文字がつなぐ－古代の日本列島と朝鮮半島－

僕らが、普段何気なく使っている漢字。 （←この一文にも、漢字が8字使われています）
これらの漢字が、もともとは中国で生み出されたものだったというのは、常識も常識です。
そして、それが日本に直輸入され、現代に至っているというのも常識です。

・・・・・と、思いきや！

実は、漢字は、中国から日本に直輸入されたのではありません。
まずは、中国と隣り合った朝鮮半島で漢字が受容され、
さらに、それから日本に伝わったということが、最近の研究により明らかとなったのだそうです。

そんな古代の文字文化に注目した “文字がつなぐ－古代の日本列島と朝鮮半島－” が、
千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館にて、12月14日まで開催されています。
こちらは、韓国との初共催となる展覧会でもあり、日本国内の資料約120点だけでなく、
韓国を代表する研究機関の全面協力により、韓国の資料も約80点ほど紹介されています。
そのうちの多くは、日本初公開とのこと。
実に貴重な機会です。



朝鮮半島と日本の文字文化がテーマということで、若干、お勉強感が強い展覧会ではありましたが。
そして、当たり前ですが、文字の多い展覧会 （キャプションに展示品そのものに） ではありましたが。
純粋に、美術品として目にしても面白い作品も、多々ありました。
特に僕の印象に残っているのは、 《紺紙銀字妙法蓮華経巻第四 （高麗経）》 です。

　　14世紀　国立歴史民俗博物館蔵


とにもかくにも、見返しに描かれた絵が素晴らしかったです。
その線の緻密さには、驚かされること必至でしょう。
文字がテーマの展覧会なのに、お経の部分よりも、
見返しをメインにしてしまった学芸員さんの気持ち、よ～くわかります。


また、 《隆房卿艶詞絵巻》 も印象的な作品の一つです。

　　重要文化財 《隆房卿艶詞絵巻》
鎌倉中期写 国立歴史民俗博物館蔵


画面右の木に注目。
よ～く見ると、文字が描かれているのがわかります。
これは、葦手絵と呼ばれる手法。
文字を絵画と融合させる平安時代のタイポグラフィです。


他にも、印象的な展示品として、金印ならぬ銅印の 《千葉県八街市出土「山辺郡印」》 や、

　　重要文化財 《千葉県八街市出土「山辺郡印」》
8世紀 国立歴史民俗博物館蔵


同じく重要文化財に指定されている 《伏見院宸翰源氏物語抜書》 などもありましたが。

　　重要文化財 《伏見院宸翰源氏物語抜書》
鎌倉後期写 国立歴史民俗博物館蔵


何よりも印象的だったのは、今回の展示の目玉と言っても過言ではない・・・

　　国宝 《額田寺伽藍並条里図》　
奈良時代 国立歴史民俗博物館蔵


国宝の 《額田寺伽藍並条里図》 です。
こちらは、額田寺 （現・額安寺） の伽藍とその寺領を表すために作成された奈良時代の古絵図です。
麻布に描かれているため、傷みが進行しており、お披露目されるのは7年ぶりとのことでした。
画像で見る限りは、だいぶボロッボロな印象がありますが、
実際に、実物を目にしてみると、そこまでボロッボロな印象はありません。
むしろ奈良時代のものが、よく今まで保存されているなぁと感慨深いものがありました。

ちなみに、ところどころに穴が開いていますが、虫に食われた穴ではなさそうです。
といのも、併せて展示されていた復元複製と見比べてみると・・・

　　《額田寺伽藍並条里図 復元複製》 国立歴史民俗博物館蔵


もともとは池や川だった部分に、その穴がピッタリ符合していました。
しかも、よく見ると、穴の周りに、ちゃんとステッチがあり、補強されていることもわかりました。
本当に大事に保存されてきた国宝なのですね。

こちらの 《額田寺伽藍並条里図》 が展示されているのは、11月16日まででしたｆ＾＾；
告知が遅くなってしまって申し訳ありません。


ちなみに、ちょうど今、国立歴史民俗博物館のある佐倉城址公園は紅葉のベストシーズン。
博物館とともに、佐倉城址公園の散策も楽しんでみてはいかがでしょう？
そんな佐倉城址公園の伽藍並条里図 （？） を載せておきます。






1位以内を目指して、ランキングに挑戦中！（現在3位）
皆様、下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです！