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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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第十七話 国宝ハンター、遡上する!

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前回までのあらすじ~
「そこに国宝がある限り、ハイ喜んで!」 の精神で、
日本全国津々浦々の国宝を巡る企画に挑戦中の国宝ハンター。
ついに、国宝ハンター初となる遠出をしたのだが、予想を裏切る事態に動揺を隠せない。
そこで、国宝ハンターは、急遽、愛知県の南に足を伸ばし、
もう1つ国宝をハンティングすることに挑むのであった!



徳川美術館まで来て、3件の国宝しかゲット出来ないとは。。。
このショックがどれだけのものかは、
国宝ハンターにしかわからないことでしょう。

ともあれ、名古屋に来たのに、
お昼ご飯に、味噌煮込みうどんも、きしめんも、ひつまぶしも食べる気になれません。
完全に無気力状態に。


しかし。

愛知県まで来てゲットした国宝が、3つでいいのだろうか。
いや、よくない!
そうだ、もう1つくらいゲットして東京に戻ろう!!

何だかわからないですが、急にやる気になった僕。
というか、無理無理でも、やる気にならないと、
高速バスで帰るモチベーションが無くなります (笑)

名古屋から、電車で1時間ちょっと。
名古屋の人でも、足を運ばないという吉良吉田駅までやって来ました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-吉良吉田駅


この駅の近くに、国宝があるというのですが・・・どこに?
とりあえず、地元の人に聞いてみたところ、
川をず~っと上っていけば、そのうち見えてくるとのこと。
とってもざっくりした道案内でしたが、他に頼れる情報もないため、川を上ることに。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-川


ただ、上れども上れども、国宝らしきものは見えてきません。
そして、最初に道案内して頂いた方以来、誰にも出会ってません。
寂しさマックス!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-川


そして、40分は川を上り続けたでしょうか。
ようやくテンションが上がる光景が!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-国宝


「国宝は、近い!」

看板の矢印に従って進むと、また道案内の看板。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-看板


“・・・この場合、国宝の金蓮寺には、どう行けばよいのやら (悩)”

何となく、左に進んでみたところ・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-蛇穴 看板  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-蛇穴


最大限に危険な場所に迷い込んでしまいました。
山3つぶんの大蛇って。。。

その後、ちょこちょこ迷いつつも、無事国宝の建築に到着。
それが、こちらの 《金蓮寺弥陀堂》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-金蓮寺弥陀堂


“こ・・・国宝なのか??”

国宝にしては、地味も地味。
冴えないこと、この上なしです。
もう少し近づいてみれば、国宝感がアップするかもしれませんね!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-金蓮寺弥陀堂


・・・って、そんなことなかったですね。

しばらく、金蓮寺弥陀堂の周囲をくるくると巡って観賞。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-金蓮寺弥陀堂  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-金蓮寺弥陀堂 横


すると、徐々に、この建築の魅力がわかってきました。
地味というよりは、シンプル。
もしかすると、ル・コルビュジェやミース・ファン・デル・ローエの建築に通ずるものがあるのでは?
(↑最大限の建築知ったかぶり知識)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-金蓮寺弥陀堂


建物を浮かせているというのも、何やらモダニズム建築を想起させます。
(↑最大限の建築知ったかぶり知識Part2)


自分で観ているだけでは、わからないことも多々ありそうなので、
住職さんに頼んで、中を見学させて頂くことに (拝観料は200円)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-石


弥陀堂の中に入るには、この石から。
階段ではないところに、センスを感じます。

この柱に使われているのは、舟肘木という形式なのだとか。
確かに、船底の形をしています。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-舟肘木


正面は、蔀戸

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-蔀戸


90度に開閉させれば、風通しは抜群。
ちなみに、金蓮寺弥陀堂は、総ヒノキ造り。
気持ちがよい建築です。


いよいよ、内部に潜入。
愛知県指定文化財の阿弥陀三尊像がいらっしゃいました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-阿弥陀三尊像


阿弥陀様の隣の観音菩薩と勢至菩薩にご注目。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-観音菩薩


腰をかがめているのが、わかります。
非常に、珍しい姿勢の菩薩像なのだとか。
ちなみに、この姿勢は、住職さん曰く、

「いらっしゃいませって、意味だと思うよ」

とのこと。
何とも腰の低い菩薩様です (笑)


さてさて。
実は、この阿弥陀三尊像が安置されている須弥壇こそが、
国宝・金蓮寺弥陀堂の最大の特徴なのだとか。

その特徴とは、柱が2本しかないということ。
平安時代の一般的な阿弥陀堂建築は、
建物中央に須弥壇が置かれ、その4本の柱で建物自体を支えるのだそうですが。
鎌倉時代に建てられた金蓮寺弥陀堂は、
前面の柱2本を無くすことで、スタイリッシュな阿弥陀堂建築に見せたのだそうです。

そう言われてみると、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-柱


確かに、スタイリッシュ。
よくぞまぁ、内部にある2本の柱だけで建物全体を支えているものです。


パッと見は、地味なだけの国宝建築でしたが。
中に入ってみて、初めて、その素晴らしさがわかる国宝建築でした。
来て良かった。うんうん。
(↑遠かったこともあって、自分に言い聞かせている)


今現在の国宝ハンティング数 134/1082




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