今回ご紹介するのは、浮世絵ファンにオススメしたい、こちらの一冊。
■歌川国芳猫づくし
作者:風野真知雄
出版社:文藝春秋
発売日:2014/3/25
ページ数:283ページ
お上を恐れぬ威勢の良さで知られる国芳も、
老いの戸惑いから、死への興味と、そして最後の恋への憧れが泡のように、ぽつぽつと浮かぶ。
そんななか、八匹の猫と、
一癖も二癖もある弟子たちに囲まれた彼の周囲では、次々と「猫」にまつわる大事小事が起きて―。数々の人気時代小説で知られる著者が、
持ち味の諧謔と哀感に溢れた筆致で、猫のいる日常と、淡い恋心を豊かに描きだします。
(「BOOK」データベースより)
「国芳人気にあやかっているのでしょうか。
歌川国芳を主人公にした物語が、最近ちらほら出版されている気がします。
それらの作品に登場する国芳は、たいてい江戸っ子で威勢のいい姿で描かれています。
(↑あまりにステレオタイプで、ちょっと食傷気味。。。)
しかし、こちらの小説では、老いが忍び寄り、
ちょっと気弱な一面が見え隠れた初老の歌川国芳が描かれています。
最初は国芳像とのギャップに少し戸惑ったものの、かえって人間味が感じられて、リアリティを覚えました。
また、国芳以外にも、幕末の浮世絵師が総登場。
歌川広重に、月岡芳年に、河鍋暁斎に、北斎の娘・お栄 (葛飾応為) まで。
なかでも、お栄のキャラクターが、かなりエキセントリックで。。。
各方面から (?) クレームが来ないかと心配です (笑)
全7話からなる連作短編集なのですが。
1話1話がのボリュームが少なめなのが、ちょっと残念。
せっかく面白い設定なのですから、もう少し内容を膨らまして欲しかったです。
ちなみに、一番のお気に入りは、 《金魚づくし いかだのり》 にまつわる一篇。
とある金魚商が、この浮世絵を執拗に欲しがるのですが。
彼だけが気づいた、この浮世絵に隠された秘密とは・・・。
思わず、実際の浮世絵の画像を探し、小説に書かれている通りなのか検証してしまいました。
確かに、そう言われて観てみると、そんな気がします。
国芳コード。
(星4つ)」
~小説に登場する名画~
《東都三ツ股の図》
↧
Book:16 『歌川国芳猫づくし』
↧