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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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わが愛憎の画家たち ― 針生一郎と戦後美術

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国宝ハンターとして仙台に行ったついでに、宮城県美術館を訪れました。

宮城県美術館  宮城県美術館


設計したのは、昭和を代表する建築家・前川國男。
なんとなく 『キン肉マン』 に登場する超人サンシャインを彷彿とさせる建築です。

サンシャイン


美術館の敷地には、アリスの庭というスペースがあるのですが・・・

アリス  アリス


アリス・・・なのか??

ちょっとよくわからなかったです (笑)


さてさて、そんな宮城県美術館で、現在開催されているのが、
“わが愛憎の画家たち ― 針生一郎と戦後美術” という美術展。

こちらは、仙台市出身の美術評論家・針生一郎 (1925-2010) にスポットを当てた美術展で、
針生一郎が関わった芸術運動や展覧会、著書の中で論評した作家と作品などが紹介されています。
出展作品は、資料も含めて実に約300点!
しかも、ただ量があるのではなく、質の高い作品ばかりです。
岡本太郎の 《重工業》 や、

重工業


山下菊二の 《あけぼの村物語》

あけぼの村物語


中村正義の 《源平合戦絵巻 第2図(海戦)》

源平合戦絵巻 第2図(海戦)


片岡球子の 《面構 徳川家康公》 など、

面構 徳川家康公


例を挙げればキリがありません。
他にも、香月泰男や河原温、赤瀬川原平、高松次郎といった戦後日本美術のオールスターの作品がズラリ。
戦後日本美術史の決定版ともいえるようなラインナップの美術展でした!
(↑まさか宮城県でこのような展覧会が開催されているとは思ってもいなかったので、ちょっと興奮しています)


展示作品だけ考えたら、2ツ星。
いや、これだけの作品をまとめて観られることを考えたらあ、3ツ星でもいいかもと思ったのですが。
戦後日本美術史の美術展ではなく、針生一郎という美術評論家の美術展と考えると、残念ながら1ツ星。
星


というのも、作品のサイドに、その作品について論じた針生一郎の文章が添えられているのですが。
それらの文章が、どうにも自分には合わなかったのです。

作品は面白いのに、針生一郎の評論を読むと、
どういうわけか、作品がつまらないものに感じてしまうのです。
確かに、彼の評論によって、その作品の美術史における位置づけが確定するのかもしれません。
権威のようなものもプラスされるのかもしれません。
が、その反動で、作品の魅力が色褪せていくと云いますか。
そんな小難しい言葉を使わないと、語ってはいけないような、
妙な距離感が作品と鑑賞者の間に生まれてしまっていたような気がします。
一体、誰のための評論なのでしょうか。


この美術展を通じて、逆説的に自分がアートテラーとして美術を語る意味を考えさせられました。
論じるのではなく、一意見を語る。
これが大事なのかもしれませんね。

ちなみに、出展作品の中で、僕が最も気に入った作品は、桂ゆきの 《婦人の日》
1953年の作品だそうです。

婦人の日


明るいような、でも、どこか不安もあるような。
不思議と惹き付けられる作品でした。
以上。 (←論じる気無し)




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