誰が何のために描いたのか。
描かれているのは誰の着物なのか。
どうして画面に誰もいないのか。
そんな謎だらけのミステリアスな絵があります。
その名も、 “誰が袖図” 。
衣桁や屏風に、誰かの衣裳がたくさん掛け並べている様子を画題にした絵画です。
その “誰が袖図” にスポットを当てた展覧会、
“誰が袖図 描かれたきもの” が、根津美術館にて12月23日まで開催されています。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
展覧会の中心となるのは、根津美術館が所蔵する3点の “誰が袖図” です。
まずは、ポスターにも使われている 《誰が袖図屏風》 。
日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵
近づいて観てみると、よくわかるのですが。
だいぶ細かいところまで、丁寧に描き込まれています。
「本物の着物を買った方が安く済むんじゃない?」 という気さえします。
一体、誰が誰の着物を描いたのでしょう。
こちらの 《誰が袖図屏風》 の隣に展示されていたのが、背景がシンプルなタイプの 《誰が袖図屏風》 でした。
日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵
背景の違いはあれど、2点の構図は、ほぼ同じ。
左隻の衣桁は青竹製で、右隻の衣桁には蒔絵が施されているところも同じです。
さらに、左隻の左に折り畳まれた着物が描かれているのも同じでした。
“誰が袖図” を描いた誰かさんは、何故こんなにも、この画題にこだわったのでしょうか。
謎です。
ちなみに、根津美術館が所蔵するもう一つの “誰が袖図” が、 《誰が袖美人図屏風》 。
日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵
左隻に遊女とその見習いの少女が描かれています。
こちらは、人物が描かれた珍しいパターンの “誰が袖図” なのだとか。
ということは、 “誰が袖図” に描かれている着物は、遊女のものなのかもしれません。違うかもしれません。
謎です。
さらに、今回の展覧会には、 “誰が袖図” だけでなく、宮川長春の 《美人図》 など、
日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵 福島静子氏寄贈
根津美術館のコレクションの中から、
特に描かれている衣装が美しい近世の風俗画の数々が出展されています。
根津美術館の庭の紅葉も綺麗に色づき始めていることもあって、
着物で訪れたくなる展覧会でした。 (←着物は持っていないですが。)
“誰が袖図 描かれたきもの” も見応えがあったのですが。
個人的には、展示室5で開催されていたコレクション展 “館蔵の名碗20撰” がヒットしました。
質、量ともに充実している根津美術館の茶道具コレクションから、
選びに選び抜かれた20碗がズラリと勢揃いしている様は圧巻も圧巻。
重要文化財の 《雨漏堅手茶碗》 に、
朝鮮・朝鮮時代 16世紀 根津美術館蔵
同じく重要文化財の 《青井戸茶碗 銘 柴田》 、
朝鮮・朝鮮時代 16世紀 根津美術館蔵
京焼の祖と言われる野々村仁清の 《色絵武蔵野茶碗》 (重要美術品) などが、
日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵
名碗20撰に選ばれていました。
どの茶碗が、根津美術館の代表メンバー枠に選ばれているのか。
その結果は、ご自身の目でお確かめくださいませ。
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誰が袖図 描かれたきもの
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