先月、お亡くなりになった赤瀬川原平さんらとともに、
伝説のアーティストグループ “ハイレッド・センター” として活動していた高松次郎 (1936~1998) 。
その全貌に迫る大規模回顧展が、東京国立近代美術館にて開催されています。
高松次郎ミステリーズ 展覧会ポスター(デザイン:菊地敦己)
高松次郎の作品は、時期によって、スタイルも素材もばらばら。
そして、一見したところ、何を意味しているのか、よくわかりません。
まさに、ミステリー。
例えば、 《光と影》 という作品。
1970 年 個人蔵 撮影:木奥恵三
ⓒ The Estate of Jiro Takamatsu, Courtesy of Yumiko Chiba Associates
こちらは、1970年に国立近代美術館で開催された展覧会に出品されたもので、
立てかけられた鉄板によって、電球の光源が遮られてしまう状態を作り出した作品です。
「・・・・・・・・へ?」
また、例えば、 《遠近法の椅子とテーブル》 という作品。
1966-67 年 東京国立近代美術館蔵 撮影:上野則宏
ⓒ The Estate of Jiro Takamatsu, Courtesy of Yumiko Chiba Associates
近くのモノは大きく、遠くのモノは小さく。
そんな遠近法の原理を応用して、立体物を制作してしまった作品です。
写真 (画像) で見る分には、そう違和感はないですが、
実際の作品を目にすると、自分の目が間違っているのではないかという気になります。
「・・・・・・・・ふ~ん。」
他にも、脚立の上にこんがらがった紐が乗っているだけの作品や、
4本ある椅子の足のうちの一つの下にブロックが置かれ、バランスが悪いことになっている作品など、
ミステリーすぎる作品のオンパレード。
そんな高松次郎のオブジェや彫刻、絵画が、今回の大規模回顧展では約50点ほど展示されています。
それだけでは、高松次郎による紐の作品のごとく、頭がこんがらがったままなので。
今回の展覧会では、謎すぎる高松作品を解明するヒントとして、
作品に関連するドローイングも約150点ほど展示されていました。
それらのドローイングを目にすると、
「あぁ、これが、こうなって、この作品に繋がるのね。
はいはい。この作品は、これこれこういう理論で作られているのね」
と、なります。
難解だった高松次郎の作品がスッキリとわかります。
・・・・・すいません。
見栄を張ってしまいました。
ドローイングを見ても、高松次郎が思考していたことの4分の1も理解できませんでした。
僕の頭では理解できないくらい難しいことを高松次郎が考えていた、ということは理解できました。
どうやら、高松次郎は、美学だけでなく、
哲学や数学、物理学など、さまざまなアプローチから作品を制作していたようです。
それだけ思考に思考を重ねて、いざ生み出された作品が、
「・・・・・・・・へ?」 とか 「・・・・・・・・ふ~ん。」 とかしか感じられないことが、個人的には一番のミステリー。
恐ろしく頭が切れる人なのだから、一般人がアッと思える作品も作ってくれれば良かったのに。
もしかしたら、高松次郎の作品は、遠い未来に、
現在よりもグンと知能が高くなった人類が目にした時、初めて理解されるのかもしれませんね。
オーパーツのような。
どちらかと言えば難解な作品が多かった印象ですが。
高松次郎の初期・中期・後期の3章を、3人のキュレーターがそれぞれ分担して担当していたり。
高松次郎 《No.273(影)》 1969 年 東京国立近代美術館蔵
ⓒ The Estate of Jiro Takamatsu, Courtesy of Yumiko Chiba Associates
高松次郎を代表する 《影》 シリーズの不思議な仕組みを体験できる 「影ラボ」 なる体験コーナーがあったり。
展覧会全体からは、高松次郎作品の難解さを、何としても解きほぐそうという意気込みが感じられました。
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高松次郎ミステリーズ
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