三角構図。
それは、主題となる物を三角を形作るように配置する構図のこと。
三角構図によって、画面には安定感が生まれます。
例えば、レオナルド・ダ・ヴィンチの 《モナ・リザ》 。
この名画も、三角構図で描かれています。
確かに、安定感がありますね。
そんな三角構図は、実に多くの名画に取り入れられています。
あそこにも三角。ここにも三角。
意識して観てみると、美術の世界は三角形が溢れています。
・・・・・が、そんな三角構図に頼ってしまったがために、おかしなことになってしまっている作品もあります。
それは、レオナルド・ダ・ヴィンチの 《聖アンナと聖母子》 です。
構図は、紛れもなく三角形。
安定も安定した構図です。
しかし、よく考えてみてください。
聖アンナとは、聖マリアの実の母。
子どもをあやす聖マリアが、あろうことか母である聖アンナの膝に座っているではないですか。
(↑早く降りてあげて!)
このように三角構図に無理やり収めたために、
結果として、どこか不安感をもたらすことになってしまった絵画は他にもあります。
今回は、そんなトホホな名画の数々を紹介してまいります。
・アンドレア・マンテーニャ (1431~1506) の 《聖母子》 の場合
絶対に息子を三角形からはみ出させない。
そんな母マリアの意思が感じられます。
軽い虐待。
三角構図が生み出した悲劇です。
・ラファエロ・サンツィオ (1483~1520) の 《カニジャーニの聖家族》 の場合
皆でつくろう三角構図。
これはもう確信犯ですね。
三角形を作る気満々です。
組体操?
・フィリッポ・リッピ (1406~1469) の 《森の聖母子》 の場合
皆でつくろう三角構図パート2。
こちらは、組体操というよりも、モジモジくん。
・ピエロ・デラ・フランチェスカ (1412~1492) の 《慈悲の聖母(ミゼリコルディア祭壇画)》 の場合
三角形を作るために、妙なポーズを取らされるマリア様。
完全に、やらされている感が滲み出てしまっています。
テンションが若干低いのは、そのためでしょうか。
・パルミジャニーノ (1503~1540) の 《長い首の聖母》 の場合
三角形になるために、首が伸びてしまったという恐怖の症例。
安定感は・・・・・全く持ってありません。
逆三角形の体を目指す人はいますが、三角形の体を目指すと、ろくなことにならないようです。
・ジョン・コリア (1850~1934) の 《キルケ》 の場合
キルケは、ギリシャ神話に登場する魔女。
だから、一安心ではありますが。
それにしても、虎と力を合わせて (?) 綺麗な三角形を作るだなんて。
たいしたものです。
・ジョン・エヴァレット・ミレー (1829~1896) の 《花嫁の付添い》 の場合
三角形のオバケかと思いました (汗) 。
三角の構図に収まるというよりも、もはや彼女自身が三角形と化しています。
三角形のコスプレです。
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安定した三角構図が生み出す不安感について
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