本日ご紹介する美術展は、
Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の “ボッティチェリとルネサンス フィレンツェの富と美” です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
ボッティチェリと言えば、昨年、東京都美術館で開催された “ウフィッツィ美術館展” が記憶に新しいところです。
34年ぶりに代表作の 《パラスとケンタウロス》 が来日し、話題となりました。
さらには、来年1月に同じく東京都美術館にて、日本初となる大規模なボッティチェリ展が控えています。
さすがに、その2つの美術展と比べてしまうと、
Bunkamuraザ・ミュージアムでのボッティチェリ展は見劣りしちゃうのでは・・・・・と思っていたのですが。
全く、そんなことはありませんでした!!
ここまで充実したボッティチェリの作品群が、
日本で、それも渋谷で観れてしまうだなんて、想像だにしていなかったです。
感服の3ツ星。
今回、まず何よりも驚いたのは、ボッティチェリ作品の出展数です。
その数、なんと17点 (工房作も含む) !
イタリアから、フランスから、アメリカから。
しかも、17点のうち14点が、日本初公開だというから驚きです。
その中でも、特に見逃せないのは、期間限定で出展されている 《聖母子と洗礼者聖ヨハネ》 。
サンドロ・ボッティチェリ 《聖母子と洗礼者聖ヨハネ》
1477-1480年頃、テンペラ・板、直径96.5cm、ピアチェンツァ市立博物館 © Musei civici di Palazzo Farnese - foto Carlo Pagani
(注:展示期間は3月21日~5月6日です)
こちらは、イタリア政府の門外不出リストにも登録されているという傑作中の傑作です。
マリア様の衣装の青が、とても美しくて印象的でした。
でも、もっと印象的だったのは、幼いキリストのガン見ぶりです。
何もそこまでガン見しなくても。
さらに、ウフィツィ美術館が所蔵する 《受胎告知》 も見逃せません。
いや、横幅5メートルもあるフレスコ画の大作なので、そもそも見逃しようがありません。
とにもかくにも圧巻です。
作品の前に立つと、まるで自分が絵の世界に入っているかのような臨場感を味わえました。
ちなみに、ボッティチェリ作の 《受胎告知》 が、もう1点展示されてます。
こちらは、個人蔵で日本初公開の 《受胎告知》 。
なかなかツッコミどころのある 《受胎告知》 だったので、
『本当はオモシロい受胎告知』 のリストに加えておきました。
それから、数あるボッティチェリ作品の中で、
どうにも気になってしかたがなかったのが、 《キリストの降誕》 という一枚です。
サンドロ・ボッティチェリ 《キリストの降誕》
1473-1475年、フレスコ(キャンヴァスに移行)、161.3×137.3cm、
サウスカロライナ州、コロンビア美術館 Gift of the Samuel H. Kress Foundation. CMA 1954.29
絵の中の世界が、微妙にナナメめっていました。
絵の内容は穏やかなのに、ナナメっているせいで、鑑賞していて、どうにも落ち着きませんでした。
さてさて、ボッティチェリの作品ばかりを紹介してきましたが。
今回の展覧会の主役は、ボッティチェリだけに非ず。
貿易とビジネスが発展したフィレンツェの街が、もう一つの主役です。
フィレンツェで流通したフィオリーノ金貨をはじめ、
フィレンツェやフィレンツェに君臨したメディチ家にまつわる展示品も多数紹介されています。
その中でも、特にオススメしたいのが、
ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノの 《バーリの聖ニコラウスの奇跡 (クアラテージ多翼祭壇画)》 です。
(画像はありません。あしからず)
描かれているのは、聖ニコラウスが、嵐の中で難破しそうな船を助けるために現れたという奇跡の場面。
聖ニコラウスは、のちにサンタクロースとなる (?) 人物ですが。
そんな彼が、空から登場。
トナカイやソリがなくても、単体で空を飛べたのですね。
また、絵が、お世辞にも上手とは言えず、とりわけ海の表現がヒドかったです (笑)
画家自身も、それを自覚していたのでしょう。
とりあえずヒトデを描き入れることで、海を表していることをフォローしていました。
その必死な感じに、愛らしさすら感じる一作です。
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ボッティチェリとルネサンス フィレンツェの富と美
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