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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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近代日本の社会と絵画 戦争の表象

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チラシ


新聞チックにデザインされた秀逸なチラシに惹かれて、
板橋区立美術館で開催中の “近代日本の社会と絵画 戦争の表象” に行ってきました。

板美


こちらは、板橋区立美術館のコレクションを通じて、
美術家たちは、どのように戦争と向き合い、表象 (表現) したのかを検証する展覧会です。
展覧会で取り上げられていた美術家は、全部で30名。
それぞれの美術家の “戦争との向き合い方” が紹介されていました。

ストレートに世相を描く画家もいれば、

新海覚雄 貯蓄報国  新海覚雄 《貯蓄報国》


時代の不安感を象徴的に描く画家もいたり、

国吉康雄 He is the king  国吉康雄 《He is the king》


スタイリッシュな抽象画のように終戦後の情景を描く画家もいたり。

佐田勝  佐田勝 《廃墟》


30人30色の “戦争との向き合い方” がありました。
また、戦争中に命を落としたり、行方が不明になった美術家も少なからずいました。
この展覧会を通じて、改めて戦争があったという事実を、突き付けられた気がします。

もちろん、70年前に戦争があったという事実は知っていました。
しかし、それは頭で、一つの情報や記号として理解していたに過ぎませんでした。
戦争と向き合った30人の芸術家が生んだ作品を通じて、
初めて戦争があったという事実が心に刻まれた気がします。
オモシロさや派手さは少ないですが、意義深い展覧会でした。
星
良質の戦争ドキュメンタリーを1本観たような充足感があります。
しかも、無料。


今回出展されている作品の中で気になったものをいくつかご紹介いたしましょう。
まずは、最も印象的だった堀田操の 《断章》

堀田操_断章


初めて目にする作品なのに、全く初めて観た気がしませんでした。
あまりにデジャヴがスゴすぎて、ちょっと立ちくらみしたほどです。
たぶん、このような光景を、以前に夢の中で観たような。
このテーブルとアドバルーンに見覚えがあるのです。
・・・・・と書いてて、自分でも怖い。


続いては、難波香久三の 《地方行政官A氏の像》 という一枚。

な 難波香久三


タイトルからして、ダリ風。
絵も、思いっきりダリ風。
何も知らない人に、 「誰の絵でしょう?」 と質問したら、多くの人が 「ダリです」 と答えるはず。
でも、ダリなら、和太鼓や湯たんぽを描いたりはしません。
あくまで、ダリ風。


難波香久三がダリ風なら、小牧源太郎はミロ風でした。

小牧源太郎 稲荷図No.2


彼の作品は2点紹介されていましたが、 《稲荷図No.2》 が妙に気に入りました。
1947年の作品とは思えないポップさ。
ポップはポップでも、テクノポップです。
電子音が聴こえてくるかのようでした。




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