日本では27年ぶり、世界でも20年ぶりとなるホイッスラーの大回顧展が、横浜美術館で始まりました。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
“横浜美術館開館25周年 ホイッスラー展” は、来年3月15日まで。
ジェームズ・マクニール・ホイッスラー (1834~1903) は、
アメリカに生まれ、フランスとイギリスを中心に活動した画家です。
粋で皮肉屋、知的でエレガント、髭を蓄えたその姿は、まさにダンディそのもの。
そんなホイッスラーのイメージから白羽の矢が立てられたのでしょうか。
音声ガイドのナレーションを務めるのは、日本が誇るダンディのリリー・フランキーさんでした。
さてさて、今回のホイッスラーの大回顧展には、
アメリカ、イギリス、フランスの20か所以上の美術館などから、油彩・水彩・版画作品約130点も集結!
それらの作品が、 「第1章 人物画」「第2章 風景画」「第3章 ジャポニズム」 の3章仕立てで紹介されています。
《灰色と黒のアレンジメント No.2:トーマス・カーライルの肖像》 や、
《ノクターン:青と金色-オールド・バターシー・ブリッジ》 といった、
彼の代表作中の代表作も、今回のホイッスラー展に来日。
さらには、 《白のシンフォニー No.2:小さなホワイト・ガール》 と 《白のシンフォニー No.3》 も来日しています。
《白のシンフォニー No.2:小さなホワイト・ガール》 はポスターや図録の表紙でもメインビジュアルとして活躍中。
憂いを帯びたその横顔、そして、そのエレガントな佇まい。
パッと見は、とても美しい女性なのですが。
鏡に映った顔は・・・・・・・別人のようです。
やつれているわ。疲れ顔だわ。
ふり向くな君は美しい。
さて、ホイスッラーの作品名を見て、 「おやっ?」 と感じた方はいらっしゃいませんか?
『アレンジメント』 に 『ノクターン』 に 『シンフォニー』 に。
作品名に音楽用語が使われています。
これは、ホイッスラーが、 「芸術のための芸術」 を目指したことと関係があります。
当時のイギリスでは、道徳や教訓的な内容を伝える 「物語る絵」 が主流でした。
しかし、ホイッスラーは、それを否定し、純粋に視覚としての美しさを絵画に求めたのです。
なので、ホイッスラーの絵を観て、 「何を描いているのですか?」 とか、
「この絵には、どういう意味が込められているのですか?」 とか、質問は厳禁。
ただただ “なんか美しいなぁ。” と思えばいいのです。
ちなみに、僕が、ただただ “なんか美しいなぁ。” と思った作品が、写真左の 《ノクターン:ソレント》 。
西洋の絵画を観ているというよりは、水墨画を観ているかのような感覚に。
絵画の世界にスーッと溶け込んでいけそうな気がしました。
実は、ホイッスラーは、日本美術から大きな影響を受けた画家の一人。
「いくらなんでも影響を受けすぎだろ!」 とツッコみたくなるほどの画家です。
そんなホイッスラーの日本美術に影響されっぷりを検証すべく (?) 、
ホイッスラーの作品と、その元ネタと考えられる浮世絵作品が並べて展示されていました。
ここまで影響を受けるのかというくらいに、影響を受けています 。
さらに、ホイッスラーは、サインも日本美術からもろに影響を受けています。
これは、日本の家紋や花押にインスパイアされたもので、
自分のイニシャルである 「JW」 を蝶の形に図案化しているのだそうです。
・・・・・ただ、まぁ、僕には蝶に見えませんでした。
何かの虫であることは間違いないのですが。
そして、どこが 「JW」 の文字なのかも、よくわかりませんでした。
(わかった人がいたら、是非教えてください!)
ホイッスラー自身は、とても気に入っていたようで、作品のいたる所に登場しています。
当時、誰かツッコんであげれば良かったのに。
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ホイッスラー展
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