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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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国宝 鳥獣戯画と高山寺

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特別展覧会 “修理完成記念 国宝 鳥獣戯画と高山寺” を観るために、

京博


京都国立博物館に行ってまいりました。
4年間かけて修復した国宝 《鳥獣人物戯画》 の待望の初披露ということもあって・・・

国宝 鳥獣人物戯画


会場の外には長蛇の列。 (←僕が訪れたのは土曜の午前ということもあって、100分待ちでした!)
会場の中でも、 《鳥獣人物戯画》 を観るために、長蛇の列が出来ていました。 (←こちらは、50分待ち!)

それを聞いて、

「150分待ちかぁ。。。そんなに並んでまで観る価値があるのかなぁ。。。」

と思われた方がいるかもしれません。
結論から言いますと、僕は、並んでまで観る価値はあると思います。
並んでる最中は、終始、 「来なきゃよかったなぁ。」 とテンションが下がっていた僕ですが。
《鳥獣人物戯画》 を観た後は、

「いやぁ、観に来てよかった♪」

と、テンションが上がりまくっていましたので。
3ツ星です。
星星星
展示は、11月24日まで。


《鳥獣人物戯画》 の魅力。

鳥獣人物戯画(甲巻)

鳥獣人物戯画(甲巻)  国宝 《鳥獣人物戯画(甲巻)》 平安時代 高山寺蔵 11/5~24展示場面


それは、画面の流れにある気がしました。
作品に目をやると、自然と目線が右から左へと流れるように動くのです。
それは、まさに漫画を読んでいるかのよう。
“日本最古の漫画” とも言われているのも納得です。
いや、自然と目線が動いてしまうことを考えたら、
もしかしたら、 “日本最古のアニメーション” “最古のジャパニメーション” なのかもしれません。

展覧会のラストに、江戸初期を代表する絵師・狩野探幽が、
《鳥獣人物戯画》 を模写した 《鳥獣人物戯画模本》 が展示されていたのですが。
それと見比べてみると、その差は歴然。
確かに、狩野探幽は見事に 《鳥獣人物戯画》 の登場キャラクター1匹1匹を模写しています。
さすがに巧かったです。
しかし、目線が自然と右から左へとは流れませんでした。
それぞれのキャラクターが静止しているような印象を受けるのです。

おそらくオリジナルの 《鳥獣人物戯画》 のキャラクターたちは、絶妙なバランスで配置されているのでしょう。
ユーモラスで愛らしく、ともすればユルく目に映る 《鳥獣人物戯画》 ですが。
実は、とんでもなく高度な技術が詰まった作品なのかもしれません。


ちなみに。
今回の展覧会では、有名な甲巻だけでなく、乙巻、丙巻、丁巻の全4巻すべてが公開されています。
特に衝撃的だったのは、 《鳥獣人物戯画 丁巻》 でした。
どうやら甲巻を描いた人物とは別の人が描いたようなのですが・・・

鳥獣人物戯画  国宝 《鳥獣人物戯画(丁巻)》 平安時代 高山寺蔵 11/5~24展示場面


いくらなんでも、別人が描いたにもほどがありました (笑)
「お前、誰だよwww」 とツッコみたくなること必至。
《鳥獣人物戯画》 の甲巻の続きというよりも、
もはや 《鳥獣人物戯画》 の海賊版なのではないかと思ってしまったほどでした。


さてさて、 《鳥獣人物戯画》 の感想が長くなってしまいましたが。
今回の展覧会は、 《鳥獣人物戯画》 だけでなく、
《鳥獣人物戯画》 を所蔵する高山寺の名宝の数々も展示されています。
高山寺を再興した明恵上人が愛玩した 《子犬》 の彫刻をはじめ、

仔犬  重要文化財 《子犬》 鎌倉時代 高山寺蔵


見逃せない名品が多数ありました。
その中でも、特に印象的だったのが、国宝の 《明恵上人像(樹上坐禅像)》 です。

明恵上人像  国宝 《明恵上人像(樹上坐禅像)》 鎌倉時代 高山寺蔵
(注:展示は11月3日まででした)


こちらは、高山寺の裏にある楞伽山 (りょうがせん) に登り、
二股に分かれた一本の松の上で座禅をする明恵上人の姿が描かれています。
見どころは、画面左上に描かれた1匹のリス。
その素朴な可愛さに、思わずメロメロになりました。

それと、この絵に関して、一つだけどうしても気になったことが。
座禅をする明恵上人から、目を上に滑らせていくと、何やら顔っぽいものがあるのです。
もしかして、心霊写真 (心霊絵画?) なのでしょうか。
いや、これは僕の完全なる想像ですが、最初はあの箇所に明恵上人を描こうと思ったのではないでしょうか。
だけど、もう少し下に人物像を配置した方がバランス良いと考えた絵師が、
一度描いてしまった顔を、なんとか木の枝や葉に見えるように誤魔化したのではないでしょうか。
あの顔みたいなのが、明恵上人の顔に、どことなく似ている気がするのです。
真相やいかに。




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