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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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生誕140年 中澤弘光展―知られざる画家の軌跡

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そごう美術館で開催中の “生誕140年 中澤弘光展―知られざる画家の軌跡” に行ってきました。
僕のこれまでの経験からすると、知られざる画家を紹介する美術展には、ほとんどハズレがないのですが。
今回の中澤弘光展に関しては・・・う~ん。
星

いや、決して、面白くなかったわけではないのです。
《夏》 にしても、

夏


《おもいで》 にしても、

おもいで


《少婦》 にしても、

少婦


絵としては、かなり上手いです。
ただ、上手いのは上手いのですが、 「これは!」 というインパクトが無いのです。
“いい人どまり” ならぬ “いい絵どまり” 。
もう少し個性があったなら、知られざる画家にはなっていなかった気がします。

とは言え、全く個性が無かったというわけではありません。
にんげんだもの。げいじゅつかだもの。
基本的には、当たり障りのない (?) 風景画や肖像画を描く中澤弘光ですが。
たまに描く古典の要素を取り入れた絵画は、
“どうしてそうなった?!” という仕上がりになっていました。

例えば、西行法師の 「願わくば花の下にて春死なん その望月の如月の頃」 を題材にした絵は・・・

花下月影  《花下月影》


西行法師が全く関係ない一枚に。
ヌードの女性、いります?


また、尾形光琳の絵や在原業平の歌から着想を得たという 《かきつばた》 は・・・

かきつばた


元ネタが、よくわらかない感じに。
そして、やっぱりヌード。


極めつけは、清水港の海苔を採る女性を描いた作品です。
そこに、なぜか三保の松原の天女伝説をドッキング。

海苔とる女  《海苔とる女》


結果、よくわからない作品になっていました。


ちなみに。
中澤弘光は、古美術品のコレクションが趣味だったようで。
会場には、

菩薩像


こちらの菩薩像以外にも、多数の古美術品が展示されていました。
そういう面では、古美術ファンも楽しめる展覧会と言えそうです。




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