今回オススメする美術展は、山種美術館で開催中の “輝ける金と銀―琳派から加山又造まで―” 。
こちらは、日本美術における金と銀の表現に着目した美術展です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
俵屋宗達 (絵) ・本阿弥光悦 (書) の 《鹿下絵新古今和歌巻断簡》 にも、
17世紀 (江戸時代) 紙本・金銀泥絵・墨書 山種美術館
加山又造の 《華扇屏風》 にも、
1966 (昭和41) 年 絹本・彩色 山種美術館
展示されているすべての作品には、金か銀 (たまに、プラチナやアルミ) が使われています。
ただでさえ (?) 一流の日本画家の作品なのに、
そこに金や銀 (たまに、プラチナやアルミ) の装飾が施されていようとは。
なんともリッチな気分に浸れる日本美術展でした。
また、金と銀が使われている作品を、ただ並べただけの美術展というわけではなく。
このように実際に使われていたと想定される画材を用意して、
徹底的に金と銀の技法を掘り下げているのが、今回の美術展の最大のポイント。
このように展示作品のサイドにも、技法のサンプルが添えられているので、
実際に金箔や金泥が、どのように使われているのかを、ちゃんと理解することが出来ました。
とにもかくにも、これらの技法の解説が非常にわかりやすく、目からウロコが落ちっぱなし。
例えば、速水御舟の 《名樹散椿》 の背景には、
【重要文化財】 1929 (昭和4) 年 紙本金地・彩色 山種美術館
金箔ではなく、金砂子 (=金粉) を敷き詰めた 「撒きつぶし」 という特殊な技法が使われているのだとか。
確かに、比べてみると、金箔や金泥の画面と違って、
撒きつぶしの画面は、驚くほどにフラットな面になっています。
ちなみに、金箔をビッチリと隙間なく敷き詰める撒きつぶしという技法。
当然、手間も予算も、かなりかかっているのだそうです。
今まで、椿ばかりに目が入っていて、ごめんなさい。
また、一見すると、金が使われている気がしない横山大観の 《竹》 には、
1918 (大正7) 年 絹本裏箔・墨画 山種美術館
絹の裏側に金箔を貼った 「裏箔」 という技術が用いられているそうです。
(右:裏箔を施した絹本 左:普通の絹本)
確かに、観る位置を上下に動いて変えてみると、
ちゃんと金箔の煌めきを感じることが出来ました。
そんなことはつゆ知らず、黄ばんでいるのかと思ってしまっていて、ごめんなさい (恥)。
他にも、金や銀の技法について、いろいろ学ぶことがありました。
今年の芸術の秋は、特に日本美術系の美術展が目白押し。
それらを訪れる前に、 “輝ける金と銀” を観ておけば、きっと観賞に役立つことでしょう。
金と銀をテーマにした美術展として、
日本美術における金と銀の技法のガイドとして、2WAYで楽しめる展覧会です。
ちなみに。
「こんな素敵な美術展を、貸切で楽しみたい!見どころの解説もして欲しい!」 という皆様へ、朗報です。
新潮講座で、こんな講座があるようですよ↓
http://www.shinchosha.co.jp/blog/chair/class/1410012.html
以上、告知でした (笑)
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輝ける金と銀―琳派から加山又造まで―
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