~前回までのあらすじ~
「そこに国宝がある限り、ハイ喜んで!」 の精神で、
日本全国津々浦々の国宝を巡る企画に挑戦中の国宝ハンター。
ついに、国宝ハンター初となる遠出をしたのだが、予想を裏切る事態に動揺を隠せない。
そこで、国宝ハンターは、急遽、愛知県の南に足を伸ばし、
もう1つ国宝をハンティングすることに挑むのであった!
徳川美術館まで来て、3件の国宝しかゲット出来ないとは。。。
このショックがどれだけのものかは、
国宝ハンターにしかわからないことでしょう。
ともあれ、名古屋に来たのに、
お昼ご飯に、味噌煮込みうどんも、きしめんも、ひつまぶしも食べる気になれません。
完全に無気力状態に。
しかし。
愛知県まで来てゲットした国宝が、3つでいいのだろうか。
いや、よくない!
そうだ、もう1つくらいゲットして東京に戻ろう!!
何だかわからないですが、急にやる気になった僕。
というか、無理無理でも、やる気にならないと、
高速バスで帰るモチベーションが無くなります (笑)
名古屋から、電車で1時間ちょっと。
名古屋の人でも、足を運ばないという吉良吉田駅までやって来ました。
この駅の近くに、国宝があるというのですが・・・どこに?
とりあえず、地元の人に聞いてみたところ、
川をず~っと上っていけば、そのうち見えてくるとのこと。
とってもざっくりした道案内でしたが、他に頼れる情報もないため、川を上ることに。
ただ、上れども上れども、国宝らしきものは見えてきません。
そして、最初に道案内して頂いた方以来、誰にも出会ってません。
寂しさマックス!
そして、40分は川を上り続けたでしょうか。
ようやくテンションが上がる光景が!
「国宝は、近い!」
看板の矢印に従って進むと、また道案内の看板。
“・・・この場合、国宝の金蓮寺には、どう行けばよいのやら (悩)”
何となく、左に進んでみたところ・・・
最大限に危険な場所に迷い込んでしまいました。
山3つぶんの大蛇って。。。
その後、ちょこちょこ迷いつつも、無事国宝の建築に到着。
それが、こちらの 《金蓮寺弥陀堂》
“こ・・・国宝なのか??”
国宝にしては、地味も地味。
冴えないこと、この上なしです。
もう少し近づいてみれば、国宝感がアップするかもしれませんね!
・・・って、そんなことなかったですね。
しばらく、金蓮寺弥陀堂の周囲をくるくると巡って観賞。
すると、徐々に、この建築の魅力がわかってきました。
地味というよりは、シンプル。
もしかすると、ル・コルビュジェやミース・ファン・デル・ローエの建築に通ずるものがあるのでは?
(↑最大限の建築知ったかぶり知識)
建物を浮かせているというのも、何やらモダニズム建築を想起させます。
(↑最大限の建築知ったかぶり知識Part2)
自分で観ているだけでは、わからないことも多々ありそうなので、
住職さんに頼んで、中を見学させて頂くことに (拝観料は200円)
弥陀堂の中に入るには、この石から。
階段ではないところに、センスを感じます。
この柱に使われているのは、舟肘木という形式なのだとか。
確かに、船底の形をしています。
正面は、蔀戸。
90度に開閉させれば、風通しは抜群。
ちなみに、金蓮寺弥陀堂は、総ヒノキ造り。
気持ちがよい建築です。
いよいよ、内部に潜入。
愛知県指定文化財の阿弥陀三尊像がいらっしゃいました。
阿弥陀様の隣の観音菩薩と勢至菩薩にご注目。
腰をかがめているのが、わかります。
非常に、珍しい姿勢の菩薩像なのだとか。
ちなみに、この姿勢は、住職さん曰く、
「いらっしゃいませって、意味だと思うよ」
とのこと。
何とも腰の低い菩薩様です (笑)
さてさて。
実は、この阿弥陀三尊像が安置されている須弥壇こそが、
国宝・金蓮寺弥陀堂の最大の特徴なのだとか。
その特徴とは、柱が2本しかないということ。
平安時代の一般的な阿弥陀堂建築は、
建物中央に須弥壇が置かれ、その4本の柱で建物自体を支えるのだそうですが。
鎌倉時代に建てられた金蓮寺弥陀堂は、
前面の柱2本を無くすことで、スタイリッシュな阿弥陀堂建築に見せたのだそうです。
そう言われてみると、
確かに、スタイリッシュ。
よくぞまぁ、内部にある2本の柱だけで建物全体を支えているものです。
パッと見は、地味なだけの国宝建築でしたが。
中に入ってみて、初めて、その素晴らしさがわかる国宝建築でした。
来て良かった。うんうん。
(↑遠かったこともあって、自分に言い聞かせている)
今現在の国宝ハンティング数 134/1082
国宝ハンターは、ランキングにも挑戦中
↧
第十七話 国宝ハンター、遡上する!
↧