今回ご紹介するのは、銀座メゾンエルメス フォーラムで開催中の展覧会。
その名も、 “コンダンサシオン:アーティスト・イン・レジデンス展” です。
エルメス財団のアーティスト・イン・レジデンス・プログラムにて制作された作品の数々が紹介されています。
一般的なアーティスト・イン・レジデンスは、
ある土地にアーティストを招聘し、一定期間滞在させて制作活動に取り組んでもらう制度を指しますが。
エルメス財団のアーティスト・イン・レジデンスは、少し特殊なアーティスト・イン・レジデンス。
招聘した若手アーティストには、エルメスのさまざまな工房 (クリスタル、革、シルク等) に滞在してもらい、
その工房の職人たちの卓越した技の助けを借りながら、制作活動に取り組んでもらおうという取組みなのです。
このユニークなアーティスト・イン・レジデンス・プログラムは、
2010年より開始され、毎年4名の若手アーティストがエルメスの工房に滞在しているそうです。
今回の展覧会では、2010年から2013年までの4年間、
計16名のアーティストの作品がすべて展示されていました。
それだけに、いつもの8階のフロアだけでなく、9階も使った大々的な展覧会となっています。
© Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise Hermès
それでも、もちろん入場料は無料。
若手アーティストだけでなく、僕らアートファンにも優しいエルメス財団です。
さてさて、この展覧会。
展示されているのは、ただのアート作品ではありません。
アーティストの発想力とエルメス工房の職人技が結集したからこそ生まれたアート作品です。
例えば、皮革工房に滞在したエミリー・ピトワゼが制作した 《ジゼル》 。
© Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise Hermès
皮全体にプリーツが施された、少し謎めいた印象の作品です。
一見すると、単なるコンセプチュアルなアートのような気もしますが。
皮革を知り尽くした職人たちが、研究を重ねた末に完成させただけあって、
近寄って見てみると、実に細部までこだわって仕上げられているのがわかります。
アート作品であると同時に、エルメスの技術の粋が詰まった工芸品でもあるのです。
どの作品もアートと工芸の融合具合 (?) が素敵でしたが。
特に目を奪われたのは、 《月のパゴダ》 というインスタレーション作品でした。
© Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise Hermès
鏡面仕上げされピカピカな金属のブロックが、まるで積み木のように積み上げられています。
そこに、照明が当てられることで、乱反射した光が暗闇で輝いて、という作品です。
この作品を制作したオ・ユギョンが滞在したのは、高級カトラリーの代名詞でもあるピュイフォルカ。
なるほど。この輝きは、銀食器の輝きだったのですね。
そのゴージャスでクラシックな輝きに、思わずうっとり。
ちなみに。
16人の作家の中に1人、日本人のアーティストもいました。
《サンルイのための楽器》 を制作した小平篤乃生 (こひらあつのぶ) さんです。
© Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise Hermès
クリスタルの半球内を時計の秒針が廻り、
クリスタルの内側と針がこすれることで音がなるという作品でした。
・・・・・と、文字だけで説明すると、
「ふ~ん。それが?」 となってしまいそうな作品ですが (笑)
実物は、とても世界観のある作品ですので、
是非、会場でその世界観と音を味わって頂きたく思います。
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コンダンサシオン:アーティスト・イン・レジデンス展
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