増税しても、入場料は据え置き。
たった100円で観賞できる武蔵野市立吉祥寺美術館に行ってきました。
現在は、 “われわれは〈リアル〉である 1920s-1950s” という美術展が開催中です。
ちなみに、美術展の正式名は・・・
“われわれは〈リアル〉である 1920s-1950s
プロレタリア美術運動からルポルタージュ絵画運動まで:記録された民衆と労働”
とのこと。
・・・・・タイトル、長っ!
こちらの美術展は、1920年から1950年の激動の日本において、
画家や漫画家たちが描いた民衆 (労働者) をテーマにした作品を紹介する美術展です。
須山計一の 《仕上げの女達》 や、
尾藤豊の 《川口鋳物》 、
小畠鼎子の 《増産》 など、
労働者や労働問題をテーマにした作品が、これでもかというくらいに紹介されていました。
その展示数、約140点!
普通の美術館なら、そんなに驚かない数字ですが、
武蔵野市立吉祥寺美術館の展示室は、なかなかにコンパクトなサイズ。
そこに、あれだけの作品を展示するとは、なかなかに狂気的 (笑)
作中の人物も、もちろん労働に励んでいますが、
おそらく、この美術展を開催するために奮闘した学芸員さんの労働量のほうが上回っている気がします。
全体的には、やはりテーマがテーマだけに重く暗い印象が拭えませんが。
当時の労働問題を風刺したイラストや漫画も紹介されており、たまにクスッとさせられました。
労働問題というと、どうにも過去のもので、現代とは関係ないような気がしていましたが。
今回の美術展を通じて、よくよく考えてみれば、現代だって、
ニートだ、ブラック企業だ、派遣切りだ、サービス残業だ、と労働問題は山積み。
そして、それらについて、ちゃんと (?) ネット上で、ネット住民たちが異を唱えているわけです。
1920年から、根っこの部分は変わっていないのだなぁと、何だかしみじみ実感しました。
ちなみに。
今回展示されていた作品の中でもっともインパクトが大きかったのが、
とある実際に起きた事件をモチーフにした中村宏さんの 《射殺 Aching》 です。
作品を前にした瞬間、思わず足がすくんでしまいました。
こんなにも禍々しさを感じる作品は、初めて出合った気がします。
人間の底知れない悪意のようなものを感じました。
とは言え、どんな事件なのか、この絵だけでは詳細はわからないので、
帰宅後に調べてみたところ、ジラード事件と呼ばれていることが判明。
確かに、禍々しい内容の事件でした。
ニュース写真やニュース映像では決して伝えられない感情も、
アートならば、例え、時代を経ても伝えることが出来るのですね。
そんなアートの持つ根源的な力を、再確認させられる作品でした。
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われわれは〈リアル〉である 1920s-1950s
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