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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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内藤礼 信の感情

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平成23年11月以来、工事のため休館していた東京都庭園美術館が、
いよいよ明日リニューアルオープンいたします!
(↑大事なことなので、強調しておきました)

皆様に先立って、本日、一足先にお邪魔してまいりました。

庭園美術館


『会えない時間が愛育てるのさ』 と誰かが言っていましたが。
会えない時間が3年もあった上での再会には、思わずジーンとするものがありました。

リニューアルに3年もかけただけあって、建物は見違えるほど綺麗になっています。
外壁は全て塗り替えられ、

塗り替え


照明は徹底的にクリーニングされ、

照明


東京都庭園美術館のもともとの建物の持ち主・朝香宮の居間だった部屋にいたっては、

殿下居間  殿下居間


失われていたオリジナルな壁紙やカーテンが復元されていました。
その他にも、正門や客室の壁画から家具や扉の金具に至るまで、ありとあらゆるものがリニューアル。
リニューアルとは名ばかりの (?) リニューアルオープンは多いですが。
今回の東京都庭園美術館のリニューアルオープンは、正真正銘のリニューアル!
建物が竣工した当時の姿のままに、生まれ変わっていました。
このリニューアル工事に携わった関係者や職人さんたちの苦労が偲ばれます。
お疲れ様でした。そして、本当にありがとうございました。

オープニング展となる “アーキテクツ/1933/Shirokane” では、
そんなリニューアル工事の様子や東京都庭園美術館の建物そのものにスポットが当てられています。
東京都庭園美術館の本館全体を使って開催されていますので、心行くまで名建築をお楽しみください。
ちなみに、平日ならば写真撮影が可能とのこと。
写真を撮りたい方は、是非平日に。


・・・・・と、サラッと書いてしまいましたが。
以前の東京都庭園美術館を知っている方の中には、 「本館って?」 と思った方がいらっしゃることでしょう。
3年前には本館も何も美術館の建物は一つしかありませんでしたので。
実は、今回のリニューアルオープンは、旧朝香宮邸だった建物がリニューアルしただけではありません。

庭園美術館


なんと、この建物の後ろに、新館が誕生したのです!

新館  東京都庭園美術館 新館
                                 東京都庭園美術館 新館


こちらの新館には、カフェやミュージアムショップが併設。
さらには、展覧会場として使用出来るホワイトキューブのギャラリーも併設されています。

ギャラリー  東京都庭園美術館 新館 ギャラリー1


そんな出来たてほやほやの新館ギャラリー1のオープニングを飾っているのが・・・

内藤礼 信の感情


国内外で注目を集めている現代美術家・内藤礼さんの個展 “内藤礼 信の感情” です。
残念ながら、新館ギャラリー1内は写真撮影が不可。
こちらの展示室には、内藤礼さんの 《color beginning》 シリーズが10点展示されていました。
《color beginning》 は、内藤さんによるカラーペインティング作品。
ですが、パッと見ただけでは、ただの真っ白なキャンバスにしか見えません。
「どこがカラーペインティング?」 という感じです。
気が短い人ならば、 「何も描かれていないじゃん!金返せ! とクレームをつけるかもしれません。

しかし、慌てず騒がず、じ~っと 《color beginning》 を見つめ続けてください。
すると淡いピンク、もしくは淡い青、淡い黄色が見えてくるはずです。
最初はどれも同じ白いキャンバスにしか見えませんでしたが、
作品ごとに色合いが全く異なっていることが、徐々にわかってくるはずです。
学芸員さん曰く、15分も向き合っていれば、もっと色の違いを感じられるようになるとのこと。
インパクトのある美術作品とは真逆で、心にじわじわと染みこんでくる美術作品といった印象でした。
これまでに味わったことがないニュータイプの美術作品です。
是非皆様も体験してみてください (但し、せっかちな人には、あまり薦められませんw)


さて、こちらの “内藤礼 信の感情” という展覧会。
新館ギャラリー1だけでなく、ひそやかに本館でも開催されていたようです。
あまりにひそやかすぎて、気が付きませんでした (汗)

そう言えば、本館のいたるところで目についた、こちらの小さな人形。

ひと  ひと


この小さな人形が、 《ひと》 という内藤礼さんの彫刻作品だったようです。
こちらの 《ひと》 は、新館ギャラリー1にいたのと合わせて、11人いるそうです。
《ひと》 は、本館のいたるところに、ひっそりと佇んでいます。

ひと  ひと


もしかしたら、明日は違う場所に現れているかもしれません (笑)


ちなみに、 《ひと》 以上に、ひっそりと展示されていたのが、

ペリカン  ペリカン


中庭スペースにいるペリカンの置物の頭にかぶされた 《帽子》 です。

《color beginning》 といい、 《ひと》 といい、 《帽子》 といい、
内藤礼さんの作品は、どれも派手さは無いのに、心にじわじわ、じんわりと染み入るものがあります。
きっと派手さが無いので、しばらく経ったら、これらの作品を目にした記憶は薄れてしまうことでしょう。
でも、10年後や20年後といった遠い未来、
ふとした瞬間に、内藤礼さんの作品を思い出す日が来るような気がします。
まるで、彼らが心の片隅に棲みついてしまったような。
そんな気がしてならないのです。


リニューアルオープンした東京都庭園美術館のオープニング展として、
内藤礼さんの展覧会ほど相応しいものは無いのでは、というくらいにしっくり来た展覧会です。
星星星
これからの東京都庭園美術館に期待も込めて3ツ星。




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