現在、東京国立近代美術館で開催されているのは、
“映画をめぐる美術 ――マルセル・ブロータースから始める” という美術展です。
映画をテーマにした美術展ということは、もちろん映像作品が多い美術展。
全映像作品を隈なく見ると、なんと約4時間 (!) もかかるのだとか。
(同日中なら何度でも再入場可、別日でも2回目の来訪は半券割引という特典あり)
「う~ん。どうしたものか。。。」
アートテラーとして、どのアートのジャンルも分け隔てなく観賞していますが。
唯一、苦手とするのが、映像作品なのです。
もちろん、これまでに観た映像作品の中には、面白かったものや感動したものもありましたが。
同じくらいに、いや、それ以上に、イマイチだったものもあります。
5分~10分くらいの作品だったら、イマイチでも、まだ我慢できますが、
30分~1時間くらいの作品を、最後まで観てもイマイチだった時は、かなり絶望感に打ちひしがれます。
というわけで、この美術展は、パスしようかなと思っていたのですが。
先日、ドタキャンされてしまい、ちょうど約4時間の空き時間が生まれたこともあって、行ってみることにしました。
その結果・・・・・
行って大正解でした!!
確かに、最後まで観てもイマイチだった映像作品も多々ありましたが (笑)
それを差し引いても、行って良かったです。
何と言っても、この展覧会の最大のポイントは、会場構成の巧さ。
会場に一歩足を踏み入れると、そこには、
1970年 [2010年、マリアン・グッドマン・ギャラリー、ニューヨークでの展示風景]
Courtesy of Marian Goodman Gallery, Paris/New York Photo: Ellen Page Wilson ? Estate Marcel Broodthaers
美術展のタイトルにもあるベルギーの美術家マルセル・ブロータースの 《シネマ・モデル》 という作品が。
上の写真は、あくまでニューヨークでの展示風景。
国立近代美術館では、この作品を、レトロな16mmフィルム映写機を5台使って投影しています。
作品としては、あまり理解できませんでしたが、
会場全体が、とても素敵な空間で、思わず映画館に飛び込んでしまったようなワクワク感を味わえました。
また、 《シネマ・モデル》 のある会場を中心に、全部で6つの部屋が用意されています。
それらの部屋には、それらの切り口で作品が展示 (上映?) されています。
これは、まさしくシネマコンプレックス。
映画をテーマにした美術展は、これまでにも無くはなかったでしょうが。
ここまで思い切った演出の美術展は、初めてなのではないでしょうか。
映像作品が得意でない僕でも、思いがけずワクワクしてしまう美術展でしたので、
映像作品好き、映画好きな人ならば、確実に、ワクワクテカテカしてしまう美術展です。
ちなみに、今回、展示 (上映?) されていた作品の中で、
面白いと感じたのは、ピエール・ユイグの 《第三の記憶》 でした。
1999年 ? Pierre Huyghe, courtesy Marian Goodman Gallery, Paris/New York
こちらは、実際に起きた強盗事件をモチーフにした映像作品。
その強盗事件は、のちにアル・パチーノの主演で 『狼たちの午後』 と映画化されたそうで。
その映画の映像を挟みつつ、実際の犯人に、当時を再現してもらった映像を紹介しています。
ただ、実際の犯人ながら、 『狼たちの午後』 を観ているため、
再現した当時の行動は、なんとなく映画の影響が出てしまっていたのだとか。
しかも、かなりアル・パチーノを意識 (笑)
実際の事件 (=第一の記憶) 、メディアの解釈 (=第二の記憶) 、
そして、本人による再演 (=第三の記憶) の関係性を問う映像作品として楽しむのが、きっと本筋。
でも、自分は、 『世界仰天ニュース』 や 『奇跡体験!アンビリバボー』 を観る感覚で楽しみました。
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映画をめぐる美術 ――マルセル・ブロータースから始める
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