今回ご紹介する美術展は、
東京藝術大学大学美術館の “ボストン美術館×東京藝術大学 ダブル・インパクト 明治ニッポンの美” です。
(注:館内の写真撮影は、取材用に特別に許可を頂いております)
“ダブル・インパクト” というタイトルが、何よりもインパクトがある気がしますが。
一体どんな展覧会なのかと言いますと、
西洋人が日本文化から受けた 「ジャパニーズ・インパクト」 と、
日本人が西洋文化から受けた 「ウェスタン・インパクト」 の2つ (ダブル) のインパクトを、
アメリカ・ボストン美術館と東京藝術大学のコレクションから厳選された150点を通じて紹介した展覧会です。
“明治時代のニッポン人は、こんなにも西洋美術に影響を受けていたのか!” と感じ入ったり、
逆に、 “明治時代のニッポンの工芸品は、こんなにも西洋人を驚かせていたのか!” と感じ入ったり。
ダブルどころか、何度もインパクトを受けました。
担当学芸員さんが、
「この展覧会の主人公は、 “美術” です。
日本で “美術” が形成するまでを描いた大河ドラマのような展覧会です。」
と、仰っていましたが。
言いえて妙。
読み物のように展開していく、実にドラマチックでストーリー性のある展覧会だった気がします。
ちなみに、この展覧会をナビゲートしてくれるのが、源さん (日本代表) とベティさん (西洋代表) 。
難しくなりがちなトピックを、彼らが要所要所で柔らかくしてくれています。
大河ドラマでいうと、本編後のミニ番組のようなテイストでした。
『インパクト』 がキーワードな展覧会だけに、
インパクトのある作品が多数出展されていましたが。
特にインパクトがあったのが、小林永濯の 《菅原道真天拝山祈祷図》 。
小林永濯 《菅原道真天拝山祈祷の図》
1860-90年頃、ボストン美術館 William Sturgis Bigelow Collection, 11.9412 Photograph ©2014 Museum of Fine Arts, Boston.
「東風吹かば・・・」 の句を詠んだ人物とは思えないくらいにパンキッシュです。
菅原道真のインパクトある姿と、雷鳴轟く情景ばかりに目を奪われがちですが。
何気に、空を飛んでる虫みたいな謎の生命体も気になります。
パンキッシュと言えば、河鍋暁斎の 《地獄太夫》 も。
河鍋暁斎 《地獄太夫》 明治時代、ボストン美術館
Charles Bain Hoyt Fund and funds donated by John C. Weber, 2010.373 Photograph © 2014 Museum of Fine Arts, Boston.
地獄太夫の衣装もパンクなら、骸骨たちもパンク。
そして、そんな骸骨の頭に乗るオッサンもパンク。
とにかく “濃ゆ~い” 一枚です。
また、今回の展覧会に合わせて、
右手の弓が再製作された竹内久一の 《神武天皇立像》 も、相当なインパクトがありましたが。
わずか30cmほどしかない旭玉山の 《人体骨格》 も、同じくらいにインパクトがありました。
旭玉山 《人体骨格》 年代不詳、東京藝術大学
鹿の角で作られたこちらの人体骨格像。
なんと全ての関節が人体同様に動くという超絶技巧な作品なのです。
まさに、今展覧会の “小さな巨人” 。
ユーモラスなのに、どこか風格すら漂っていました。
他にも紹介したい作品はありますが、この辺で。
こんなにも見どころ満載の美術展ながら、開催期間は5月17日までと、かなり短めです。
それにも軽くインパクトを受けました。
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