生誕200年ミレー展　愛しきものたちへのまなざし

今年2014年は、ジャン＝フランソワ・ミレーの生誕200年となるメモリアルイヤーです。
現在、国立新美術館で絶賛開催中の “オルセー美術館展” に合わせて、ミレーの傑作 《晩鐘》 が来日。
さらに、来月10月17日からは、三菱一号館美術館にて、
《種をまく人》 が30年ぶりに来日を果たす “ボストン美術館 ミレー展” が開催されます。

そんなミレーイヤーを盛り上げるミレー展が、府中市美術館でも開催されています。
“生誕200年ミレー展　愛しきものたちへのまなざし” は、10月23日まで。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)


始まったのは、先週の9月10日。
まだ開始1週間しか経っていませんし、しかも、訪れた本日は平日。
それも、開館とほぼ同時の10時。

“さすがに、あまりお客さんはいないだろうから、ゆったり楽しめるだろうなぁ♪”

と思いきや、

「！！！！！」

予想を遥かに超える盛況ぶり。
日本でのミレー人気の高さを思い知らされた次第です。
会期2週目の平日で、この混みようなので、今後はもっと混雑することが見込まれます。
気になっている方は、是非、早めに行かれることをオススメします。



さて、今回のミレー展は、家族を描いた3点の肖像画から始まります。




「農民画家」 のイメージが強いミレーですが。
実は意外に肖像画も多く残しているのです。
展覧会の前半は、ミレーの修業時代の作品も交えながら、




知られざるミレーの側面が紹介されています。
ちなみに、前半での見どころは何と言っても、
“シェルブールのモナリザ” と称される 《部屋着姿のポーリーヌ・オノ》 (写真手前）。




ポーリーヌ・オノは、ミレーの最初の妻です。
顔色が若干・・・というか、かなり悪いのは、結核で亡くなる前の姿だったからだとか。
ちなみに、写真の奥に映っているのは、ミレーの2番目の妻である 《カトリーヌ・ルメール》 です。
偶然にも、虎視眈々と後妻の座を狙っているようなカメラアングルになってしまいました(笑)

また、数々の肖像画に交じって、ミレーの 《自画像》 がさらっと展示されていましたが。




実は、ミレーは、その生涯で素描を含め自画像は、5点しか残していないとのこと。
つまり、上の 《自画像》 は、そのうちの貴重な1点なのです。
しかも、驚くのは、まだ早いです。
上の 《自画像》 以外にも、今回のミレー展には、2点の自画像が展示されています。
5点中3点。
そのことからも、こちらのミレー展が、いかに力の入った内容かおわかり頂けることでしょう。


力が入っていたと言えば、ミレーの真骨頂である農民画を紹介するコーナーも。
ボストン美術館や山梨県立美術館が所蔵する 《種をまく人》 こそ無かったものの。




《種をまく人》 の第一作目 （写真左） や、その後に描かれた 《種をまく人》 （写真右） が展示されていましたし。
オルセー美術館が所蔵する 《落ち穂拾い》 よりも前に描かれた 《落ち穂拾い、夏》 も展示されていました。




他にも、ミレーらしい安定感のある絵がズラリ勢ぞろい。
正直なところ、ここまで満足度の高いミレー展とは思ってもみませんでした。
（↑府中市美術館さん、ごめんなさい）

　　


ミレーの油彩画も良かったのですが、個人的には、ミレーの素描に惹かれました。
こんなに力強くて正確な線を描く画家だったのですね。
ミレーの画家としての実力を、まざまざと見せつけられた気がしました。

　　


ちなみに。
今回紹介されていたミレー作品の中で一番印象に残ったのが、
写真右の 《シェルブール市長ポール＝オノレ・ジャヴァン》 という肖像画です。




シェルブール市からの依頼で数年前に亡くなったポール＝オノレ・ジャヴァン市長を描くことになったミレー。
面識は無かったので、資料を紐解き、どうにか肖像画を仕上げたのだそうですが・・・。
「本人に似ていない！」 という理由で市議会は受取を拒否。
それに腹を立てたミレーは、写真左の 《モーセに扮した自画像》 をシェルブール市に贈り付けたのだとか。
モーセに扮したミレーが指差しているのは、「汝、偽ることなかれ」 というフレーズ。
ミレー、だいぶ怒っています。
結果、シェルブール市は、ミレーに当初提示した金額の3分の1を支払ったそうです。

ミレーを敵に回すと恐ろしい。




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