三井記念美術館で開催中の “茶会への招待―三井家の茶道具―” へ。
こちらは、三井各家 (北三井家・新町三井家・室町三井家) 所蔵の茶道具の名品を紹介する美術展。
それも、ただ茶道具を並べるだけでなく、
茶事や茶会を再現することで、その “取り合わせ” の妙味を味わおうというもの。
茶道の世界に明るい方には、興味深いのでしょうが、
そうでもない方にとっては、そうでもない美術展。。。
ただ、 “取り合わせ” の妙味までは味わえなかったものの、
ここ最近、武将でもあり茶人でもあった古田織部を主人公にした漫画 『へうげもの』 に、
へうげもの(1) (モーニングKC (1487))/山田 芳裕
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ハマっていることもあって、茶道具そのものには、興味津々。
(物語の中に、いくつもの名品茶道具が登場するのです!)
個々での茶道具観賞は、十二分に堪能いたしました。
では、印象に残っている茶道具を、いくつかご紹介。
まずは、 《大名物 唐物肩衝茶入 銘遅桜》
楢柴肩衝・新田肩衝と並んで天下三肩衝と呼ばれた茶器・初花。
(↑『へうげもの』 で得た知識w)
足利義政が所蔵し、織田信長や徳川家康といった名だたる武将の手に渡った茶器です。
その初花よりも遅れて日本に来たことから、
足利義政が、 「遅花」 と名付けたのだとか。
何とも風流なネーミングセンスです。
《黒楽茶碗 銘俊寛》
作者は、長次郎。
黒を好む千利休の名によって、黒楽茶碗を完成させました。
当時、黒に美意識を感じる思想はなく、黒の美そのものが斬新だったそうです。
(↑これまた 『へうげもの』 で得た知識w)
ろくろを使わないで作られているためいびつな形ですが、
その武骨で人間臭い感じに、心をグワッと掴まれました。
マッドな黒色も、男らしくて、カッコ良い。
続いて、先日、 《色絵藤花文茶壺》 を観たばかりですが。
同じく野々村仁清の作による 《色絵桐巴文水指》
やはり、仁清の造形力とグラフィックデザインは秀逸。
華美すぎず、地味すぎず。
絶妙なバランスの上に成り立っている気がします。
ラストは、 《伊賀耳付花入 銘業平》
大正年間、関東にあった伊賀花入の名品5点を、
誰が言ったか、 “東五人男” と呼んだそうな。
そのうちの1点で、平安時代のイケメン・在原業平の名が付けられています。
う~ん・・・イケメンか (笑) ??
さてさて、今回三井記念美術館では、
新町三井家からの新寄贈品も、併せて紹介しています。
その中でも必見なのが、江戸中期の絵師・渡辺始興による 《鳥類真写図巻》
全長17メートルにもおよぶ写生図巻の傑作中の傑作です。
この図巻には、63種類の鳥類が、ほぼ原寸大で描かれています。
そのあまりにもリアルな鳥の姿は、必見!
江戸時代の日本でも、こんなにも博物画の技術は高かったのかと、驚かされます。
ちなみに、この 《鳥類真写図巻》 。
かの有名な円山応挙も模写したほど。
(その作品は、現在、トーハクに所蔵されています)
どの鳥も、本当に丁寧に描かれていて、
一羽一羽眺めていたら、15分でも足りないくらいの内容量でした。
・・・ただ、たくさんの鳥に交じって、一匹だけコウモリが。
おそらく、渡辺始興は、コウモリを鳥だと思っていたのでしょうね。
「コウモリは哺乳類なんですよ。」 と教えてあげたい。
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茶会への招待―三井家の茶道具―
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