2015年も芸術家を主人公にした小説や映画を自腹で鑑賞してまいります。
その1発目を飾るのが、こちら↓
■洛中洛外画狂伝 狩野永徳
作者:谷津矢車
出版社:学研マーケティング
発売日:2014/10/14
ページ数:(上)263ページ (下)265ページ
狩野派の若き天才絵師が挑んだのは、一筆の力で天下を狙う壮大な企てだった!
「自分の絵を描きたい! 」
粉本 (手本) を写すだけの絵に疑問を感じていた、狩野派の三代目・源四郎(永徳)は、
後の将軍・足利義輝の「日輪を描いてみせよ」という依頼から、己の道が見えはじめる。
進む先に待つのは、新たなる狩野の創造か、それとも破壊か――。
松永弾正、織田信長ら時の権力者に愛された、
安土桃山時代を代表する天才絵師・狩野永徳が、
23歳にして国宝「洛中洛外図屏風(上杉本)」を完成させるまでの苦悩と成長を描いた話題作!
下巻には、松永弾正との交わりを描いた後日譚である書き下ろし短編「白屛風と平蜘蛛」を収録。
(「Amazon」より)
「第148回直木賞を受賞した 『等伯』 では、完全にヒール役だった狩野永徳が主人公です。
史実でも、なかなか人間性に問題があった人物のようですが。
この小説では、傲岸不遜な狩野永徳が出来上がる以前が描かれています。
言うなれば、ダースベイダーがダークサイドに落ちる以前を描いた・・・
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の狩野永徳版といったところでしょうか。
ちなみに、父・松栄との親子の確執も物語の一つの軸となっています。
そんなところも、 『スター・ウォーズ』 的。
作者の谷津矢車さんは、 『スター・ウォーズ』 を下敷きにして、この小説を書き上げたのでは?
主人公の狩野永徳もそうですが、
彼に才能を見出す祖父・狩野元信や足利義輝など、登場するキャラクターが魅力的。
くわえて、テンポが良いので、歴史小説という感じではなく、青春小説のような読み心地です。
上下巻ですが、あっさり読めました。
あまりにあっさり読めてしまい、上下巻に分ける必要が無かったのでは、と思ったほど。
(上下巻を合わせても、500ページちょっと!)
『等伯』 を読んだ時、だいぶ狩野永徳が嫌いになりましたが。
この小説を読んで、だいぶ狩野永徳が好きになりました。 (我ながら単純です)
来月17日より、東京国立博物館の国宝室で、
狩野永徳筆の 《檜図屏風》 が公開されます。
今から楽しみでなりません。
(星4つ)」
~小説に登場する名画~
《洛中洛外図屏風 上杉本》
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Book:19 『洛中洛外画狂伝 狩野永徳(上)(下)』
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