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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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赤瀬川原平の芸術原論 1960年代から現在まで

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2014年10月26日。
昭和を代表する前衛美術家にして芥川賞作家、
はたまた 「老人力」 という流行語の生みの親である赤瀬川原平さんがお亡くなりになりました。
心よりご冥福をお祈りいたします。

今後の赤瀬川原平さんの活動が見れなくなってしまったのは、本当に残念でなりませんが。
まるで最後の作品であるかのような絶妙すぎるタイミングで、
赤瀬川さんの関東圏初の大規模な回顧展が、10月28日より千葉市美術館で開催されています。
そんな “赤瀬川原平の芸術原論 1960年代から現在まで” は、12月23日まで。

赤瀬川原平の芸術原論


展覧会場には、家族を描いた若き日の絵画から、

若き
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)


高松次郎や中西夏之さんと組んで活動したハイレッド・センター時代の作品、

ハイレッドセンター  ハイレッドセンター


美術界だけでなく世間をも騒がせた千円札裁判の資料に、

千円札裁判  千円札裁判


小説家・文筆家として生み出した数々の著作、

芥川  老人力


そして、晩年の作品となってしまった最新作 (未完) まで。

晩年


2階分の広さの会場を埋め尽くすように、赤瀬川さんの多彩な作品及び資料が紹介されていました。
その数、なんと500点以上 (!)。
改めて、赤瀬川原平さんという人間の偉大さ・幅広さを、まざまざと実感する展覧会でした。
星星


特に意図されたわけでないのは重々承知ですが。
やはり気持ち的には、赤瀬川さんのお別れ会に来たかのような心境に。
銀座のギャラリーでお会いした際に、ご挨拶させて頂いたこともあり、
「出来れば、もう一度お会いしたかったなぁ。」 とか 「惜しい人を亡くしたなぁ。」 とか、
展示の冒頭では、しんみりと鑑賞しておりました。

が!

《宇宙の缶詰》 (蟹缶のラベルを剥がして缶の内側につけただけの作品w) をはじめとする・・・

宇宙の缶詰


ギャグセンスが冴えわたる赤瀬川さんの作品の数々を観ていたら、
いつのまにやら、しんみりした気持ちは、どこかに行ってしまいました (笑)
普通に笑える美術展です。
どうやら、それは僕だけではなかったようで、
会場を見渡してみると、笑顔になっているお客さんを多く目にしました。
没後初の回顧展でも、クスクス笑いが漏れるだなんて。
さすが赤瀬川原平さんです。


個人的にもっともハマったのは、やはり赤瀬川さんが提唱した 「超芸術トマソン」 のコーナーでしょうか。
「超芸術トマソン」 とは、

代々木


かつて四谷の旅館・祥平館脇にあった階段 (写真左) のように、
不動産に付属し、まるで展示するかのように美しく保存されている無用の長物を指す芸術上の概念です。
ちなみに、トマソンという名は、

トマソン


読売ジャイアンツに所属していた助っ人外国人の名前に由来します。
このトマソンは、1年目はそこそこ活躍したそうですが、
2年目は全くパッとせず、それでも四番打者の位置に据えられ続けていたとのこと。
そんなトマソンの姿を、無用の長物になぞらえて、赤瀬川さんは命名したようです (笑)
この言語センスには、芸人として嫉妬するほどの才能を覚えます。

会場には、赤瀬川さん本人が撮影 (採集) したトマソン写真の数々が展示されていました。

トマソン


こちらでも言語センスが炸裂。
写真につけられたタイトルが、実に秀逸です。
ダウンタウンの松ちゃんの大喜利のセンスに通ずるものを感じました。


千葉市美術館からの帰り道。
自然とトマソンを探している自分がいました。




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