現在、東京国立近代美術館では・・・
(注:館内の写真撮影は、取材用に特別に許可を頂いております)
“生誕110年 片岡球子展” が開催されています。
こちらは、103歳まで創作を続けた日本画家・片岡球子の回顧展です。
片岡球子といえば、帝展や院展に何度も落選した経験から、“落選の神様” と自身で称することもあった人物。
その個性的すぎる画風は、時にゲテモノとまで揶揄されました。
今回の展覧会には、初期の作品や代表作、
そして、これまで公開される機会がほとんどなかった作品約60点に加えて、
彼女のスケッチブックや貴重な新資料も、約40点ほど紹介されています。
どの絵も、お世辞にも 「上手いなぁ」 とは思えませんでしたが (笑)
嫌いな絵は、1点もありませんでした。
好きか嫌いか言えば、むしろ好きな絵です。
正確に言うならば、好感の持てる絵です。
片岡球子の絵の何に好感が持てるかと言えば、
その作品から伝わってくる彼女の真面目さ、一生懸命さです。
《幻想》 1961年 神奈川県立近代美術館
絵のどこにも抜いたところ、遊びの部分がありません。
常に全力投球。
100の力で取り組めばいいところを、120も150も力を入れている印象です。
そのせいで、絵としては面白味に欠けている気もするのですが、
面白味に欠けた部分を 「いや、でも、片岡球子は頑張って描いたんだなぁ」 という感動がカバーしています。
芸人で言うと、イモトアヤコに近いのではないでしょうか。
トークとかは特に面白く感じないのに、一生懸命に登山などに挑む姿に感動してしまう。
あの感じに似ています。
くしくも登山繋がりですが、
今回の展覧会で強く印象に残ったのは、片岡球子が描く山の絵でした。
《山(富士山)》 1964年 北海道立近代美術館
HPや画集で目にした時は、 「いやぁ、こんな派手な山は無いでしょw」 くらいにしか思いませんでしたが。
実物を目にすると、そんな偏見 (?) は吹っ飛んでしまいました。
なぜか?
それは、 “そこに山があるから” 。
山としての圧倒的な存在感がありました。
片岡球子が山を描いた作品は、離れたところで全体的に眺めるだけでなく、
画面ギリギリまで近づいて、山頂を見上げるように鑑賞するのもオススメです。
「そんなに近づいたら、何が何だかわからないんじゃないの??」
と不思議に思う方もいらっしゃることでしょうが。
片岡球子の絵は、どこにも抜いたところがないだけに
仮に絵の一部を切り取るように鑑賞しても、ちゃんと彼女の絵だと認識できるのです。
もしかしたら、近づいて観賞した方が、片岡球子の絵の良さを実感できるような気さえしました。
また、今回の展覧会には、片岡球子のライフワークである 〈面構〉 シリーズの数々も展示されています。
歴史上の人物を大胆にデフォルメして描いた作品群なのですが。
ほとんどの人物が、どっしりとした三角形の姿で描かれているので、
「もしかしたら、〈面構〉 シリーズも、片岡球子にとっては山の絵 (の延長線上) なのでは?」
という気がしてきました。
人物画としては、ちょっとアクが強くて、あまり好きになれない作品だったのですが。
風景画なのかもしれないと思って観賞すると、なんかストンと落ちるものがありました (※個人の感想です)
とにかく片岡球子の作品の熱量に圧倒される展覧会でした。
ただ、欲を言えば、会場なりキャプションなりに、もう少し工夫があっても良かったような。。。
片岡球子の作品を時系列で並べていただけのような感がありました。
その分 (?) 、片岡球子物語を紹介するなど、公式HPが頑張っています。
ちなみに。
ミュージアムショップでは、
日本最大級のオンラインクリエイターズマーケットCreemaとコラボした富士山グッズも販売されていました。
これらはすべて、片岡球子展のためにハンドメイドされたグッズとのこと。
要チェックです。
┃生誕110年 片岡球子展
┃会期:2015年4月7日 (火) ~5月17日 (日)
┃場所:東京国立近代美術館
┃休館日:月曜日 (ただし5月4日は開館)
┃開館時間:10:00~17:00 (金曜日は20:00まで)※入館は、閉館の30分前まで。
┃TEL:03-5777-8600 (ハローダイヤル) ※2015年1月上旬開設。
5位以内を目指して、ランキングに挑戦中!(現在10位です)
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!
↧
生誕110年 片岡球子展
↧