現在、静岡県三島市にある佐野美術館では、
“ひとの縁は、ものの縁 ―初公開の矢部コレクション―” という展覧会が開催されています。
静岡県沼津の実業家・矢部利雄氏が一代で築き上げたコレクションを初公開する展覧会です。
矢部コレクションの最大の特徴は、ジャンルが多岐に渡っているということ。
国宝 《太刀 銘 一》 を含む刀剣のコレクションもあれば、
長年使い込まれたことにより、
イイ感じに朱漆が剥がれ、イイ感じに下地の黒漆が浮かび上がった “根来” の名品の数々もあり、
他にも金工や絵画、陶磁器、浮世絵などが、矢部コレクションに収められています。
さぞかし、日本中を駆け巡って、コレクションを形成したのだろうなぁ・・・と思いきや。
実は矢部さんは、乗り物酔いがひどく、車に乗るのが大の苦手だったそうで。
その生涯でほとんど沼津から出ることはなく、列車で東京や大阪へ出向いた回数は数える程だったとか。
地方のハンデ (?) にも負けず、これだけ充実したコレクションを形成したのは驚異的です。
そんな矢部コレクションの中でも特に見逃せないのが、 《大笹穂槍 銘 藤原正真作》 。
徳川四天王の1人・本多忠勝が愛用していたことで知られ、 「天下三名槍」 の1つにも数えられている名品です。
戦場で槍を立てていると飛んできたトンボが二つに切れたという逸話から、 『蜻蛉切』 とも呼ばれています。
歴史は好きなので、以前から、トンボのエピソードは知っていましたが。
「いやいや、さすがにそこまで切れ味は、良くないでしょw」
と、だいぶ盛られたエピソードだと思っていました。
が、今回初めて実物を目にして、
「あ、これはトンボも真っ二つになるわ。」
と、確信。
一目見ただけで切れ味がわかりました。
これまで数々の刀剣を目にしてきましたが、
その中でも、 《大笹穂槍 銘 藤原正真作》 は3本の指に入る素晴らしさ。
これを見るためだけに、静岡まで足を運ぶ価値は大いにありました。
くわえて、もう1点見逃せないのが、 《自然釉壺》 。
昭和14年に浜松市の都田川で小学生が見つけたもので、平安時代を代表する焼物とまで賞された壺です。
一見しただけでは、良さが伝わりづらいのですが。
じーっと見つめていると、心の中がスーッとするような。
穏やかな魅力のある壺でした。
景色は、パウル・クレーや難波田龍起の抽象画を彷彿とさせるものがあります。
僕も、この壺が一つ欲しくなってきました。
ちょっと都田川に行ってきます。
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ひとの縁は、ものの縁
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