板橋区立美術館で開催中の “探幽3兄弟 ~狩野探幽・尚信・安信~” に行ってきました。
こちらは、《唐獅子図》 で知られる狩野永徳の孫にして、
“狩野永徳の再来” と称賛された狩野探幽とその弟の尚信と安信の3兄弟にスポットを当てた美術展です。
実は、これまで狩野探幽を取り上げた美術展は、数多く開催されてきたそうですが。
その偉大すぎる兄の陰に隠れてしまったせいで、
狩野探幽の弟2人にスポットが当たったことは、ほとんど無かったのだとか。
探幽の弟2人にしてみれば待望の初3兄弟展なのです。
美術展は、3兄弟それぞれの作品ごとにまとまった形で展示されています。
トップバッターを飾るのは、もちろん長男・探幽。
重要文化財の 《雪中梅竹鳥図襖》 を筆頭に、
狩野探幽「雪中梅竹鳥図襖」名古屋城総合事務所・重要文化財・前期展示予定
貴重な探幽作品の数々が紹介されていました。
さすがに、どれもそつなく巧かったです。
ちなみに、残念ながら、重要文化財の 《雪中梅竹鳥図襖》 は、3月16日までの展示。
その代り、現在開催中の後期には、同じく重要文化財の 《群虎図襖》 が出展されています。
狩野探幽「群虎図襖」南禅寺(京都府)・重要文化財・後期展示予定
狩野探幽を堪能した後は、次男の尚信のもとへ。
これまでにあまりスポットは当たっていないものの、その実力は折り紙つき。
その軽妙な筆致には定評があります。
例えば、前期に出展されていた 《富士見西行・大原御幸図屏風》
狩野尚信「富士見西行・大原御幸図屏風」板橋区立美術館・前期展示予定
右隻の画題は、富士見西行。
「西行法師が富士山を眺めている姿の図」 を描くもので、日本画の画題としては、ポピュラーなものの一つです。
しかし、そんなポピュラーな画題も、尚信の手にかかると、
あまりの富士山の大きさに、腰を抜かして驚く西行法師のユーモラスな姿の図に。
軽妙というか軽い (笑)
美術展の締めくくりは、三男・安信です。
実は、安信には、兄2人と比べられて、 “下手の安信” という嬉しくない呼び名がついています。
また、ある時、3兄弟揃って老中から席画を描くよう命じられた際のこと。
描こうとした安信に対し、探幽は、
「兄たち妙手が描くのを見ておれ
(=お前は描かないで、天才の兄2人の描くところを見ておけばいい!)」
と、バッサリ。
パブリックな場面で、兄からイジめられるという屈辱的な仕打ちも受けています。下手ゆえに。
そんなエピソードがある人物なので、よっぽどヘタクソなのかと思いきや・・・
狩野安信「竹虎図屏風」浄福寺(奈良県)・前期展示予定(片隻ずつ展示)
意外と、そうでもなかったです!
ただ、真面目すぎる印象で、面白味は兄2人ほど無かったのは確か。
例えば、上で紹介した 《竹虎図屏風》 も、折り目の部分に虎の姿がかかるのがイヤだったのでしょうか。
折り目のスレスレに収まるようにピッチリと虎が描かれています。
何となく窮屈な印象。
ちなみに。
前期には、こんな作品も展示されていました。
3兄弟の合作による 《板倉重昌像・鷹図・馬図》 です。
狩野探幽・尚信・安信「板倉重昌像・鷹図・馬図」長圓寺(愛知県)・前期展示予定
どういう経緯があって描かれたにせよ、
3兄弟が力を合わせて完成させたのかと思うと、それだけで微笑ましいものがありました。
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探幽3兄弟 ~狩野探幽・尚信・安信~
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