現在、板橋区立美術館では、 “種村季弘の眼 迷宮の美術家たち” が開催されています。
こちらは、ドイツ文学者にして、錬金術や魔術、神秘学研究でも知られる評論家、
20世紀が生んだ 『「知の無限迷宮」の怪人』 こと種村季弘 (1933~2004) に迫る展覧会です。
こちらが、その種村季弘氏。
今道子 《種村季弘氏+鰯+帽子》
今道子さんが制作した鰯製の帽子を被っています。
怪人感 (?) 満載です。
ちなみに、何だか渋々かぶっているような表情ですが、
今道子さんのアトリエにて鰯製の帽子を見つけた種村季弘自らが頭にかぶったのだとか。
種村季弘が、その生涯で残した膨大な著書も、もちろん展示されていましたが。
種村季弘が美術評論家として親交のあった芸術家や、
彼が日本に紹介した海外の美術家の作品が今回の展示のメインとなっています。
マックス・エルンストやパウル・クレー、土方巽に、
ルイス・キャロルといった著名な人物の作品もあるにはありましたが。
種村が、 『魔法の国の建築家』 と評したカール・コーラップをはじめ、
《顔》
フリードリッヒ・シュレーダー=ゾンネンシュターンやら、
エルンスト・フックスやら美濃瓢吾やら、なかなか美術館ではお目にかかれぬ芸術家の作品が多く見られました。
カール・ハイデルバッハにいたっては、
《二体の人形》
本国ドイツでも、ほとんど知られていないそうです。
どの作品も初めて目にするものばかりでしたが、
どの作品ももれなく怪しげで、どの作品ももれなくイッちゃってました。
この展覧会が開催されるまで、種村季弘という人物を知らなかったのですが、
この展覧会に出展されている作品を通じて、種村季弘という人物の趣味嗜好はよくわかった気がします。
ノーマルな趣味嗜好の方にとっては、
快か不快かで言ったら、おそらく快ではない作風の作品が多い展覧会なのでしょうが (笑)
ここまで世界観が徹底されている怪しげな展覧会は、そうそうありません。
ノーマルな方は恐る恐る、アブノーマルな方 (?) は心から種村ワールドを味わってみてください。
今回出展されている作品の中で、個人的にもっともインパクトを受けたのは、
福岡の門司港に住み門司港の風景を独特な姿で描くトーナス・カボチャラダムスさん (日本人!) の作品です。
《にこにこ元気町》
ドラえもんがいたり、ブリキの金魚のおもちゃがあったり。
観れば観るほど発見のある、楽しい一枚です。
この絵に漂うごちゃごちゃ感は、おもちゃ箱を彷彿とさせるものがありました。
どことなくブリューゲルの作品っぽい印象もあります。
また、今回の展覧会には、種村季弘本人のコレクションも紹介されています。
その一つに四谷シモンさんの球体関節人形の初期の作品がありました。
それに合わせて、その隣に四谷シモンさんの最新作も展示されています。
見比べてみるのも一興です。
種村季弘コレクションの中で特にオススメしたいのが、
日本では江戸川アートミュージアムにしか常設されていない桑原弘明さんの作品です。
《Scope「詩人の椅子」》
外観は、怪しげな小さな箱。
でも、その中を覗いてみると・・・
こんな世界が広がっています。
ちなみに、この箱の中に広がる光景は、本当に箱の中に作られているもの。
椅子やろうそくも、人差し指の爪に乗るくらいの極小サイズで制作されているのです。
一見すると、種村季弘のコレクションにしては、ロマンチックな気もするのですが (?)
作品に施されている超超超絶技巧は、ある意味で変態的。
実に種村季弘らしいコレクションです。
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種村季弘の眼 迷宮の美術家たち
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