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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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花と鳥の万華鏡―春草・御舟の花、栖鳳・松篁の鳥―

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山種美術館で開催中の “花と鳥の万華鏡―春草・御舟の花、栖鳳・松篁の鳥―” に行ってきました。
こちらは、山種美術館のコレクションの中から、 「花と鳥」 をテーマにした約60点を紹介する美術展です。
(※一点寄託作品あり)

日本では、古くより花鳥画というジャンルが確立しているだけに、
「花と鳥」 をテーマにした美術展は、山種美術館に限らず、これまでにいくつも開催されている気がします。
そういう意味では、よく言えば王道も王道の美術展、悪く言えば手垢が付いた美術展です。

ただ、そのように目新しさこそない美術展でありながらも、
ちゃんと一定水準以上の感動が得られるのは、さすが山種美術館。

鈴木其一の 《四季花鳥図》 に、

四季花鳥図  鈴木其一 《四季花鳥図》
19世紀(江戸時代) 紙本金地・彩色 山種美術館


菱田春草の 《月四題》 のうち「春」 に、

月四題(春)  菱田春草 《月四題》のうち「春」
1909-10(明治42-43)年頃 絹本・墨画淡彩 山種美術館


速水御舟の 《翠苔緑芝》 に、竹内栖鳳の 《鴨雛》 に・・・と、
いちいち挙げていたなら、キリが無いほどの充実したラインナップでした。
美術展の企画がシンプルだったからこそ、
かえって山種美術館コレクションの層の厚さ・質の高さが際立っていたような気がします。
星星


さてさて、今回出展されている作品の中で、特に印象的だったのは荒木十畝の 《四季花鳥》 です。

荒木十畝《四季花鳥》  荒木十畝 《四季花鳥》 のうち 「春(華陰鳥語)」
1917(大正6)年 絹本・彩色 山種美術館


1幅だけでも、相当な色の鮮やかさなのに。

荒木
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)


春夏秋冬で、その4倍。
まさに、色のシャワーといった印象を受けました。
必見です。


また、速水御舟の 《桃花》 も必見の一枚。

桃花  桃花


速水御舟が娘の初節句のために描いたという小ぶりの絵です。
描かれているのは、桃の枝だけ。
そんなシンプルな作品なのに、画面に漂っている品格がただものではありませんでした。
思わず背筋をピシッとしてしまうような。
格調高さがありました。


その他にも、荒木十畝の師匠である荒木寛畝の 《雉竹長春》 や、

雉竹長春


松林桂月の 《春雪》 といった作品が心に残りました。

春雪


ほっこりするカワイイ系の花鳥画もありましたが、
全体的には、ピリッとした品のある花鳥画が多くを占めていた気がします。

一足早く、春を感じる美術展でした。




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