久しぶりに武蔵野市立吉祥寺美術館へ。
消費税が8%に上がっても、入館料は100円のまま。
その企業努力 (?) には、本当に頭が下がります。
そんな武蔵野市立吉祥寺美術館で、
現在開催されているのが、 “吉祥寺のモダニスト 小畠辰之助” という展覧会。
かつて吉祥寺を拠点に活動した画家・小畠辰之助 (1892~1977) の画業に光を当てた展覧会です。
「小畠辰之助?誰??」
と、きっと誰もが思われたことでしょう。
ご多分に漏れず、僕もそう思いました。
会場内の説明を読むに、小畠辰之助とは、以下のような人物であったようです。
・若い頃は、鹿子木孟郎や黒田清輝の下で学んでいた
・結婚後は記者や美術教師などの仕事をしつつ、組織に属することなく淡々と制作を続けていた
・その生涯において、画壇で作品を発表したのは、たった1回だった
それは、小畠辰之助という名にピンと来たことがないんも当然です。
マイナーもマイナー、どマイナーな画家でした。
ただ、どマイナーな画家ではありましたが、
その作品は、決して井の頭公園で見かけるような日曜画家と同レベルには非ず。
ただものではないオーラが漂っている作品が多数ありました。
例えば、こちらの 《女性像》 。
一見すると、何の変哲もない女性像ですが。
実際に目の当たりにすると、まるで3Dテレビの画面を観ているような妙な立体感に驚かされることでしょう。
というのも、女性の肌が絵の具の凹凸で表現されているのです。
鼻筋も一本 (一筆?) スーッと通っています。
絵画というよりも、レリーフのような印象を受けました。
他の小畠辰之助作品も、やはりマチエール (=絵肌) が特徴的。
《三千院への道》 も、
《静物(柿)》 も、
これでもかというくらいに、マチエールが主張している作品ですが、
その極めつけとなるのが、一匹の蛾が描かれた 《蛾》 という作品です。 (画像はありません。あしからず)
マチエールにこだわりすぎて、蛾の絵というよりも、
絵の具を固めて完成させた蛾の立体物という代物が出来上がっていました。
しかも、色が綺麗なタイプの蛾なら、まだ良かったのですが、
小畠辰之助が描きあげた (固めあげた?) のは、茶色い蛾。
なかなかショッキングなビジュアルです (笑)
正直なところ、会場に入るまで、 「展覧会で取り上げるべき画家?」 と疑問的でしたが。
初めて、その作品を目にした後は、
「何でこれまでスポットが当てられたことがなかったんだろう?」 と、逆の疑問が芽生えました。
小畠辰之助を発掘した武蔵野市立吉祥寺美術館の学芸員さん、グッジョブです。
ただ一つ気になったのが、作品解説のキャプションで、
学芸員さんが、たま~に、小畠辰之助に毒を吐いていたこと (笑)
こちらの 《少女》 という作品に対しては、こんなコメントを↓
「描き込みの甘さが少々目につくが、そこに苛立ちを覚えずに済むのは、
その甘さこそが画題にそぐうからであって、手抜きの印象をさほど与えないからだろう。」
機嫌を損ねると、杖を振り上げて怒りを顕にしていたという小畠辰之助。
このキャプションを目にしたら、絶対、杖を振り上げて怒ることでしょう。
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吉祥寺のモダニスト 小畠辰之助
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