思議と、赤いドレスを着たマネキンがどや顔しているように思えてきました (笑)
さてさて、こちらの展覧会、ただカワイイこども服を並べただけの展覧会ではありません。
時代や社会によって、こどもはどういう存在であったのか、
「こども服=こどもらしさのアイコン」 として、その変遷を紹介する展覧会でもあるのです。
また、当時のこどもの服装がわかる絵画や写真作品、
さらには、こども服をモチーフにした現代アート作品を紹介するコーナーも。
ファッション史の展覧会にして、文化史の展覧会&美術展。
女性や子育て経験者に限らず、男やこどもがいない人でも楽しめる展覧会でした。
ただし、男性の方は要注意。
いくら刺繍の細工の細かさが気になるからと言って、
こども服、それも女の子のこども服の裾とかをジーッと凝視していると、白い目で見られるやも。
鑑賞する際は、適度な距離を心がけましょう!
ちなみに。
個人的に一番印象に残ったこども服は、ポール・ポワレの 《女児用チュニック》 (写真右)。
どう見ても、大阪風。
どう見ても、オバチャン風。
心なしか、マネキンの立ち姿も貫禄があるように見えます。
それから、20世紀初頭、男児にはこんなこども服も。
当時のヒーローの衣装 (?) である軍服のこどもver.です。
これを着て、仮装パーティーに出ていたそうな。
昔から、こどもは仮装好き、いや親がこどもに仮装させ好きだったのですね。
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観音の里の祈りとくらし展Ⅱ-びわ湖・長浜のホトケたち-
東京藝術大学大学美術館で開催中の・・・
“観音の里の祈りとくらし展Ⅱ-びわ湖・長浜のホトケたち-” に行ってきました。
こちらは、一昨年に開催され好評だった仏像展の第2弾。
滋賀県長浜市に古くから伝わる観音像の数々を紹介する展覧会です。
前回の展覧会では、総勢18体の観音様が、東京に初めてお越しくださったわけですが。
今回は、なんとその倍以上、約45体の観音様御一行が上京してくださっています。
ありがたやありがたや。
端正なお姿の観音様もいれば、 重要文化財 《伝千手観音立像》 平安時代 観音寺蔵(木之本町黒田)
重要文化財 《十一面観音立像》 平安時代 医王寺蔵(木之本町大見)
素朴で愛嬌のあるお姿の観音様も。 重要文化財 《観音菩薩立像》
鎌倉時代(建保4年・1216) 洞寿院蔵(余呉町菅並)
さらには、ちょっとコワモテの観音様や明王様もいらっしゃいます。 重要文化財 《愛染明王坐像》 鎌倉時代 舎那院蔵(宮前町)
これほどまでにバリエーションが豊富な仏像の数々が、
京都でも奈良でもなく、滋賀県の長浜市に集中しているというのが、何よりも興味深かったです。
さすがは、観音の里。
個人的に、一番印象に残っているのは、何といっても、正妙寺の 《千手千足観音立像》 です。
(画像はこちらに。)
“千手” であるのは珍しくないですが、
“千手” なだけでなく、“千足” でもある世にも珍しい観音様。
千本の手も、千本の足も、全く羨ましくないのですが、
観音様の表情が、「いいだろ!」 と言わんばかりに自慢げなのが、若干癪に障りました(笑)
また、舎那院の 《薬師如来坐像》 も、印象に残った仏像の一つ。
(画像は、こちらに。)
左手に持った薬壺が、やたらと小さかったです。
中身は、きっとタイガーバーム。
それから、宝厳寺の 《弁才天坐像》 も印象的でした。 長浜市指定文化財 《弁才天坐像》
室町時代(弘治3年・1557) 宝厳寺蔵(長浜市早崎町 竹生島)
ありがたいお姿なのですが、なんとなくバランスが妙。
リアルな等身でもなく、かといって、完全にデフォルメされているわけでもなく。
「う~ん、この不思議なバランス、どこかで見たことがあるんだよなぁ。」
数分、デジャヴを感じたのち、
「あ、ビックリマンシールっぽいんだ」
と、自分的にはスッキリしました。
さてさて、展覧会を観終わった後は、不忍池のほど近くにある上野の森ファーストビルへ。
その1階に、今年3月にオープンしたばかりのびわ湖長浜KANNON HOUSEがあります。
こちらは、長浜市が東京都内の情報発信拠点として作った施設で、
2か月に1体ずつ、長浜市から本物の観音様をお招きし、展示しています (しかも無料で!)。
今観られるのは、尊住院の 《聖観音立像》 。
展覧会と合わせて、訪れてみてはいかがでしょうか。
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アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち
今年2016年は、日本とイタリアの国交樹立150周年を記念して、数々のイタリア美術展が開催されてきました。
そして、この夏、国立新美術館でも、日伊国交樹立150周年を記念した展覧会、
“アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち” が開催されています。

(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
こちらは、ヴェネツィア絵画の殿堂とされるアカデミア美術館、
そのコレクションを初めてまとまった形で日本で紹介する展覧会です。
ボッティチェリやレオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロといった、
フィレンツェで花開いたルネサンス美術をテーマにした展覧会は、これまで何度も開催されていますが。
この展覧会は、ルネサンスはルネサンスでも、
ヴェネツィアのルネサンス・・・いわゆる、ヴェネツィア派にスポットが当てられています。
ティツィアーノやティントレット、ヴェロネーゼなどヴェネツィア派を代表する画家がそろい踏み。
ヴェネツィア派の展覧会の決定版ともいうべき内容です。
展覧会の目玉は何といっても、ティツィアーノが晩年に手掛けた祭壇画 《受胎告知》 。

その大きさは、約4m!
大きすぎて、にわかに信じられませんが、
普段はサン・サルヴァドール聖堂に飾られている本物の 《受胎告知》 です。

油彩/カンヴァス ヴェネツィア、サン・サルヴァドール聖堂
そんな大作が日本で観られるのは、まさに奇跡。
この空間を味わうためだけに訪れる価値は、大いにあります。


さて、ティツィアーノの 《受胎告知》 画像を目にして、
なんとなーく察しがついた方もいらっしゃるかもしれませんが。
ヴェネツィア派の絵画は、基本的にどれも濃いです。
描き込み、多め。
サービス精神旺盛と言いましょうか、くどいと言いましょうか (笑)

油彩/カンヴァス アカデミア美術館

油彩/カンヴァス アカデミア美術館
出展作品は約60点と、そう多くはないはずなのですが・・・。


いちいち、こってりしているので、
普段の西洋美術展の倍の充足感 (疲労感?) を覚えました。
個人的に特に印象に残っている一枚は、
ヴェネツィア派の祖とされるベッリーニの 《聖母子(赤い智天使の聖母)》 です。

油彩/板 アカデミア美術館
絵の上にコポコポと浮かんでいる赤い気持ち悪いの (←?) は、智天使ケルビムなのだとか。
どう見ても、赤いカオマルにしか見えません。。。
+d カオマル トマト D-842-TM/h concept

ちなみに。
今回の展覧会の音声ガイドは、石坂浩二さんが担当しています。

プロデューサーさんによってカットされてしまい、
本編の音声ガイドでは、全く喋っていない・・・ということはありませんので、ご安心くださいませ。
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